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豪ウェストパック銀、マネロン問題発覚前に株購入の個人に返金へ
11月28日、豪銀大手ウェストパック銀行は、マネーロンダリング(資金洗浄)防止法違反が当局によって指摘される2週間前に同行の公募増資に応募した個人投資家に対し、応募撤回を認め、代金を払い戻しする方針を明らかにした。写真はシドニーで2016年7月撮影(2019年 ロイター/David Gray)
[シドニー 28日 ロイター] - 豪銀大手ウェストパック銀行
オーストラリア金融取引報告・分析センター(AUSTRAC)は今月20日、マネーロンダリング防止法に関連して2300万件の違反があったとして、同行に対する民事制裁金の支払い命令を求めて連邦裁判所に提訴したと発表した。違反があったとされる取引には、児童搾取グループの間の資金のやり取りが含まれていたという。
その2週間前に公募増資に応募し、5億豪ドル(3億4000万米ドル)相当の新株を購入した個人投資家が返金の対象となる。ウェストパック銀はオーストラリア証券投資委員会(ASIC)との協議後に返金を決めたと説明するにとどめており、理由は明らかになっていない。
発表文は「ASICとの協議を受け、11月20日のAUSTRACの発表に先立ち増資計画に応募した(投資家)に撤回の選択肢を提供する」としている。
個人投資家を対象とする公募増資のほかに、機関投資家から20億豪ドルも調達しているが、返金の対象とはなっていない。
同行株を保有し増資計画にも参加した豪資産運用会社「気候アセット・マネジメント」のロッド・ブリストウ最高経営責任者(CEO)は「同行は集団訴訟に先手を打とうとしているように私には思える」と指摘。
「これは企業として前例のない動きで、ウェストパック側の強い懸念を物語っている」とした。
ASICはこれまでに、同行を調査していると表明している。また、ある法律事務所は既に、継続的な開示義務に違反したとして、同行に対して集団訴訟を提起する準備を進めていると明らかにしている。
28日のシドニー市場の中盤取引で同行の株価はほぼ横ばいで推移。AUSTRACの発表以降は6.6%下落し、時価総額63億豪ドルを失っている。





