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中国山東省の民間企業、短期債務の返済に苦慮=S&P
10月21日、米格付け会社S&Pグローバル・レーティングは、経済規模で中国3位の山東省について、多くの民間企業が短期債務の返済に苦慮していると指摘した。写真は重慶市長寿区にある製鉄所。2018年8月6日撮影(2019年 ロイター/Damir Sagolj)
[北京 21日 ロイター] - 米格付け会社S&Pグローバル・レーティングは、経済規模で中国3位の山東省について、多くの民間企業が短期債務の返済に苦慮していると指摘した。
域内産業のファンダメンタルズが悪化していることや、複雑に入り組んだ相互債務保証、投資の失敗などが背景。
精製、石油化学、鉄鋼、アルミニウム、繊維など供給能力が過剰な産業では、中国経済の減速や環境対策の施行も、企業の利益と資金繰りを圧迫する要因になっている。
S&Pの中国スペシャリスト、Chang Li氏は「山東省の経済は、負債比率の高い企業が多い従来型重工業に偏っている」と指摘。
「山東省の民間企業の苦境は、中国全体の課題を示唆している。高水準の負債と成長鈍化に対応しながら高付加価値経済に移行する難しさだ」と述べた。
同省の民間企業は、相互保証を利用することが多く、1社の資金繰り悪化が信用システム全体に波及するリスクがあるという。
ロイターが裁判所の記録を引用して今年2月に報じたところによると、石油精製業と重工業の一大拠点である山東省東営市では少なくとも民間28社が債務再編を通じて経営破綻を回避しようとしている。保証していた他の企業の債務が焦げ付いたことが主な原因だ。[nL3N2081B7]
特に従来型の資本集約型産業では、民間企業が銀行を融資を受けるには、大規模な担保や別の企業の債務保証が必要になることが多い。債務を保証した企業も、他の企業に債務保証を依頼している可能性が非常に高い。
情報開示の不足も、状況の悪化に拍車をかける原因となっており、複雑な相互保証を背景に支払い能力を巡るリスクが、地域全体に拡大する恐れもある。
S&Pは「中国経済の減速を踏まえると、山東省の民間企業の流動性と借り換えを巡る問題が、直ちに解決するとは思えない。山東省の民間企業は今後12カ月間、信用リスクが高い状態が続くだろう」と述べた。
S&Pによると、山東省政府は近年、付加価値の高い産業を優遇しており、供給能力が過剰な産業で一部の民間企業が倒産しても、システミックリスクが生じない限り、救済しない可能性がある。