ニュース速報

ビジネス

焦点:米株急落の「犯人」、プログラム取引に風当たり強まる

2018年10月13日(土)20時02分

 10月11日、今週の米国株の大幅下落について、「犯人」だと投資家からみなされているのが、コンピューターの指示による自動売買プログラムとそれを手掛けるファンドマネジャーだ。写真はニューヨーク証券取引所(2018年 ロイター/Brendan McDermid)

Trevor Hunnicutt

[ニューヨーク 11日 ロイター] - 今週の米国株の大幅下落について、「犯人」だと投資家からみなされているのが、コンピューターの指示による自動売買プログラムとそれを手掛けるファンドマネジャーだ。

株安は、米連邦準備理事会(FRB)による追加利上げが正当化されるほど物価上昇の勢いが強まるとの見方を背景とする米国債の大規模な売りに続くものだった。だが全ての投資家は、そうした売りが妥当だとは考えているわけではない。

オメガ・アドバイザーズの創設者レオン・クーパーマン氏は「ウォーレン・バフェット氏は安値で買い、高値で売ることで富を築いた。コンピューターのプログラム取引は堅調局面で買い、軟調局面で売って双方の流れを加速させている。10日にそういった種類の取引をする理由はなかった」と述べた。

今回の状況は、長期金利が急騰した後に株が売られた点で今年2月をほうふつさせ、「リスクパリティ戦略」を掲げるファンドや商品投資顧問(CTA)など、プログラム取引で相場の動きを増幅させるとされる市場参加者に注目が集まるところも似ている。

ロングテール・アルファのビニア・バーンサリ最高投資責任者とUSCマーシャル・スクール・オブ・ビジネスのローレンス・ハリス教授が昨年公表した論文によると、リスクパリティ・ファンドやボラティリティ・ターゲティング・ファンドを含め、市場リスクに対応して動く戦略に基づいて運用されている資産は約1兆5000億ドルに上る。

ナティクシス・インベストメント・マネジャーズのチーフ市場ストラテジスト、デービッド・ラファーティ氏は、彼らは同時に売りを出すので相場の下げ余地を大きくしてしまうという主張には説得力があると話す。「だれもが売りに回れば、彼らが避けようとしている問題が生まれる」という。

ウィーデンのチーフ・グローバル・ストラテジスト、マイケル・パーブス氏は、市場の値動きからすると、ルールに基づいてボラティリティ次第で方針を決める投資戦略が、米長期国債の急激な売りに反応して発動されたことが分かる、と指摘した。

2008年の金融危機後に人気が高まったリスクパリティ戦略は、従来の資産クラスにまんべんなく資金を配分する方式に代えて、株式や債券、その差の資産価格の面でリスクないしボラティリティが均等になるようにする投資で、株価急落の際にはしばしば犯人呼ばわりされる。

しかし当のリスクパリティ・ファンドは、責任を押し付けられるいわれはないと主張している。

傘下にこうしたファンドの「オール・ウェザー」を持つブリッジウォーターのボブ・プリンス共同最高投資責任者は、足元の株安が始まって以降はポジション調整をしていないと説明。「リスクパリティは10日の値動きとは一切関係なかった」と述べ、企業業績が期待外れに終わる段階が近づいて、恐らく足の速い資金が真っ先に逃げ出していることが株価下落につながったのだろうとの見方を示した。

米国を拠点にリスクパリティ戦略で運用しているファンド勢は、10日に3.0%下落したS&P総合500種に比べると痛手は小さいが、それでもこの株安で年初来のリターンはマイナス幅が拡大したとみられる。関係者によると、ブリッジウォーターのオール・ウェザーは9月末時点で年初来のリターンがマイナス0.6%だった。

ロイター
Copyright (C) 2018 トムソンロイター・ジャパン(株) 記事の無断転用を禁じます。

ニュース速報

ワールド

香港、マスクで大規模デモ 覆面禁止に抗議

ビジネス

金融緩和と財政政策などの政策ミックス、景気刺激に有

ビジネス

人民元は適切な水準、通商摩擦が世界経済のリスク=中

ワールド

トランプ米大統領、所有リゾートでのG7開催計画取り

MAGAZINE

特集:AI vs. 癌

2019-10・22号(10/16発売)

ゲノム解析と人工知能で最適な治療薬を発見する究極の癌治療が人類を「最後の敵」から救う日

人気ランキング

  • 1

    性行為を拒絶すると立ち退きも、家主ら告発

  • 2

    交尾をめぐって噛みつき合う、暴力まみれのサメの日常

  • 3

    新EU離脱協定案はイギリス経済に「相当厳しい」内容だった

  • 4

    「歩くのが遅いと老化がすすむ」その兆候は40代半ば…

  • 5

    未成年性的虐待の被告の大富豪が拘置所で怪死、米メ…

  • 6

    韓国は、日本の対韓感情が大きく悪化したことをわか…

  • 7

    光がねじまげられる......ブラックホールをビジュア…

  • 8

    中国の探査機が月に持ち込んだ植物の種、ハエの卵...…

  • 9

    W杯アジア2次予選の北朝鮮vs韓国「無事に帰れたのは…

  • 10

    がん患者の42%が診断から2年で資産を使い果たす:米…

  • 1

    韓国は、日本の対韓感情が大きく悪化したことをわかっていない

  • 2

    性行為を拒絶すると立ち退きも、家主ら告発

  • 3

    ヘイトに立ち向かったK-POPアイドル、ソルリ追悼写真集

  • 4

    中国の探査機が月に持ち込んだ植物の種、ハエの卵...…

  • 5

    韓国・文在寅の賃上げ政策が招いたこと──映画館からス…

  • 6

    交尾をめぐって噛みつき合う、暴力まみれのサメの日常

  • 7

    韓国訪問中に消えた9人のベトナム外交団員 公安当局…

  • 8

    未成年性的虐待の被告の大富豪が拘置所で怪死、米メ…

  • 9

    性的人身売買から救われた少女が自殺 犯人の男と家…

  • 10

    日本と韓国の危険なゲームが世界経済を殺す

  • 1

    韓国で長引く日本製品不買運動、韓国企業への影響が徐々に明らかに

  • 2

    写真撮影で「怪しいOKサイン」を出したテーマパークのスタッフが解雇

  • 3

    イランで逮捕された「ゾンビ女」の素顔

  • 4

    「OK」のサインは白人至上主義のシンボルになったの…

  • 5

    韓国は、日本の対韓感情が大きく悪化したことをわか…

  • 6

    繁殖を止めるために遺伝子組み換えされた蚊、自然界…

  • 7

    「独島が韓国の領土であるとの証拠は何もない」韓国…

  • 8

    米韓関係の険悪化も日本のせい⁉ 文在寅がまた不安な…

  • 9

    性行為を拒絶すると立ち退きも、家主ら告発

  • 10

    全米最悪93人の連続殺人犯が「驚異的」な記憶力で描…

PICTURE POWER

レンズがとらえた地球のひと・すがた・みらい

英会話特集 資産運用特集 グローバル人材を目指す Newsweek 日本版を読みながらグローバルトレンドを学ぶ
日本再発見 シーズン2
CCCメディアハウス求人情報
定期購読
期間限定、アップルNewsstandで30日間の無料トライアル実施中!
メールマガジン登録
CHALLENGING INNOVATOR
売り切れのないDigital版はこちら

MOOK

ニューズウィーク日本版別冊

絶賛発売中!