ニュース速報

ビジネス

焦点:米株が急落、市場で広がる「調整局面」突入懸念

2018年10月11日(木)19時59分

10月10日、米国株急落を受け、投資家の間では調整局面突入を懸念する声が広がり始めた。ニューヨーク証券取引所で撮影(2018年 ロイター/Brendan McDermid)

Noel Randewich

[10日 ロイター] - 10日の米国株急落を受け、投資家の間では調整局面突入を懸念する声が広がり始めた。株式市場の調整局面は高値から少なくとも10%下落した場合と定義されることが多い。

一方、同日のS&P総合500種指数<.SPX>は、米国債利回りの上昇や米中貿易摩擦の激化を巡る懸念から、前日比3.29%下落。1日の下落率としては今年2月以降で最大となり、9月20日に更新した過去最高値からは約5.0%下がった。

ブルダーマン・アセット・マネジメントの副会長兼チーフ市場ストラテジスト、オリバー・パーシェ氏は「恐らく調整局面の始まりだ。最終的には業績次第で、大きく懸念されるのは第3・四半期決算の結果ではなく、第4・四半期と(来年)第1・四半期の業績見通しがどうなるかだ」と語った。

10日はS&P情報技術株指数<.SPLRCT>が4.77%下落し、2011年以降で最大の下げを記録した。このため近年の株高をけん引してきたハイテク部門で、調整局面に入る事態がひときわ強く心配されている。

こうした中、トランプ米大統領は遊説先のペンシルベニア州で記者団に対し、利上げを続ける米連邦準備理事会(FRB)は「狂ってしまった」と指摘。株式相場は「長く待たれていた調整だが、FRBがやっていることには賛同できない」と述べた。11月6日の中間選挙を控えたトランプ氏や与党・共和党にとってみれば、有権者の退職貯蓄を直撃する株価下落はまさに最悪のタイミングと言える。

投資家も、FRBがどこまで積極的に利上げするかはらはらしており、FRBが歴代の議長の下で運営してきた政策手法で今後も市場を下支えするかどうかに懐疑的な見方も出ている。

S&P総合500種指数は2月上旬、前月の高値から10%下落して10年にわたる強気相場が終了するとの懸念が強まったが、大規模な法人税減税の効果や景気拡大に支えられ、米国株は持ち直して9月下旬には年初来に約10%高となった。だがその後は、米長期金利の上昇と通商政策を巡る不安から、投資家は安全資産に逃避した。

ビラー・アンド・カンパニーのポートフォリオマネジャー、サンディ・ビラー氏は「金利が上昇する際、過熱している景気に冷や水を浴びせることがあり得る。それこそが現在、起きている出来事のように見える」と話した。

米国株は2009年3月に始まった強気相場が過去最長になったと幅広く考えられている。

ガレーン・キャピタル・パートナーズのマネジングパートナー、トリップ・ミラー氏は「市場は強気相場が10年続き、その間に10%の調整はほとんど視野に入ってこなかったし、その節目が近づくたびに相場は反発してきた。今回、従来と異なるのは、10年債利回りがずっと高い水準になっている点で、市場は遅ればせながら調整を迎えつつあるのだと思う」と述べた。

<業績見通し次第>

S&P総合500種指数が長期にわたる下落局面に入るかどうかは、企業が向こう数週間で発表する四半期決算で示す業績見通しに左右される。

I/B/E/S業績予想によると、S&P総合500種企業の1株当たり利益(EPS)は第3・四半期は前年同期比21%増、第4・四半期は20%増と見込まれている。

だが2019年は、今年開始された大規模な法人税減税の実施から1年が経ち、企業が今年ほどの大幅増益を再び達成できる公算は小さい。

企業経営陣の決算発表に伴う会見では、トランプ大統領の対中通商政策が各社の事業にどのような影響を及ぼすかについての具体的な見通しも出てくる。

また11日に発表される9月の消費者物価指数(CPI)で、FRBがこれまでの予想より急速に利上げを進めるとの懸念が広がるかもしれない。

アリアンツ・グローバル・インベスターズ(ニューヨーク)の米国投資ストラテジスト、モナ・マハジャン氏は「市場は、金利の上昇が最終的に住宅ローンや自動車ローン、学生ローンの金利(押し上げ)という形で実体経済に浸透する可能性を消化しつつある。現在見られるのは、市場が今後の成長が下振れする恐れに備えている姿だ」と語った。

ロイター
Copyright (C) 2018 トムソンロイター・ジャパン(株) 記事の無断転用を禁じます。

今、あなたにオススメ
ニュース速報

ワールド

中国百度のAI半導体部門、香港上場を申請

ワールド

金正恩氏娘が宮殿初訪問、両親の間に立つ写真 後継ア

ワールド

韓国大統領が4日訪中、両国関係の「新たな章」期待 

ワールド

インド製造業PMI、12月2年ぶり低水準 需要減退
MAGAZINE
特集:ISSUES 2026
特集:ISSUES 2026
2025年12月30日/2026年1月 6日号(12/23発売)

トランプの黄昏/中国AI/米なきアジア安全保障/核使用の現実味......世界の論点とキーパーソン

メールマガジンのご登録はこちらから。
人気ランキング
  • 1
    前進するロシア、忍び寄る限界...勝者に見えるプーチン、その先は袋小路か
  • 2
    中国軍の挑発に口を閉ざす韓国軍の危うい実態 「沈黙」は抑止かそれとも無能?
  • 3
    「腸が弱ると全身が乱れる」...消化器専門医がすすめる「腸を守る」3つの習慣とは?
  • 4
    ウクライナ水中ドローンが、ロシア潜水艦を爆破...「…
  • 5
    なぜ筋肉を鍛えても速くならないのか?...スピードの…
  • 6
    マイナ保険証があれば「おくすり手帳は要らない」と…
  • 7
    【現地発レポート】米株市場は「個人投資家の黄金時…
  • 8
    日本人の「休むと迷惑」という罪悪感は、義務教育が…
  • 9
    「断食」が細胞を救う...ファスティングの最大効果と…
  • 10
    アジアの豊かな国ランキング、日本は6位──IMF予測
  • 1
    ウクライナ水中ドローンが、ロシア潜水艦を爆破...「史上初の攻撃成功」の裏に、戦略的な「事前攻撃」
  • 2
    90代でも元気な人が「必ず動かしている体の部位」とは何か...血管の名医がたどり着いた長生きの共通点
  • 3
    アジアの豊かな国ランキング、日本は6位──IMF予測
  • 4
    「腸が弱ると全身が乱れる」...消化器専門医がすすめ…
  • 5
    『SHOGUN 将軍』の成功は嬉しいが...岡田准一が目指…
  • 6
    中国、インドをWTOに提訴...一体なぜ?
  • 7
    マイナ保険証があれば「おくすり手帳は要らない」と…
  • 8
    前進するロシア、忍び寄る限界...勝者に見えるプーチ…
  • 9
    中国軍の挑発に口を閉ざす韓国軍の危うい実態 「沈黙…
  • 10
    アベノミクス以降の日本経済は「異常」だった...10年…
  • 1
    日本がゲームチェンジャーの高出力レーザー兵器を艦載、海上での実戦試験へ
  • 2
    90代でも元気な人が「必ず動かしている体の部位」とは何か...血管の名医がたどり着いた長生きの共通点
  • 3
    ウクライナ水中ドローンが、ロシア潜水艦を爆破...「史上初の攻撃成功」の裏に、戦略的な「事前攻撃」
  • 4
    アジアの豊かな国ランキング、日本は6位──IMF予測
  • 5
    人口減少が止まらない中国で、政府が少子化対策の切…
  • 6
    日本人には「当たり前」? 外国人が富士山で目にした…
  • 7
    【銘柄】オリエンタルランドが急落...日中対立が株価…
  • 8
    日本の「クマ問題」、ドイツの「問題クマ」比較...だ…
  • 9
    『SHOGUN 将軍』の成功は嬉しいが...岡田准一が目指…
  • 10
    「腸が弱ると全身が乱れる」...消化器専門医がすすめ…
トランプ2.0記事まとめ
Real
CHALLENGING INNOVATOR
Wonderful Story
MOOK
ニューズウィーク日本版別冊
ニューズウィーク日本版別冊

好評発売中