ニュース速報

ビジネス

東日本銀に業務改善命令、不適切な手数料などで=金融庁

2018年07月13日(金)22時45分

 7月13日、金融庁(写真)は、コンコルディア・フィナンシャルグループ傘下の東日本銀行に対し、銀行法に基づく業務改善命令を出したと正式発表した。昨年6月撮影(2018年 ロイター/Issei Kato)

[東京 13日 ロイター] - 金融庁は13日、コンコルディア・フィナンシャルグループ傘下の東日本銀行に対し、銀行法に基づく業務改善命令を出したと正式発表した。立ち入り検査の結果、融資に当たって金利以外に根拠が不明確な手数料を取るなど不適切な行為が判明。融資の審査態勢も不十分だった。金融庁は、同行のガバナンスが機能不全に陥っているとみて、経営責任の明確化や内部管理体制の改善を求めた。

金融庁は、1)経営責任の明確化、2)法令等順守態勢や顧客本位の業務運営態勢の確立と全行的な意識の向上、3)営業店や本部関係部署における相互けん制機能の確立、4)内部監査態勢の確立――について、8月13日までに報告書を提出するよう命じた。

金融庁の立ち入り検査で、東日本銀の83カ店中69支店で、融資する際に対価となるサービス内容が不明だったり、算定根拠が不透明な融資実行手数料を取っていたことが明らかになった。さらに、必要額以上に融資してその一部を定期預金に回させる「歩積み・両建て」も行われていた。金融庁は、東日本銀が顧客に対して不当な負担を強いていたにもかかわらず、監査部のチェックが形式的でこうした不正を見抜けなかったとしている。

東日本銀によると、不適切な融資実行手数料は計997件あり、4億6000万円の収入を得ていた。本部も了承済みで、顧客の同意が得られる限り、実行しても問題ないとの認識だったという。

このほかにも、地方公共団体の制度融資の対象先企業から、本来取るべきではない手数料を得ているケースも計210件(訂正)、1600万円(訂正)見つかった。

さらに、特定の副支店長が、営業成績を上げるために融資先に実態のない営業所の登記を行わせ、支店長の専決権限を行使させるといった不適切な融資を多数実行し、7億円の損失を発生させていた。支店長は融資先の営業実態や資金使途を十分に確認せず、融資実行を決裁していた。

金融庁は、東日本銀の経営陣が新規取引獲得を重視し過ぎるあまり、目先の収益を優先し、内部管理体制を敷いてこなかったと判断。行政処分に踏み切った。

会見した東日本銀行の酒井隆常務は「営業に人員を割いたため、内部管理の陣容が不備だった」と説明。持ち株会社のコンコルディア・フィナンシャルグループの神沢健治郎常務は「持ち株会社として(不適切事案を)知り得なかったのは事実であり、業務改善計画を策定する中で監督責任も含めて検討する」と語った。

*5段落目の324件、2500万円を210件、1600万円に訂正して再送します。

(和田崇彦、布施太郎)

ロイター
Copyright (C) 2018 トムソンロイター・ジャパン(株) 記事の無断転用を禁じます。

今、あなたにオススメ
ニュース速報

ワールド

豪首相、12日から訪中 中国はFTA見直しに言及

ビジネス

ドイツ輸出、5月は予想以上の減少 米国向けが2カ月

ビジネス

旧村上ファンド系、フジ・メディアHD株を買い増し 

ワールド

赤沢再生相、米商務長官と電話協議 「自動車合意なけ
MAGAZINE
特集:大森元貴「言葉の力」
特集:大森元貴「言葉の力」
2025年7月15日号(7/ 8発売)

時代を映すアーティスト・大森元貴の「言葉の力」の源泉にロングインタビューで迫る

メールマガジンのご登録はこちらから。
人気ランキング
  • 1
    シャーロット王女の「ロイヤル・ボス」ぶりが話題に...「曾祖母エリザベス女王の生き写し」
  • 2
    ディズニー・クルーズラインで「子供が海に転落」...父親も飛び込み大惨事に、一体何が起きたのか?
  • 3
    「飛行機内が臭い...」 原因はまさかの「座席の下」だった...異臭の正体にネット衝撃
  • 4
    アリ駆除用の「毒餌」に、アリが意外な方法で「反抗…
  • 5
    「ヒラリーに似すぎ」なトランプ像...ディズニー・ワ…
  • 6
    「やらかした顔」がすべてを物語る...反省中のワンコ…
  • 7
    米テキサス州洪水「大規模災害宣言」...被害の陰に「…
  • 8
    為末大×TAKUMI──2人のプロが語る「スポーツとお金」 …
  • 9
    後ろの川に...婚約成立シーンを記録したカップルの幸…
  • 10
    中国は台湾侵攻でロシアと連携する。習の一声でプー…
  • 1
    ディズニー・クルーズラインで「子供が海に転落」...父親も飛び込み大惨事に、一体何が起きたのか?
  • 2
    「やらかした顔」がすべてを物語る...反省中のワンコに1400万人が注目
  • 3
    後ろの川に...婚約成立シーンを記録したカップルの幸せ映像に「それどころじゃない光景」が映り込んでしまう
  • 4
    【クイズ】「宗教を捨てる人」が最も多い宗教はどれ?
  • 5
    職場でのいじめ・パワハラで自死に追いやられた21歳…
  • 6
    為末大×TAKUMI──2人のプロが語る「スポーツとお金」 …
  • 7
    「本物の強さは、股関節と脚に宿る」...伝説の「元囚…
  • 8
    「飛行機内が臭い...」 原因はまさかの「座席の下」…
  • 9
    シャーロット王女の「ロイヤル・ボス」ぶりが話題に..…
  • 10
    アリ駆除用の「毒餌」に、アリが意外な方法で「反抗…
  • 1
    「コーヒーを吹き出すかと...」ディズニーランドの朝食が「高額すぎる」とSNSで大炎上、その「衝撃の値段」とは?
  • 2
    「あまりに愚か...」国立公園で注意を無視して「予測不能な大型動物」に近づく幼児連れ 「ショッキング」と映像が話題に
  • 3
    庭にクマ出没、固唾を呑んで見守る家主、そして次の瞬間...「信じられない行動」にネット驚愕
  • 4
    10歳少女がサメに襲われ、手をほぼ食いちぎられる事…
  • 5
    JA・卸売業者が黒幕説は「完全な誤解」...進次郎の「…
  • 6
    気温40℃、空港の「暑さ」も原因に?...元パイロット…
  • 7
    ディズニー・クルーズラインで「子供が海に転落」...…
  • 8
    燃え盛るロシアの「黒海艦隊」...ウクライナの攻撃で…
  • 9
    「小麦はもう利益を生まない」アメリカで農家が次々…
  • 10
    イランを奇襲した米B2ステルス機の謎...搭乗した専門…
トランプ2.0記事まとめ
日本再発見 シーズン2
CHALLENGING INNOVATOR
Wonderful Story
MOOK
ニューズウィーク日本版別冊
ニューズウィーク日本版別冊

好評発売中