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金融庁、投信販売で共通指標を導入 顧客の損益分布など3項目

6月29日、金融庁は、投資信託を販売する銀行や証券会社に対して、顧客の運用損益別の比率など3項目の共通指標を導入し、統一基準で算出・公表することを求めると正式発表した。写真は都内で2013年11月撮影(2018年 ロイター/Toru Hanai)
[東京 29日 ロイター] - 金融庁は29日、投資信託を販売する銀行や証券会社に対して、顧客の運用損益別の比率など3項目の共通指標を導入し、統一基準で算出・公表することを求めると正式発表した。銀行や証券会社による「顧客本位の業務運営」を促すための措置で、共通の指標を通じ、顧客が負うリスクとリターンが見合っているかなど販売体制の適正さを比較しやすくする。
共通指標は、1)投信とファンドラップの運用損益別顧客比率、2)投信の預かり残高上位20銘柄の購入コストとリターン、3)投信の預かり残高上位20銘柄のリスクとリターンの3つ。指標を通じ、手数料や商品のリスクに見合ったリターンを顧客が得られているかを浮き彫りにするのが狙い。
金融庁は、毎年3月末を基準日に同庁が決めた統一の算出方法に基づき、データを算出するよう求める。年1回の更新を想定し、過去分の公表も求める。
同庁は29日、主要行等9行、地方銀行20行を対象に共通指標を算出した結果を公表した。全29行を合算した18年3月末時点の運用損益別顧客比率では、46%の顧客は運用損益率がマイナスだった。一方、投信の預かり残高上位20銘柄のうち、設定後5年以上の投信のコストとリターンを検証したところ、両者に明確な関係はなく、顧客がコストに見合ったリターンを必ずしも得ているわけではないことが明らかになった。
金融庁は17年、投信の販売手数料の明確化などで構成する「顧客本位の業務運営の原則」を策定。金融機関に自社の取り組みや取り組みの進捗を示す指標の公表を求めてきた。しかし、金融機関が独自に設定する指標は算出方法がばらばらで、自社に都合のいい指標が公表されて利用者の利便性にそぐわないリスクがある。
金融庁は、利用者が金融機関の状況を比較しやすくするため、各社共通の指標を検討してきた。今後、他の金融商品や他の金融セクターについても、指標の導入を検討する方針。
*内容を追加しました。
(和田崇彦)