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米FRB議長「忍耐強く」削除し毎回利上げ検討へ、時期は示さず

2015年02月25日(水)10時18分

 2月24日、イエレン米FRB議長は、上院銀行委員会で証言を行った。写真はワシントンで同日撮影(2015年 ロイター/Kevin Lamarque)

[ワシントン 24日 ロイター] - イエレン米連邦準備理事会(FRB)議長は24日、上院銀行委員会で行った半期に一度の証言で、 FRBは毎回の連邦公開市場委員会(FOMC)で利上げを検討する方向で準備を進めていると述べた。

証言で議長はFRBが利上げ開始に向けどのように準備を進めるか説明。FRBは先ず、12月のFOMC声明から採用している政策金利の先行きを示すフォワードガイダンスの「忍耐強くいられる(patient)」との文言を削除し、どのFOMCでも利上げ決定が可能な段階に移行すると述べた。

議長は、こうしたアプローチは経済指標で利上げ開始が正当化された時にFRBが行動を起こすことができることを示しており、FRBがある特定のFOMCで利上げを決定することにはつながらないと強調した。

こうしたアプローチにより、早くて6月にもFRBが利上げ開始に踏み切る可能性も出てきたものの、市場では今回の証言は利上げ時期の遅延を示すものとおおむね受け止められた。

証言を受け、短期金利先物は小幅下落し、CMEフェドウオッチによると、市場が織り込む2015年9月の利上げ確率は56%と、証言原稿発表前の54%から上昇した。また2時間にわたる議会証言終了までには、最初の利上げ時期は9月から10月に後ずれした。

<利上げ開始時期の明確な手掛かり得られず>

イエレン議長は証言で、「政策正常化の開始にあたり『忍耐強く(patient)』いられるとしたFOMCの見解は、少なくとも今後数回(the next couple of)の会合でフェデラルファンド(FF)金利の誘導目標レンジを引き上げることを経済状況が正当化する公算が小さいと判断していることを示している」と指摘。

「景気回復がFOMCの予想通り続けば、いずれかの時点でFF金利の誘導目標を引き上げることを会合ごとに検討する」とし、「それまでにはFOMCはフォワードガイダンスを変更する。だがフォワードガイダンスの変更は、FOMCが数回の会合で必ず目標レンジを引き上げると解釈されるべきではないと強調することが重要だ」と述べた。

ドライブウエルスの首席市場ストラテジスト、ブライアン・ドラン氏は、「イエレン議長は依然、決定にかなりの余地を残しているようで、利上げが間近に迫っているとの表明を急いでいるようには見えない」と指摘。アナリストは、今回の議長証言からFRBが利上げ開始に踏み切る時期について新たな手掛かりはほとんど得られなかったとしている。

<低インフレに懸念>

米経済については、労働市場の回復が実感でき、主要経済指標も「堅調なペースで上向いている」と指摘。ただ、労働市場は完全な回復には至っておらず、世界経済が期待されたほど強くないこともあいまって、米経済見通しは幾分かげりを見せているとの認識も示した。

議長は「回復はようやく根付き始め、これにより労働市場が改善しつつあるが、FRBが早過ぎる時期に利上げを行えば、こうした動きが阻害されるリスクがある」とし、時期尚早な利上げのリスクに言及。一方、「緩和策解除を待ち過ぎることのリスクも存在する」とも述べ、「恩恵とリスクの均衡点を探ろうとしている」との慎重な立場も示した。

ただ、今回の議会証言を受け、FRBが早くて次回3月のFOMC声明から「忍耐強く」との文言を削除する可能性もあるとの見方も出ている。FOMCの中道派を含む複数の政策担当者はこれまでに、利上げ開始は6月までに討議される必要があるとの立場を示している。

イエレン議長はこの日の証言に続き25日に下院金融委員会で証言を行う。

*内容を追加し見出しを変更しました。

ロイター
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