ニュース速報

トランプ氏、FRBにマイナス金利要求 パウエル議長を再批判

2019年09月12日(木)08時05分

[ワシントン 11日 ロイター] - トランプ米大統領は11日、ツイッターへの投稿で、マイナス金利政策は政府の債務費節減に貢献するなどと指摘、米連邦準備理事会(FRB)に対し政策金利をマイナス圏まで引き下げるよう要求した。同時に、「『愚か者ども』のためにわれわれは千載一遇の機会を失っている」と述べ、改めてジェイ・パウエルFRB議長らを批判した。

トランプ氏は投稿の中で、「FRBは政策金利をゼロ%、もしくはそれを下回る水準に引き下げる必要がある。それを受け、われわれは債務の借り換えを行う。金利は大幅に引き下げられる。同時に、期間を大幅に長期化させることもできる」と指摘。

「われわれは素晴らしい通貨、権限、そしてバランスシートを有している。米国は常に最も低い金利を支払うべきだ。インフレはない!」とも述べ、さらに「他の国がすでにやっていることを認めようとしないのは、ばか正直なジェイ・パウエルとFRBだけだ」と批判した。

ただ、トランプ氏は、景気底上げに向けマイナス金利政策を導入した欧州中央銀行(ECB)や日銀が直面しているリスクや金融市場の緊張には言及せず、マイナス金利が想定通りに成長を促進したりインフレを押し上げたりしていない事実にも触れなかった。

来年に大統領選挙を控え、トランプ氏はこれまでも繰り返しFRBに利下げを呼び掛けており、景気支援に向け積極的な金融緩和に動かないFRBとパウエル議長を批判してきた。ただ先月には、マイナス金利政策について反対する姿勢を示していた。

FRBは7月30─31日に開いた連邦公開市場委員会(FOMC)で、フェデラルファンド(FF)金利の誘導目標を2.00─2.25%に25ベーシスポイント(bp)引き下げることを決定し、2008年以来初めての利下げに踏み切った。金融市場ではFRBは今月17─18日の次回FOMCで追加利下げを決定するとの見方が大勢になっている。[nL4N24W51E][nL3N25X3G2]

トランプ氏のこの日のツイートの意図について問われると、ホワイトハウス当局者は「大統領は国家の債務を減らすために使える全てのツールを検討している。われわれは議会に対し、無駄な支出を減らす取り組みに加わるよう求めている」と述べた。

米紙ワシントンポストは先月、不動産事業を営むトランプ氏がホテルなどに関連して借り入れを抱えているため、FRBが金利を引き下げれば個人的に大きな恩恵が受けられると報じている。

ピュー研究所によると、連邦政府が負担する米国債の利払い費は今年度は約4000億ドル、28年度までには9140億ドル超に膨らむ見通し。だが、連邦政府の経費全体に占める利払い費の割合は約8.7%と、1970─80年代の超高金利政策の後で15%を超えていた1990年代半ばからは大きく低下している。

ジャニー・モントゴメリー・スコットのチーフ投資ストラテジスト、マーク・ルスチーニ氏は、ゼロあるいはマイナス金利について、景気後退期には適切だろうが、失業率が記録的低水準にある景気拡大期の経済においては「最終的に次の金融危機を創出する可能性がある」と指摘。「人々はよりリスクを取るようになる」とした。

FRB当局者は以前からマイナス金利について、政策的に支持できない、リスクを冒すに値しないとして重要視していない。

*内容を追加して再送します。

ロイター
Copyright (C) 2019 トムソンロイター・ジャパン(株) 記事の無断転用を禁じます。

今、あなたにオススメ
ニュース速報

ワールド

米英首脳、両国間の投資拡大を歓迎 「特別な関係」の

ワールド

トランプ氏、パレスチナ国家承認巡り「英と見解相違」

ワールド

訂正-米政権、政治暴力やヘイトスピーチ規制の大統領

ビジネス

英中銀が金利据え置き、量的引き締めペース縮小 長期
MAGAZINE
特集:世界が尊敬する日本の小説36
特集:世界が尊敬する日本の小説36
2025年9月16日/2025年9月23日号(9/ 9発売)

優れた翻訳を味方に人気と評価が急上昇中。21世紀に起きた世界文学の大変化とは

メールマガジンのご登録はこちらから。
人気ランキング
  • 1
    「何だこれは...」クルーズ船の客室に出現した「謎の物体」にSNS大爆笑、「深海魚」説に「カニ」説も?
  • 2
    燃え上がる「ロシア最大級の製油所」...ウクライナ軍、夜間に大規模ドローン攻撃 国境から約1300キロ
  • 3
    1年で1000万人が死亡の可能性...迫る「スーパーバグ」感染爆発に対抗できる「100年前に忘れられた」治療法とは?
  • 4
    「日本を見習え!」米セブンイレブンが刷新を発表、…
  • 5
    「最悪」「悪夢だ」 飛行機内で眠っていた女性が撮影…
  • 6
    アジア作品に日本人はいない? 伊坂幸太郎原作『ブ…
  • 7
    中国山東省の住民が、「軍のミサイルが謎の物体を撃…
  • 8
    ケージを掃除中の飼い主にジャーマンシェパードがま…
  • 9
    中国経済をむしばむ「内巻」現象とは?
  • 10
    「ゾンビに襲われてるのかと...」荒野で車が立ち往生…
  • 1
    「最悪」「悪夢だ」 飛行機内で眠っていた女性が撮影...目覚めた時の「信じがたい光景」に驚きの声
  • 2
    「中野サンプラザ再開発」の計画断念、「考えてみれば当然」の理由...再開発ブーム終焉で起きること
  • 3
    【クイズ】次のうち、飲むと「蚊に刺されやすくなる」飲み物はどれ?
  • 4
    科学が解き明かす「長寿の謎」...100歳まで生きる人…
  • 5
    「二度見した」「小石のよう...」マッチョ俳優ドウェ…
  • 6
    「我々は嘘をつかれている...」UFOらしき物体にミサ…
  • 7
    【クイズ】世界で唯一「蚊のいない国」はどこ?
  • 8
    【クイズ】世界で1番「島の数」が多い国はどこ?
  • 9
    「何だこれは...」クルーズ船の客室に出現した「謎の…
  • 10
    電車内で「ウクライナ難民の女性」が襲われた驚愕シ…
  • 1
    「4針ですかね、縫いました」日本の若者を食い物にする「豪ワーホリのリアル」...アジア出身者を意図的にターゲットに
  • 2
    【クイズ】世界で唯一「蚊のいない国」はどこ?
  • 3
    「まさかの真犯人」にネット爆笑...大家から再三「果物泥棒」と疑われた女性が無実を証明した「証拠映像」が話題に
  • 4
    信じられない...「洗濯物を干しておいて」夫に頼んだ…
  • 5
    「最悪」「悪夢だ」 飛行機内で眠っていた女性が撮影…
  • 6
    「中野サンプラザ再開発」の計画断念、「考えてみれ…
  • 7
    「我々は嘘をつかれている...」UFOらしき物体にミサ…
  • 8
    プール後の20代女性の素肌に「無数の発疹」...ネット…
  • 9
    【クイズ】次のうち、飲むと「蚊に刺されやすくなる…
  • 10
    「怖すぎる」「速く走って!」夜中に一人ランニング…
トランプ2.0記事まとめ
日本再発見 シーズン2
CHALLENGING INNOVATOR
Wonderful Story
MOOK
ニューズウィーク日本版別冊
ニューズウィーク日本版別冊

好評発売中