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イランと西側の対立激化か、英がタンカー拿捕

2019年07月05日(金)15時47分

[ロンドン/ドバイ 4日 ロイター] - 英海兵隊は4日、欧州連合(EU)の制裁に違反してシリアに原油を輸送していた疑いのあるイランの大型石油タンカーを英領ジブラルタル沖で拿捕(だほ)した。イランは抗議しており、同国と西側諸国の対立が深まる恐れがある。

拿捕されたタンカーは30万トン級の「グレース1」。中東から地中海方面に向けアフリカ大陸南端沖を航行した後、スペインの南端に位置するジブラルタル沖で拿捕された。

イラン外務省は同国駐在の英国大使を呼び出し、拿捕は「違法で容認できない」として厳重に抗議。拿捕されたタンカーはパナマ国旗を掲揚して運航し運航会社としてシンガポールに拠点を置く企業が登録されているが、イランが抗議したことから、イランのタンカーであることが明確になった。

パナマ海運当局は、グレース1は5月29日時点でパナマ船籍の登録から外れていると明らかにした。

ボルトン米大統領補佐官(国家安全保障問題担当)は4日、英当局によるタンカー拿捕に歓迎の意を表明。ツイッターに「米国と同盟国は引き続き、イランとシリアの政権が違法な取引で利益を挙げるのを阻止する」と投稿した。

ロイターが入手した輸送に関する情報によると、グレース1はイランの沖合いで積荷されたイラン産原油を輸送していた可能性がある。ただ同タンカーの文書には積載された原油はイラク産と記載されている。

欧州はシリアへの石油輸出を2011年から禁止しているが、これに絡む石油タンカーの拿捕は今回が初めて。イランに対しては、米国のように広範な制裁は行っていない。

企業に対し制裁措置に関する助言を行なっている法律事務所ピルスベリー・ウィンスロップ・ショー・ピットマンのパートナー、マシュー・オレスマン氏は「EUが公然とこのような強硬な行動に出るのは初めて。北大西洋条約機構(NATO)加盟国の軍隊が関与していることを踏まえると、米国と何らかの方法で調整が行われていたと考えている」と指摘。

「シリアとイランのほか、米国に対し、欧州は制裁履行を真剣にとらえており、進行中の核協議に関するイランの瀬戸際政策にもEUは対応可能であるとのメッセージを送る意味合いがあった公算が大きい」との見方を示した。

イランがグレース1が同国の保有であることを明確にし、積載された原油もイラン産である可能性が高いことを踏まえると、拿捕はイラン産原油の全面禁輸を科す米国の制裁にも関係しているとみられる。

欧州諸国はこれまで、イランと米国との対立激化に関して中立的な立場を維持してきた。

ジブラルタル自治政府は、制裁対象に指定されている組織が所有するシリアのバニヤス製油所向けの原油をグレース1が輸送していたと見なす正当な理由があると指摘。ピカルド自治政府首相は「ジブラルタル当局はタンカー拿捕に英海兵隊の支援を求めた」と述べた。メイ英首相の報道官はジブラルタル当局の対応を歓迎した。

ジブラルタルの領有権を英国と争うスペインは、拿捕は米国が英国に要請したもので、スペイン領海内で行われた可能性があるとの見方を示した。英外務省はコメントの求めに応じていない。

欧米の対シリア制裁にかかわらず、イランは長年にわたりシリア国内のイラン系勢力に原油を供給してきた。シリア制裁に加え、米国は昨年、イラン核合意から離脱し、対イラン制裁を再開した。今年の5月以降、イラン制裁は大幅に強化されており、イランは実質的に主要な石油市場から締め出された。

グレース1について、ロイターは今年に入り、米制裁措置に違反してイラン産原油をシンガポールと中国に輸送しているタンカー4隻のうちの1隻だと報道していた。

*動画を追加しました。

ロイター
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