ニュース速報

イランのウラン上限超過、欧州は緊張緩和に注力 制裁再開求めず

2019年07月03日(水)06時06分

[ドバイ/ベルリン 2日 ロイター] - イランの低濃縮ウラン貯蔵量が2015年の核合意で規定した上限を超えたことについて、欧州各国は現時点で国連による制裁再開につながる手続きを求めない考えだという。

イランは1日、低濃縮ウラン貯蔵量が核合意で定めた上限を超えたと表明。米政府は同国への圧力を継続すると即座に表明した。

上限超過はイランに対するあらゆる制裁再開につながる可能性がある。ただ欧州のある外交官は、核合意に盛り込まれた規定順守に関する紛争解決手続きを発動するかと尋ねられ、「現時点ではない。危機を緩和したい」と述べた。

別の外交官は、英国、フランス、ドイツがイランを合意履行に引き戻すことに注力する方針で、対話のための時間をこれまで以上にもとめていると指摘。「短期的に、イランは合意順守に戻る必要がある。対話の余地はある」と述べた。

また、独仏英の外相は2日、共同声明を発表し、イランの低濃縮ウラン貯蔵量が上限を超えたことについて「強く懸念している」と表明。「われわれの核合意へのコミットメントはイランの完全な履行に基づいている」とし、「イランがこの措置を取り消し、核合意を弱体化させるさらなる行動を控えるよう求める」と訴えた。

イランのザリフ外相は、ウラン貯蔵量が上限を超えたことについて、米国が昨年一方的に核合意から離脱したことに対応する権利を履行しているのであって、合意違反ではないと主張。

また2日には、イランが核合意に以前から違反してきたとする米ホワイトハウスの主張を否定した。

ホワイトハウスのグリシャム報道官が「核合意の成立前からイランが合意内容に違反していたことに疑いの余地はほとんどない」と述べたことを受け、ザリフ外相はツイッターに「本気で言っているのか?」と投稿した。

米中央情報局(CIA)のハスペル長官は1月に上院情報委員会で「現時点でイランは合意を順守している」と証言しており、15年に核合意が成立する前も後もイランはおそらく合意内容に違反していたとのホワイトハウスの主張はこれと矛盾する。

米シンクタンク、軍備管理協会のダリル・キンボール会長は、ホワイトハウスの主張は「非論理的」だと指摘した。

一方、イスラエルのカッツ外相は、イランと米国の対立が激化した場合に備え軍事的な関与の準備を進めていると明らかにした。イラン体制による誤算により、自制された対立から軍事的衝突にシフトする恐れがあることを考慮すべきだとし、「われわれはこの事態に備える必要がある」と強調した。

*内容を追加しました。

ロイター
Copyright (C) 2019 トムソンロイター・ジャパン(株) 記事の無断転用を禁じます。

今、あなたにオススメ
ニュース速報

ワールド

ベイルート米大使館の一部要員らに退去命令=国務省高

ワールド

トランプ氏、メキシコに麻薬カルテル取り締まり強化を

ワールド

米関税引き上げの影響不透明、長期化も=テイラー中銀

ビジネス

ウォラーFRB理事、2月雇用統計堅調なら金利据え置
MAGAZINE
特集:ウクライナ戦争4年 苦境のロシア
特集:ウクライナ戦争4年 苦境のロシア
2026年2月24日号(2/17発売)

帰還兵の暴力、ドローンの攻撃、止まらないインフレ。国民は疲弊しプーチンの足元も揺らぐ

メールマガジンのご登録はこちらから。
人気ランキング
  • 1
    アルコールは血糖値を下げる...「脳と血管を守る」医師がすすめる意外な健康習慣
  • 2
    「水道水」が筋トレの成果を左右する...私たちの体には濾過・吸収する力が備わっている
  • 3
    カビが植物に感染するメカニズムに新発見、硬い表面を突き破って侵入する力の正体が明らかに
  • 4
    ペットとの「別れの時」をどう見極めるべきか...獣医…
  • 5
    揺れるシベリア...戦費の穴埋めは国民に? ロシア中…
  • 6
    少女買春に加え、国家機密の横流しまで...アンドルー…
  • 7
    100万人が死傷、街には戦場帰りの元囚人兵...出口な…
  • 8
    米国の中国依存が低下、台湾からの輸入が上回る
  • 9
    命は長し、働け女たち――88歳「働くばあさん」が説く…
  • 10
    ロシアに蔓延する「戦争疲れ」がプーチンの立場を揺…
  • 1
    「ヘル・コリア」から日本へ7万人 ── 大企業の高給より日本の「100%就職率」を選ぶ若者たち
  • 2
    命は長し、働け女たち――88歳「働くばあさん」が説く高齢期の「4つの覚悟」
  • 3
    「水道水」が筋トレの成果を左右する...私たちの体には濾過・吸収する力が備わっている
  • 4
    「#ジェームズ・ボンドを忘れろ」――MI6初の女性長官…
  • 5
    海外(特に日本)移住したい中国人が増えている理由.…
  • 6
    カビが植物に感染するメカニズムに新発見、硬い表面…
  • 7
    100万人が死傷、街には戦場帰りの元囚人兵...出口な…
  • 8
    ロシアに蔓延する「戦争疲れ」がプーチンの立場を揺…
  • 9
    オートミール中心の食事がメタボ解消の特効薬に
  • 10
    少女買春に加え、国家機密の横流しまで...アンドルー…
  • 1
    【クイズ】致死率50~75%...インドで感染拡大「ニパウイルス」の感染源となる動物は?
  • 2
    ウクライナ戦闘機「F-16」がロシア軍「シャヘド」を空中爆破...地上から撮影の「レア映像」を公開
  • 3
    高市積極財政にアメリカが慌てる理由
  • 4
    セーターが消えた冬 ── 暖かさの主戦場が「インナー」…
  • 5
    台湾侵攻「失敗」の大きすぎる代償
  • 6
    「最恐」恐竜T・レックスの定説を覆す新研究が
  • 7
    イースター島の先住民から資源を略奪、島を「生きた…
  • 8
    「ヘル・コリア」から日本へ7万人 ── 大企業の高給より…
  • 9
    中国、パナマ運河の港湾喪失でパナマに報復──トラン…
  • 10
    「罠に嵌められた」と主張するが...欧州で次々と摘発…
トランプ2.0記事まとめ
Real
CHALLENGING INNOVATOR
Wonderful Story
MOOK
ニューズウィーク日本版別冊
ニューズウィーク日本版別冊

好評発売中