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イランのウラン上限超過、欧州は緊張緩和に注力 制裁再開求めず
[ドバイ/ベルリン 2日 ロイター] - イランの低濃縮ウラン貯蔵量が2015年の核合意で規定した上限を超えたことについて、欧州各国は現時点で国連による制裁再開につながる手続きを求めない考えだという。
イランは1日、低濃縮ウラン貯蔵量が核合意で定めた上限を超えたと表明。米政府は同国への圧力を継続すると即座に表明した。
上限超過はイランに対するあらゆる制裁再開につながる可能性がある。ただ欧州のある外交官は、核合意に盛り込まれた規定順守に関する紛争解決手続きを発動するかと尋ねられ、「現時点ではない。危機を緩和したい」と述べた。
別の外交官は、英国、フランス、ドイツがイランを合意履行に引き戻すことに注力する方針で、対話のための時間をこれまで以上にもとめていると指摘。「短期的に、イランは合意順守に戻る必要がある。対話の余地はある」と述べた。
また、独仏英の外相は2日、共同声明を発表し、イランの低濃縮ウラン貯蔵量が上限を超えたことについて「強く懸念している」と表明。「われわれの核合意へのコミットメントはイランの完全な履行に基づいている」とし、「イランがこの措置を取り消し、核合意を弱体化させるさらなる行動を控えるよう求める」と訴えた。
イランのザリフ外相は、ウラン貯蔵量が上限を超えたことについて、米国が昨年一方的に核合意から離脱したことに対応する権利を履行しているのであって、合意違反ではないと主張。
また2日には、イランが核合意に以前から違反してきたとする米ホワイトハウスの主張を否定した。
ホワイトハウスのグリシャム報道官が「核合意の成立前からイランが合意内容に違反していたことに疑いの余地はほとんどない」と述べたことを受け、ザリフ外相はツイッターに「本気で言っているのか?」と投稿した。
米中央情報局(CIA)のハスペル長官は1月に上院情報委員会で「現時点でイランは合意を順守している」と証言しており、15年に核合意が成立する前も後もイランはおそらく合意内容に違反していたとのホワイトハウスの主張はこれと矛盾する。
米シンクタンク、軍備管理協会のダリル・キンボール会長は、ホワイトハウスの主張は「非論理的」だと指摘した。
一方、イスラエルのカッツ外相は、イランと米国の対立が激化した場合に備え軍事的な関与の準備を進めていると明らかにした。イラン体制による誤算により、自制された対立から軍事的衝突にシフトする恐れがあることを考慮すべきだとし、「われわれはこの事態に備える必要がある」と強調した。
*内容を追加しました。