ニュース速報

英EU、離脱後の関係定める「政治宣言」草案で大筋合意

2018年11月23日(金)11時54分

[ブリュッセル/ロンドン 22日 ロイター] - 英国と欧州連合(EU)は22日、英離脱後の関係の大枠を定める「政治宣言」の草案で大筋合意した。当局者が明らかにした。ただ、漁業問題のほか、イベリア半島の南東端にある英領ジブラルタル問題についてはなお詰めの協議が必要になる。

大筋合意が伝わったことで外国為替市場で英ポンドは約1%上昇した。

ロイターが入手した政治宣言の草案文書は、EUと英国は「野心的で広範、かつ均衡の取れた経済関係の構築を目指すことで合意した」とし、「このパートナーシップは包括的で、自由貿易圏、および広範なセクター別の協力を内包し、公平な競争の場の確保に向けた規定に裏打ちされたものとなる」としている。

このほか、離脱後の英国とEUとの関係は「EUの単一市場と関税同盟の全体性、ならびに英国の国内市場を尊重するもので、この経済パートナーシップを超えて英国が独立的な通商政策を発展させることを認めるものとなる」とした。

英国のメイ首相は21日にブリュッセルでユンケル欧州委員長と会談。25日の英離脱合意巡るEU特別首脳会議に備え、GMT24日1700(日本時間25日午前2時)に再びユンケル氏と会談する。

ユンケル委員長の報道官は、24日までには問題は大方解決されるとの見方を表明。EU当局者も、合意に至っていない些細な問題で25日の最終合意が遅延することはないとの見方が大勢となっているとしている。

主に疑問が残るのは、ジブラルタル問題でスペインを説得できるかどうかだ。スペイン南海岸の半島にあるジブラルタルは1713年に英領となったが、スペインはかねてより領有権を主張している。

スペインのサンチェス首相は22日夜のツイッターへの投稿で、「メイ首相との協議後も、われわれの見解は大きくかけ離れたままだ。スペイン政府は常に国益を保護する。修正がなければ、離脱案に反対する」と表明した。

25日の特別首脳会議では、メイ首相以外の首脳が事前に1時間の協議を行い、交渉のすり合わせを行う。議長を務めるトゥスクEU大統領も「交渉官レベルで合意されたほか、政治レベルでも大筋合意に至った」と述べている。

メイ首相は閣僚に協議の進展状況を説明。ただメイ首相の報道官は、25日の特別首脳会議に先立ち最終的な合意が得られることはないと述べた。

政治宣言での大筋合意を受けた与党内の離脱支持派の反応は冷ややかで、多くは納得していないもよう。野党のコービン党首も22日、離脱を巡りメイ首相が合意した内容は世界最悪だと非難した。

メイ首相は離脱交渉は重要な局面に差し掛かっているとの認識を表明。大筋合意した政治宣言に基づき、英国は移行期間の通商協定などについて交渉を進めることができると述べた。

*内容を追加しました。

(※原文記事など関連情報は画面右側にある「関連コンテンツ」メニューからご覧ください)

ロイター
Copyright (C) 2018 トムソンロイター・ジャパン(株) 記事の無断転用を禁じます。

今、あなたにオススメ
ニュース速報

ビジネス

ユーロ圏インフレは当面2%程度、金利は景気次第=ポ

ビジネス

ECB、動向次第で利下げや利上げに踏み切る=オース

ビジネス

ユーロ圏の成長・インフレリスク、依然大きいが均衡=

ビジネス

アングル:日銀、追加利上げへ慎重に時機探る 為替次
MAGAZINE
特集:教養としてのBL入門
特集:教養としてのBL入門
2025年12月23日号(12/16発売)

実写ドラマのヒットで高まるBL(ボーイズラブ)人気。長きにわたるその歴史と深い背景をひもとく

メールマガジンのご登録はこちらから。
人気ランキング
  • 1
    「最低だ」「ひど過ぎる」...マクドナルドが公開したAI生成のクリスマス広告に批判殺到
  • 2
    「勇気ある選択」をと、IMFも警告...中国、輸出入ともに拡大する「持続可能な」貿易促進へ
  • 3
    日本がゲームチェンジャーの高出力レーザー兵器を艦載、海上での実戦試験へ
  • 4
    おこめ券、なぜここまで評判悪い? 「利益誘導」「ム…
  • 5
    ゆっくりと傾いて、崩壊は一瞬...高さ35mの「自由の…
  • 6
    一瞬にして「巨大な橋が消えた」...中国・「完成直後…
  • 7
    【独占画像】撃墜リスクを引き受ける次世代ドローン…
  • 8
    中国最強空母「福建」の台湾海峡通過は、第一列島線…
  • 9
    中国の次世代ステルス無人機「CH-7」が初飛行。偵察…
  • 10
    中国、ネット上の「敗北主義」を排除へ ――全国キャン…
  • 1
    日本がゲームチェンジャーの高出力レーザー兵器を艦載、海上での実戦試験へ
  • 2
    人口減少が止まらない中国で、政府が少子化対策の切り札として「あるもの」に課税
  • 3
    「勇気ある選択」をと、IMFも警告...中国、輸出入ともに拡大する「持続可能な」貿易促進へ
  • 4
    【実話】学校の管理教育を批判し、生徒のため校則を…
  • 5
    「最低だ」「ひど過ぎる」...マクドナルドが公開した…
  • 6
    ミトコンドリア刷新で細胞が若返る可能性...老化関連…
  • 7
    自国で好き勝手していた「元独裁者」の哀れすぎる末…
  • 8
    【銘柄】資生堂が巨額赤字に転落...その要因と今後の…
  • 9
    香港大火災の本当の原因と、世界が目撃した「アジア…
  • 10
    身に覚えのない妊娠? 10代の少女、みるみる膨らむお…
  • 1
    日本がゲームチェンジャーの高出力レーザー兵器を艦載、海上での実戦試験へ
  • 2
    人口減少が止まらない中国で、政府が少子化対策の切り札として「あるもの」に課税
  • 3
    日本人には「当たり前」? 外国人が富士山で目にした「信じられない」光景、海外で大きな話題に
  • 4
    【銘柄】オリエンタルランドが急落...日中対立が株価…
  • 5
    「髪形がおかしい...」実写版『モアナ』予告編に批判…
  • 6
    日本の「クマ問題」、ドイツの「問題クマ」比較...だ…
  • 7
    膝が痛くても足腰が弱くても、一生ぐんぐん歩けるよ…
  • 8
    高速で回転しながら「地上に落下」...トルコの軍用輸…
  • 9
    「勇気ある選択」をと、IMFも警告...中国、輸出入と…
  • 10
    インド国産戦闘機に一体何が? ドバイ航空ショーで…
トランプ2.0記事まとめ
Real
CHALLENGING INNOVATOR
Wonderful Story
MOOK
ニューズウィーク日本版別冊
ニューズウィーク日本版別冊

好評発売中