<日銀は金融政策決定会合で利上げを決断したが――同時に発表したある方針と前代未聞の総裁欠席に危険な兆候が見える>
日銀は2026年6月15、16両日に開催した金融政策決定会合において、政策金利を現在の0.75%から0.25ポイント引き上げ、1%とすることを決めた。政策金利が1%というのは31年ぶりの水準となる。
今の日本経済は、日銀が実施した大規模緩和策の影響で激しいインフレに見舞われており、長期金利は既に3%をうかがう水準となっている。短期金利である政策金利が0.75%というのは、もはや理論的にあり得ない数字であり、日銀に対しては速やかな利上げが求められていた。
こうした状況にもかかわらず、前回の金融政策決定会合では利上げを見送る判断を行ったことから、今回の会合で利上げが実施できなかった場合、日銀は極めて厳しい状況に追い込まれるとの見方が広がっていた。
高市政権は表面的には金融政策について日銀に判断を委ねるとしているものの、アベノミクスの継続を強く望んでおり、水面下で日銀に金利を据え置くことを要請しているのはほぼ間違いない。こうしたなか、取りあえず利上げを決断できたことは、多少の安心材料にはなるものの、中身をよく見ると必ずしもそうとは言えない苦しい事情が浮かび上がる。
今回、日銀は政策金利の引き上げを実施すると同時に、国債の買い入れ減額という、いわゆる正常化措置を停止する見通しも明らかにしている。これまで日銀は金融正常化の一環として国債の買い入れ減額を進めてきた。だが、今回の会合では、来年3月までは四半期ごとに2000億円の減額を進めるものの、その後は減額を停止し、月当たり2兆円程度の買い入れ継続を決めた。金利は引き上げて大規模緩和策からの撤退方針を示す一方で、国債の買い入れは継続するとなると、やはりブレーキとアクセルを両方踏む状態が続いてしまう。