日銀あるいは国内の専門家は、金利にばかり着目するが、ヘッジファンドなど中央銀行に対して攻撃を仕掛けるような投資家は、むしろ国債の買い入れペースや日銀のバランスシートに着目する傾向が強い。今回の決定が、金融正常化ではなく、むしろ量的緩和の継続という誤ったメッセージを市場に伝えてしまう可能性も否定できず、そうなると、日本には再び金利上昇圧力や円安圧力が加わることになる。

困ったことに、この重大な局面において植田和男総裁が感染症治療のため入院し、金融政策決定会合を欠席した。会合は9人ではなく8人での採決となり、会見も内田真一副総裁が実施するという前代未聞の事態となった(決定会合は絶対に結論が出るよう奇数で構成されるルールとなっている)。

市場の攻撃が再び為替に向かう可能性

関係者の一部からは、植田氏は金利据え置きを望んでいたものの、審議委員らの反対でやむなく取り下げたとの見方が出ている。真偽は不明だが、こうした観測が流れるなか、病気とはいえ、極めて重大な意味を持つ今回の会合を総裁が欠席したことの影響は計り知れない。

今回の決定が、ガバナンスの不安定化、あるいは緩和策継続のメッセージとして市場に伝わった場合、ヘッジファンドなど市場からの攻撃は、金利ではなく再び為替に向かう可能性が高まってくる。ここで政府が介入という悪手を再び繰り出した場合、日本政府や日銀に対する市場の信認はさらに崩れることになるだろう。
 

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