市場関係者は来年の新興国市場について、長年の世界的な利上げに終止符が打たれ、ゴルディロックス(適温)相場が期待できると予想していたが、米大統領選でトランプ前大統領が勝利したことを受けて、先行き不透明感が大きく高まっている。

市場では大統領選の開票結果を受けて、ドル高が進行。次期トランプ政権による関税の引き上げや、財源の裏付けのない歳出拡大、米利下げペースの鈍化に対する懸念が浮上しており、一部の新興国通貨・債券の重しになっている。

 

欧州最大の資産運用会社アムンディの新興国市場グローバルヘッド、イェルラン・シジコフ氏は「当社は今年、新興国資産に前向きで、パフォーマンスも好調だが、来年のことを考え、現地通貨建てとハードカレンシー建ての双方で慎重な姿勢を取る必要がある」と指摘。共和党が大統領選と上院選に加え、下院選でも勝利すれば「形勢が少し変わってくるだろう」と述べた。

国際金融協会(IIF)のデータによると、新興国株式・債券への純資金流入額は2022年には事実上ゼロだったが、今年は9月時点で2500億ドル弱に回復。昨年通年の1770億ドルを上回った。

パインブリッジ・インベストメンツのシニア・ポートフォリオ・マネジャー、アンダース・フェールゲマン氏は「大統領選前は新興国市場について楽観論が多かった」とし、新興国と先進国の成長格差が10年ぶりの高水準にあることを指摘した。

JPモルガンの新興国ハードカレンシー建て債券指数は今年のリターンが6%前後。現地通貨建て債券は小動きで推移している。

アリアンツ・グローバル・インベスターズは、16年の大統領選ではトランプ氏が予想外の勝利を収め、新興国通貨が矢面に立たされたが、今回も同じような状況になる可能性があると指摘。

フェールゲマン氏も、トランプ氏の勝利で中国にプレッシャーがかかっているほか、ポーランドズロチやハンガリーフォリントといった新興国通貨が、貿易依存度の高さやトランプ関税を受けて、リスクに見舞われるとの見方を示した。

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根強い楽観論