コラム

台湾有事勃発のシナリオ――中ロはこうして日本を「沈没」させる

2021年12月11日(土)18時00分


辛うじて第1次攻撃で生き残った米軍空母も西に進んでくるが、中国大陸のゴビ砂漠内から発射される弾道ミサイルや極超音速兵器で殲滅される。かくして台湾は「祖国の懐に復帰」し、「日本は沈没」してアメリカとの同盟を解除して中国の自治区となる。

中国に対する忠誠な態度を見せるため、自衛隊も「台湾独立派ゲリラ」の掃討に加わるよう命じられる。かつて蒋介石時代に島しょ防衛のノウハウを伝授していたのはほかでもない旧日本軍だ。彼らの流れをくむ自衛隊は山岳作戦にたけており、台湾独立派の残党は瞬時に消滅される......。

こうした「第二の真珠湾」ならぬグアム・台湾奇襲作戦は決して紙上の演習ではないことを、中ロ両国はまざまざと見せつけた。両国は軍事同盟を結ばないと宣言しているが、実際は既に準軍事同盟のような結び付きを強めている。両国が軍事も含めた政治協力を強化しているのは、双方の利益にかなうからだ。

中ロは中央アジアでも、アフガニスタンでの権益確保とイスラム勢力の拡大阻止を共通の目標としている。ユーラシアはロシアの裏庭だし、中国は一帯一路政策の推進で新たな覇権を確立しようとしている。共に友人がいない孤独な両国は今後ますます冒険と挑発を繰り返すに違いない。

大日本帝国は真珠湾攻撃で崩壊への道を逆に歩みだしたが、中ロ両国の将来はどうなるのだろうか。

プロフィール

楊海英

(Yang Hai-ying)静岡大学教授。モンゴル名オーノス・チョクト(日本名は大野旭)。南モンゴル(中国内モンゴル自治州)出身。編著に『フロンティアと国際社会の中国文化大革命』など <筆者の過去記事一覧はこちら

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