最新記事
暗号資産

誰もが「ドル口座」を持てる時代に?...ステーブルコインが進める「静かな通貨革命」とは

Stablecoins Are Driving Global Dollarization, for Better or Worse

2026年2月9日(月)16時31分
ポール・ブロディ (アーンスト・アンド・ヤング〔EY〕ブロックチェーン部門グローバル責任者)
ステーブルコインのイメージ写真

ステーブルコインは敵か味方か PHOTO ILLUSTRATION BY DADO RUVICーREUTERS

<ステーブルコインの普及は暗号資産の話にとどまらない。ドルが国境と銀行を飛び越えるほど、制度の弱い国ほど景気の痛みは増幅しやすい>

ステーブルコインの活用が増大すれば、財政や金融制度の土台が脆弱な国は「競争のプレッシャー」にさらされかねない──1月にスイスのダボスで開催された世界経済フォーラム年次総会でIMFのダン・カッツ筆頭副専務理事が警鐘を鳴らした。

遠回しな表現をしているが、端的に言えば、ステーブルコインの普及に伴い、世界中の個人や企業が自国の金融機関を介さずに、容易に米ドルを利用できるようになるということだ。そうなれば、世界金融の「ドル化」に拍車がかかる可能性がある。


ステーブルコインとは、裏付け資産による担保の下、法定通貨と価格を連動させ、価格が激しく変動しないように設計されている暗号資産の一種。銀行預金と異なり、ブロックチェーンを通じて1日24時間、週7日、世界中に送金が可能だ。

そして銀行に頼らなくても、ユーザーが自分の資産を直接保管できる。

ステーブルコインはもはやニッチな存在ではない。1月半ば、ステーブルコイン市場の時価総額が過去最大の3110億ドルを突破した。暗号資産の市場では、既にステーブルコインが主要な決済手段になっている。

世界金融のドル化が進むことには好ましい側面もある。一国の政府がハイパーインフレを利用し、(政府債務の実質負担を軽減するなど)富を収奪することが難しくなる。それに、競争原理が作用して、政府は中央銀行の質と独立性を高めようと考える。

まちづくり
川崎が「次世代都市モデルの世界的ベンチマーク」に──「世界に類を見ない」アリーナシティプロジェクトの魅力
あわせて読みたい
ニュース速報

ワールド

ホルムズ海峡で3隻に飛翔体直撃、日本船籍コンテナ船

ワールド

イラン、米・イスラエル関連の域内経済・銀行拠点をを

ワールド

市場変動が経済への衝撃増幅も、さまざまなシナリオ検

ビジネス

「ザラ」親会社、2月は予想通り9%増収 25年の利
あわせて読みたい
MAGAZINE
特集:教養としてのミュージカル入門
特集:教養としてのミュージカル入門
2026年3月17日号(3/10発売)

社会と時代を鮮烈に描き出すミュージカル。意外にポリティカルなエンタメの「魔力」を学ぶ

メールマガジンのご登録はこちらから。
人気ランキング
  • 1
    ロシア政府、痛恨のミス...プーチンの「健康不安説」を裏付けるような動画を公式に投稿してしまう
  • 2
    メーガン妃、娘リリベット王女との新ショット公開...撮影はパパ
  • 3
    キャサリン皇太子妃、英連邦デー式典に出席...公開された皇太子夫妻の写真が話題に
  • 4
    「日本より、自分の国(フランス)を心配すれば?」…
  • 5
    「このままよりはマシだ」――なぜイランで米軍の攻撃…
  • 6
    40年以上ぶり...イスラエル戦闘機「F-35I」が、イラ…
  • 7
    「一日中見てられる...」元プロゴルファー女性の「目…
  • 8
    人間ダンサーを連れて「圧巻のパフォーマンス」...こ…
  • 9
    イランがドバイ国際空港にドローン攻撃...爆発の瞬間…
  • 10
    ホルムズ海峡封鎖、石油危機より怖い「肥料ショック」
  • 1
    ロシア政府、痛恨のミス...プーチンの「健康不安説」を裏付けるような動画を公式に投稿してしまう
  • 2
    メーガン妃、娘リリベット王女との新ショット公開...撮影はパパ
  • 3
    イラン猛反撃、同士討ちまで起きる防空戦はいつまで続くのか
  • 4
    キャサリン皇太子妃、英連邦デー式典に出席...公開さ…
  • 5
    【長期戦はイラン有利】米側の体制転覆シナリオに暗…
  • 6
    日本の若者「韓国就職」憧れと現実のギャップ ── ビ…
  • 7
    サファリ中の女性に悲劇...ライオンに「くわえ去られ…
  • 8
    「日本より、自分の国(フランス)を心配すれば?」…
  • 9
    日本の保護者は自分と同じ「大卒」の教員に敬意を示…
  • 10
    中国はイランを見捨てた? イランの「同盟国」だっ…
  • 1
    ロシア政府、痛恨のミス...プーチンの「健康不安説」を裏付けるような動画を公式に投稿してしまう
  • 2
    ウクライナ戦闘機「F-16」がロシア軍「シャヘド」を空中爆破...地上から撮影の「レア映像」を公開
  • 3
    台湾侵攻「失敗」の大きすぎる代償
  • 4
    メーガン妃、娘リリベット王女との新ショット公開...…
  • 5
    「最恐」恐竜T・レックスの定説を覆す新研究が
  • 6
    見事なカンフーを見せた中国ヒト型ロボットのからく…
  • 7
    アルコールは血糖値を下げる...「脳と血管を守る」医…
  • 8
    「ヘル・コリア」から日本へ7万人 ── 大企業の高給より…
  • 9
    中国、パナマ運河の港湾喪失でパナマに報復──トラン…
  • 10
    日本の若者「韓国就職」憧れと現実のギャップ ── ビ…
トランプ2.0記事まとめ
Real
CHALLENGING INNOVATOR
Wonderful Story
MOOK
ニューズウィーク日本版別冊
ニューズウィーク日本版別冊

好評発売中