誰もが「ドル口座」を持てる時代に?...ステーブルコインが進める「静かな通貨革命」とは
Stablecoins Are Driving Global Dollarization, for Better or Worse
ステーブルコインは敵か味方か PHOTO ILLUSTRATION BY DADO RUVICーREUTERS
<ステーブルコインの普及は暗号資産の話にとどまらない。ドルが国境と銀行を飛び越えるほど、制度の弱い国ほど景気の痛みは増幅しやすい>
ステーブルコインの活用が増大すれば、財政や金融制度の土台が脆弱な国は「競争のプレッシャー」にさらされかねない──1月にスイスのダボスで開催された世界経済フォーラム年次総会でIMFのダン・カッツ筆頭副専務理事が警鐘を鳴らした。
遠回しな表現をしているが、端的に言えば、ステーブルコインの普及に伴い、世界中の個人や企業が自国の金融機関を介さずに、容易に米ドルを利用できるようになるということだ。そうなれば、世界金融の「ドル化」に拍車がかかる可能性がある。
ステーブルコインとは、裏付け資産による担保の下、法定通貨と価格を連動させ、価格が激しく変動しないように設計されている暗号資産の一種。銀行預金と異なり、ブロックチェーンを通じて1日24時間、週7日、世界中に送金が可能だ。
そして銀行に頼らなくても、ユーザーが自分の資産を直接保管できる。
ステーブルコインはもはやニッチな存在ではない。1月半ば、ステーブルコイン市場の時価総額が過去最大の3110億ドルを突破した。暗号資産の市場では、既にステーブルコインが主要な決済手段になっている。
世界金融のドル化が進むことには好ましい側面もある。一国の政府がハイパーインフレを利用し、(政府債務の実質負担を軽減するなど)富を収奪することが難しくなる。それに、競争原理が作用して、政府は中央銀行の質と独立性を高めようと考える。






