最新記事
セルビア

国民的英雄ジョコビッチも支持表明...セルビア「学生デモ」がブチッチ政権を揺さぶる

Vucic Under Siege

2026年1月22日(木)17時37分
マシュー・トステビン (本誌米国版シニアエディター)
抗議デモが続くセルビアのブチッチ大統領

政治腐敗や権威主義を批判され続けているブチッチ AMIR HAMZAGICーANADOLU/GETTY IMAGES

<止まらないデモ、揺らぐ政権。「票が盗まれない選挙」を求める声に、国際社会の視線も集まる>

セルビアの冬のいてつく風が吹き付けるなか、学生たちは路上に立ち市民に署名を呼びかける。大統領選と議会選を早期に実施させ、現大統領のアレクサンダル・ブチッチを退陣に追い込もう、と。

既に1年余り現政権の腐敗に抗議するデモが続き、ブチッチは窮地に立たされている。デモは2024年11月、駅舎の屋根が崩落し死者が出た事件をきっかけに始まった。


治安部隊が躍起になって弾圧しても一向に収まらない。政府は西側に唆された反体制派が2000年代に旧ソ連諸国で拡大した政権交代劇「カラー革命(色の革命)」を起こす気だと主張。多数の学生や市民を逮捕している。

ブチッチは25年末にもう1つ手痛いダメージを食らった。首都ベオグラードにトランプ・タワーを建設する計画が進んでいたが、反対運動の高まりもあって、計画を率いるドナルド・トランプ米大統領の娘婿ジャレッド・クシュナーが撤退を決断したのだ。

加えて、セルビアの主要な製油所の大株主であるロシア企業が米政府の制裁対象となり、製油所が操業停止に追い込まれる事態ともなった。

おまけにセルビアのEU加盟も暗礁に乗り上げている。ブチッチ政権は加盟に向けた自国の改革努力が認められていないと主張。25年12月に開催されたEU・西バルカン諸国首脳会議は欠席した(本誌はこうした問題についてブチッチ政権にコメントを求めたが返事はなかった)。

日本企業
変わる「JBIC」...2つの「欧州ファンド」で、日本のスタートアップ支援に乗り出した理由
あわせて読みたい
ニュース速報

ワールド

ウクライナ、中国外相に招待申し入れ ロとの戦闘終結

ワールド

トランプ氏、ゼレンスキー氏に行動要求 和平機会逃す

ビジネス

英中銀ピル氏、追加利下げに慎重姿勢 基調インフレ目

ワールド

米国防総省、イラン情勢にらみ中東に空母増派へ 最新
あわせて読みたい
MAGAZINE
特集:習近平独裁の未来
特集:習近平独裁の未来
2026年2月17日号(2/10発売)

軍ナンバー2の粛清は強権体制の揺らぎか、「スマート独裁」の強化の始まりか

メールマガジンのご登録はこちらから。
人気ランキング
  • 1
    台湾侵攻「失敗」の大きすぎる代償
  • 2
    ウクライナ戦闘機「F-16」がロシア軍「シャヘド」を空中爆破...地上から撮影の「レア映像」を公開
  • 3
    50歳には「まったく見えない」...信じられないレベルの「若見え」な女性の写真にSNS震撼
  • 4
    がんは何を食べて生き延びるのか?...「ブドウ糖」の…
  • 5
    川崎が「次世代都市モデルの世界的ベンチマーク」に─…
  • 6
    「最恐」恐竜T・レックスの定説を覆す新研究が
  • 7
    毛沢東への回帰? それとも進化? 終身支配へ突き…
  • 8
    「ドルも弱い」なのになぜ、円安が進む? 「ドル以外…
  • 9
    「罠に嵌められた」と主張するが...欧州で次々と摘発…
  • 10
    「賢明な権威主義」は自由主義に勝る? 自由がない…
  • 1
    ウクライナ戦闘機「F-16」がロシア軍「シャヘド」を空中爆破...地上から撮影の「レア映像」を公開
  • 2
    イースター島の先住民から資源を略奪、島を「生きた実験室」に...抗生物質の「不都合」な真実とは
  • 3
    「最恐」恐竜T・レックスの定説を覆す新研究が
  • 4
    台湾侵攻「失敗」の大きすぎる代償
  • 5
    中国、パナマ運河の港湾喪失でパナマに報復──トラン…
  • 6
    がんの約4割は、日々の取り組みで「予防可能」...予…
  • 7
    ビジネスクラスの乗客が「あり得ないマナー違反」...…
  • 8
    がんは何を食べて生き延びるのか?...「ブドウ糖」の…
  • 9
    台湾発言、総選挙...高市首相は「イキリ」の連続で日…
  • 10
    【銘柄】「ソニーグループ」の株価が上がらない...業…
  • 1
    【クイズ】致死率50~75%...インドで感染拡大「ニパウイルス」の感染源となる動物は?
  • 2
    ウクライナ戦闘機「F-16」がロシア軍「シャヘド」を空中爆破...地上から撮影の「レア映像」を公開
  • 3
    高市積極財政にアメリカが慌てる理由
  • 4
    セーターが消えた冬 ── 暖かさの主戦場が「インナー」…
  • 5
    イースター島の先住民から資源を略奪、島を「生きた…
  • 6
    「最恐」恐竜T・レックスの定説を覆す新研究が
  • 7
    海上自衛隊が水中無人機(UUV)を導入 中国の海軍拡…
  • 8
    台湾侵攻「失敗」の大きすぎる代償
  • 9
    防衛省が「新SSM」の映像を公開、ノルウェー・コング…
  • 10
    中国で大規模な金鉱脈の発見が相次ぐ...埋蔵量は世界…
トランプ2.0記事まとめ
Real
CHALLENGING INNOVATOR
Wonderful Story
MOOK
ニューズウィーク日本版別冊
ニューズウィーク日本版別冊

好評発売中