日本の教員は依然として長時間労働......保護者対応や煩雑な事務作業に追われ

教員という職業がどういう性格のものかは、教員のストレスの要因からもうかがうことができる。上記の<表1>によると、日本の教員の選択率が国際平均より目立って高いのは、保護者対応や煩雑な事務作業であるのに対し、海外の教員では、生徒の学力やウェルビーイング維持といった項目の選択率が日本と比較して高い。後者は、教えること、子どもの可能性を引き出す専門職としての教員ならではの悩みだ。
多くの教員は、教えることの専門職でありたいと願っているし、「もっと授業に注力したい」と思っている。教員の仕事を授業に特化するなど不可能と思われるだろうが、南米のブラジルやチリでは、教員の勤務時間の95%が授業(とその準備)だ。地球の裏側の極端な例だが、アメリカでも8割というように、教員の業務を授業に絞れている国は数多くある<図2>。

まずは少数の実験校という形でよいので、教員の仕事を授業に特化した学校を設置してみてはどうか。部活は地域移行、給食は食堂、生徒指導や問題行動への対処は専門のカウンセラー、保護者対応は教育委員会設置の窓口、事務作業は業務支援員、学校の施設管理は専門業者......。
まずはこのような(夢のような)学校を意図的に作ってみて、どういうことが起きるかを観察してみることからだ。何もせず、通り一遍の「働き方改革」を連呼するだけよりはいい。
<資料>
OECD「TALIS 2024」





