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韓国大統領選の新たな変数「ユン・アゲイン新党」とは 保守分裂の懸念と野党・圧勝の予兆

2025年4月21日(月)22時00分
ニューズウィーク日本版ウェブ編集部

前大統領との会食写真が物議

ところが騒動はさらに展開を見せ、4月19日夜にはキム・ゲリ(金桂里)弁護士が自身のSNSでユン前大統領、ペ・ウィチョル弁護士と共に食事をする写真を公開。「今日、私の手で選んだ私の初の大統領。ユン・ボジ*」(*=ユンお父さん、の意味)というコメントを添えた。

ユン前大統領が私邸に移居した後、初の公開された会合の相手として弁護団を選んだことは、単なるプライベートな会食を超えた政治的意味があるとの見方も出ている。弾劾審判時の弁護を担当してくれたことに対する感謝の意を示すとともに、「ユン・アゲイン」新党に一定の支持を与えた可能性も指摘されている。

与党候補らは一斉に反発

この一連の動きに対し、与党「国民の力」の大統領選挙候補たちは一斉に反発を示した。

ハン・ドンフン(韓東勲、前党代表)候補は「国民の力そして保守を支持する多くの国民が持っている愛国心を考えなければならない」と述べ、ナ・ギョンウォン(羅景垣)候補も「適切ではない」として「大統領選挙の過程で『輪心売り』をするのもあまり良くないようだ」と批判した。

アン・チョルス(安哲秀)候補は「大多数の国民の目線にも合わず、呼応も得られない」とし、「もし新党結成になると仮定すると、それは大統領選挙に介入するという意味であり、保守が分裂して確実に敗北する」と警告。ホン・ジュンピョ(洪準杓)候補に至っては、新党結成にユン前大統領の意向が込められているという推測について「夢想であり、デマ、破綻への道」と強く批判した。

世論調査では野党候補がさらに優位へ

与党が「ユン・アゲイン新党」をめぐり揺れるなか、世論調査では野党・共に民主党のイ・ジェミョン(李在明)予備候補の支持率が上昇し続けている。世論調査会社リアルメーターの調査によれば、イ候補の支持率は初めて50%を超え、前回調査より1.4ポイント上昇した。

仮想の対決投票でも、イ候補は与党「国民の力」の候補やイ・ジュンソク(李俊錫)改革新党候補との3者対決でいずれも50%台の圧倒的支持率を獲得。国民の力のキム・ムンス候補との対決では54.2%対23.6%、ホン・ジュンピョ候補との対決では54.6%対20.5%、ハン・ドンフン候補との対決では54.6%対16.2%と、いずれも大きな差をつけている。

新党結成の背景と展望

このように野党イ・ジェミョン候補の圧倒的なリードが報じられる状況で、「ユン・アゲイン新党」結成の動きは何を意図しているのか? ユン前大統領の弁護団によれば、新党の構想は「弾劾反対運動をした青年たちがユン大統領の精神を継承すること」を目的としており、ユン前大統領が直接党員として加入したり、関与したりする予定はないとしている。

しかし、保守陣営の分裂を懸念する声が与党内で高まるなかで、新党結成の行方と大統領選挙への影響は不透明なままだ。与党「国民の力」の候補者選びが始まったタイミングで浮上した新党構想は、保守陣営に新たな変数をもたらす可能性がある。

今後、ユン前大統領の動向や「ユン・アゲイン新党」結成の可能性、そして与党「国民の力」の対応が、韓国の政局を左右する重要な要素となりそうだ。

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