最新記事
日韓関係

韓国の松を育てた日本人がいた 日韓友好の礎となった林業技師・浅川巧とは

2025年4月16日(水)16時08分
佐々木和義

巧の意志を継いだ日韓交流

浅川兄弟の功績を契機に、95年には巧の生誕地である山梨県高根町五町田地区の代表が墓参のために韓国を訪問し、彼の生き方を継承するための協力を韓国林業研究院の院長に依頼した。これを機に韓国洪林会(退職者の会)に「浅川巧先生記念事業委員会」が創設される一方、高根町では「浅川伯教・巧兄弟を偲ぶ会」が設立され、交流の輪は次第に広がっていった。

2001年「浅川巧先生七十周忌日韓合同追慕祭」がソウルで行われた際、高根町長が抱川郡(ポチョンぐん)を表敬訪問し正式に姉妹縁組の申し入れがされ、03年3月21日に姉妹結縁盟約書の調印式が行われた。その後、市町村合併を経て、07年11月22日には北杜市と抱川市との間で姉妹結縁盟約書の再調印が交わされた。現在では、両市の間で文化交流事業が活発に行われ、巧が築いた日韓友好の精神が受け継がれている。

巧の半生については、歴史作家・江宮隆之が1995年に発表した『白磁の人』に描かれ、これを原作とした日本映画『道~白磁の人~』(高橋伴明監督)が2012年に公開された。映画制作時には、巧が着用していた形状の眼鏡を日本で見つけることができず、韓国で探したというエピソードも残されている。

あわせて読みたい
ニュース速報

ビジネス

パウエル氏利下げ拒否なら理事会が主導権を、トランプ

ビジネス

米雇用、7月+7.3万人で予想下回る 前月は大幅下

ビジネス

訂正-ダイムラー・トラック、米関税で数億ユーロの損

ビジネス

トランプ政権、肥満治療薬を試験的に公的医療保険の対
あわせて読みたい
MAGAZINE
特集:トランプ関税15%の衝撃
特集:トランプ関税15%の衝撃
2025年8月 5日号(7/29発売)

例外的に低い日本への税率は同盟国への配慮か、ディールの罠か

メールマガジンのご登録はこちらから。
人気ランキング
  • 1
    日本人の児童買春ツアーに外務省が異例の警告
  • 2
    ウォーキングだけでは「寝たきり」は防げない──自宅で簡単にできる3つのリハビリ法
  • 3
    12歳の娘の「初潮パーティー」を阻止した父親の投稿がSNSで話題に、母親は嫌がる娘を「無視」して強行
  • 4
    いま玄関に「最悪の来訪者」が...ドアベルカメラから…
  • 5
    枕元に響く「不気味な咀嚼音...」飛び起きた女性が目…
  • 6
    カムチャツカも東日本もスマトラ島沖も──史上最大級…
  • 7
    一帯に轟く爆発音...空を横切り、ロシア重要施設に突…
  • 8
    【クイズ】1位は韓国...世界で2番目に「出生率が低い…
  • 9
    【クイズ】2010~20年にかけて、キリスト教徒が「多…
  • 10
    街中に濁流がなだれ込む...30人以上の死者を出した中…
  • 1
    ウォーキングだけでは「寝たきり」は防げない──自宅で簡単にできる3つのリハビリ法
  • 2
    幸せホルモン「セロトニン」があなたを変える──4つの習慣で脳が目覚める「セロ活」生活のすすめ
  • 3
    囚人はなぜ筋肉質なのか?...「シックスパック」は夜つくられる
  • 4
    いきなり目の前にヒグマが現れたら、何をすべき? 経…
  • 5
    航空機パイロットはなぜ乗員乗客を道連れに「無理心…
  • 6
    中国が強行する「人類史上最大」ダム建設...生態系や…
  • 7
    日本人の児童買春ツアーに外務省が異例の警告
  • 8
    12歳の娘の「初潮パーティー」を阻止した父親の投稿…
  • 9
    いま玄関に「最悪の来訪者」が...ドアベルカメラから…
  • 10
    枕元に響く「不気味な咀嚼音...」飛び起きた女性が目…
  • 1
    その首輪に書かれていた「8文字」に、誰もが言葉を失った
  • 2
    ウォーキングだけでは「寝たきり」は防げない──自宅で簡単にできる3つのリハビリ法
  • 3
    頭はどこへ...? 子グマを襲った「あまりの不運」が話題に
  • 4
    ディズニー・クルーズラインで「子供が海に転落」...…
  • 5
    幸せホルモン「セロトニン」があなたを変える──4つの…
  • 6
    囚人はなぜ筋肉質なのか?...「シックスパック」は夜…
  • 7
    「細身パンツ」はもう古い...メンズファッションは…
  • 8
    「ベンチプレス信者は損している」...プッシュアップ…
  • 9
    ロシアの労働人口減少問題は、「お手上げ状態」と人…
  • 10
    いきなり目の前にヒグマが現れたら、何をすべき? 経…
トランプ2.0記事まとめ
日本再発見 シーズン2
CHALLENGING INNOVATOR
Wonderful Story
MOOK
ニューズウィーク日本版別冊
ニューズウィーク日本版別冊

好評発売中