最新記事
弾劾

韓国、ユン大統領罷免を受けて政界は大統領選へ 野党「共に民主党」イ・ジェミョンが大きくリード

2025年4月9日(水)20時00分
佐々木和義
韓国の保守派の集会

憲法裁判所での罷免宣告後、尹錫悦がいる官邸近くの漢南洞で団結を訴える保守派の集会(筆者撮影)

<罷免を言い渡された尹錫悦弾劾後の政治情勢と次期選挙展望は>

4月4日、韓国憲法裁判所は尹錫悦(ユン・ソンニョル)大統領の弾劾訴追を全員一致で認め、尹大統領は罷免となった。宣告当日、警察は総員体制を意味する「甲号非常」を発令して2万人余りの機動隊員を全国に配置し、そのうち1万400人をソウルに割り当て、憲法裁判所周辺では厳戒態勢が敷かれた。フェンスや車両で壁を作り、憲法裁判所最寄りの安国駅の入口を閉鎖。警察の要請を受けたソウル交通公社は前日午後4時以降、すべての列車を通過させる措置を取った。また憲法裁判所と安国駅周辺の店舗に臨時休業を要請し、周辺企業も多くが在宅勤務とした。

しかし、市民の多くは平静を保ち、憲法裁判所近くに集まったデモ隊も昼過ぎには解散。宣告から約2時間半後には機動隊と報道関係者以外はほとんど残っていなかった。この平穏な反応は、8年前の朴槿恵元大統領弾劾時に保守派市民が集会を開き、警察と対峙した状況とは大きく異なる。

与党「国民の力」の権寧世(クォン・ヨンセ)非常対策委員長は「憲法裁判所の決定を謙虚に受け入れる」と述べ、「いかなる暴力や極端な行動もあってはならない。分裂と葛藤をやめて共同体回復の道に進まなければいけない」と自制を呼びかけていた。

弾劾宣告から約2時間半後の憲法裁判所付近のようす

弾劾宣告から約2時間半後の憲法裁判所付近のようす(筆者撮影)

あわせて読みたい
ニュース速報

ワールド

米豪首脳、サミットに合わせ会談へ AUKUSなど協

ワールド

カナダと英国、貿易深化と防衛協力拡大で合意 作業部

ワールド

マクロン氏、プーチン氏のイスラエル・イラン危機仲介

ワールド

原油先物続伸し3%超上昇、イラン・イスラエルの攻撃
あわせて読みたい
MAGAZINE
特集:非婚化する世界
特集:非婚化する世界
2025年6月17日号(6/10発売)

非婚化・少子化の波がアメリカもヨーロッパも襲う。世界の経済や社会福祉、医療はどうなる?

メールマガジンのご登録はこちらから。
人気ランキング
  • 1
    「タンパク質」より「食物繊維」がなぜ重要なのか?...「がん」「栄養」との関係性を管理栄養士が語る
  • 2
    ブラッド・ピット新髪型を「かわいい」「史上最高にかっこいい」とネット絶賛 どんなヘアスタイルに?
  • 3
    「サイドミラー1つ作れない」レアアース危機・第3波でパニック...中国の輸出規制が直撃する「グローバル自動車産業」
  • 4
    サイコパスの顔ほど「魅力的に見える」?...騙されず…
  • 5
    林原めぐみのブログが「排外主義」と言われてしまう…
  • 6
    メーガン妃とキャサリン妃は「2人で泣き崩れていた」…
  • 7
    若者に大不評の「あの絵文字」...30代以上にはお馴染…
  • 8
    さらばグレタよ...ガザ支援船の活動家、ガザに辿り着…
  • 9
    ハルキウに「ドローン」「ミサイル」「爆弾」の一斉…
  • 10
    庭にクマ出没、固唾を呑んで見守る家主、そして次の…
  • 1
    庭にクマ出没、固唾を呑んで見守る家主、そして次の瞬間...「信じられない行動」にネット驚愕
  • 2
    大阪万博は特に外国人の評判が最悪...「デジタル化未満」の残念ジャパンの見本市だ
  • 3
    「セレブのショーはもう終わり」...環境活動家グレタらが乗ったガザ支援船をイスラエルが拿捕
  • 4
    「サイドミラー1つ作れない」レアアース危機・第3波で…
  • 5
    ブラッド・ピット新髪型を「かわいい」「史上最高に…
  • 6
    ファスティングをすると、なぜ空腹を感じなくなるの…
  • 7
    今こそ「古典的な」ディズニープリンセスに戻るべき…
  • 8
    アメリカは革命前夜の臨界状態、余剰になった高学歴…
  • 9
    右肩の痛みが告げた「ステージ4」からの生還...「生…
  • 10
    脳も体も若返る! 医師が教える「老後を元気に生きる…
  • 1
    日本の「プラごみ」で揚げる豆腐が、重大な健康被害と環境汚染を引き起こしている
  • 2
    【定年後の仕事】65歳以上の平均年収ランキング、ワースト2位は清掃員、ではワースト1位は?
  • 3
    日本はもう「ゼロパンダ」でいいんじゃない? 和歌山、上野...中国返還のその先
  • 4
    一瞬にして村全体が消えた...スイスのビルヒ氷河崩壊…
  • 5
    庭にクマ出没、固唾を呑んで見守る家主、そして次の…
  • 6
    大爆発で一瞬にして建物が粉々に...ウクライナ軍「Mi…
  • 7
    「ママ...!」2カ月ぶりの再会に駆け寄る13歳ラブラ…
  • 8
    あなたも当てはまる? 顔に表れるサイコパス・ナルシ…
  • 9
    ドローン百機を一度に発射できる中国の世界初「ドロ…
  • 10
    【クイズ】EVの電池にも使われる「コバルト」...世界…
トランプ2.0記事まとめ
日本再発見 シーズン2
CHALLENGING INNOVATOR
Wonderful Story
MOOK
ニューズウィーク日本版別冊
ニューズウィーク日本版別冊

好評発売中