ニュース速報
ワールド

プーチン氏が元スパイ暗殺作戦承認、英の調査委が結論 ロに制裁

2025年12月05日(金)04時39分

写真はロシアのプーチン大統領。2025年12月3日、ロシア大統領府(クレムリン)で撮影の提供写真。Sputnik/Vyacheslav Prokofyev/Pool via REUTERS

Michael Holden

[ロンドン 4日 ロイター] - 英国の調査委員会は4日、2018年に英国内でロシアと英国の二重スパイだったセルゲイ・スクリパリ氏が神経剤「ノビチョク」で襲撃された事件で、ロシアのプーチン大統領が作戦を承認していたと結論付けた。英政府は4日、ロシア側への新たな制裁措置を発表したほか、ロシアの「継続的な敵対的活動」を巡り、駐英ロシア大使を呼び、抗議した。スターマー英首相は「残忍なプーチン政権に立ち向かう」と述べた。

調査報告書によると、スクリパリ氏は18年3月、英南部の自宅近くのベンチで娘のユリアさんと共に意識不明の状態で見つかった。自宅の玄関ドアノブにはノビチョクが塗布されていた。駆けつけた警官も中毒で一時重体となったが、いずれも回復した。ドアに塗布したとされるロシア人2人は神経剤入りの香水瓶を破棄。約4カ月後、この瓶が発見され、英国人女性が中毒死した。瓶には、数千人の致死量に当たる神経剤が含まれていたという。

報告書を受け、駐英ロシア大使館は通信アプリ「テレグラム」上の声明で、大使が英外務省を訪れ、プーチン大統領に向けられたものも含め「根拠のない無分別な非難を断固として拒否した」と表明。また、英国が「ウクライナ戦争の平和的解決に向けて加速する交渉プロセスを妨害しようとしている」とも非難した。

調査委は、10年のスパイ交換後に英国に移住しロシアの機密を引き渡したスクリパリ氏をロシア軍参謀本部情報総局(GRU)の諜報チームが暗殺しようとしたことに間違いないと指摘。報告書には「ロシア国家による攻撃だとの圧倒的な証拠がある」とし、「スクリパリ暗殺作戦はプーチン氏による承認を得ていたと結論付けた」と記した。

調査委委員長を務めた元英国最高裁判事アンソニー・ヒューズ氏は、「驚くべき無謀な」行為が実施され、暗殺未遂者やGRU幹部、プーチン氏は中毒死した女性への道義的責任があると指摘した。英警察はロシアの暗殺チームとみられる容疑者3人を既に起訴している。一方、ロシアは一貫して関与を否定している。

ロイター
Copyright (C) 2025 トムソンロイター・ジャパン(株) 記事の無断転用を禁じます。

あわせて読みたい
ニュース速報

ビジネス

IMF、日本の財政措置を評価 財政赤字への影響は限

ワールド

プーチン氏が元スパイ暗殺作戦承認、英の調査委が結論

ワールド

プーチン氏、インドを国賓訪問 モディ氏と貿易やエネ

ビジネス

米製造業新規受注、9月は前月比0.2%増 関税影響
あわせて読みたい
MAGAZINE
特集:日本時代劇の挑戦
特集:日本時代劇の挑戦
2025年12月 9日号(12/ 2発売)

『七人の侍』『座頭市』『SHOGUN』......世界が愛した名作とメイド・イン・ジャパンの新時代劇『イクサガミ』の大志

メールマガジンのご登録はこちらから。
人気ランキング
  • 1
    戦争中に青年期を過ごした世代の男性は、終戦時56%しか生き残れなかった
  • 2
    イスラエル軍幹部が人生を賭けた内部告発...沈黙させられる「イスラエルの良心」と「世界で最も倫理的な軍隊」への憂い
  • 3
    高市首相「台湾有事」発言の重大さを分かってほしい
  • 4
    【クイズ】17年連続でトップ...世界で1番「平和な国…
  • 5
    日本酒の蔵元として初の快挙...スコッチの改革に寄与…
  • 6
    「ロシアは欧州との戦いに備えている」――プーチン発…
  • 7
    見えないと思った? ウィリアム皇太子夫妻、「車内の…
  • 8
    ロシアはすでに戦争準備段階――ポーランド軍トップが…
  • 9
    【トランプ和平案】プーチンに「免罪符」、ウクライ…
  • 10
    【クイズ】日本で2番目に「ホタテの漁獲量」が多い県…
  • 1
    7歳の息子に何が? 学校で描いた「自画像」が奇妙すぎた...「心配すべき?」と母親がネットで相談
  • 2
    100年以上宇宙最大の謎だった「ダークマター」の正体を東大教授が解明? 「人類が見るのは初めて」
  • 3
    128人死亡、200人以上行方不明...香港最悪の火災現場の全貌を米企業が「宇宙から」明らかに
  • 4
    戦争中に青年期を過ごした世代の男性は、終戦時56%…
  • 5
    イスラエル軍幹部が人生を賭けた内部告発...沈黙させ…
  • 6
    【銘柄】関電工、きんでんが上昇トレンド一直線...業…
  • 7
    【クイズ】世界遺産が「最も多い国」はどこ?
  • 8
    人生の忙しさの9割はムダ...ひろゆきが語る「休む勇…
  • 9
    日本酒の蔵元として初の快挙...スコッチの改革に寄与…
  • 10
    【クイズ】17年連続でトップ...世界で1番「平和な国…
  • 1
    東京がニューヨークを上回り「世界最大の経済都市」に...日本からは、もう1都市圏がトップ10入り
  • 2
    一瞬にして「巨大な橋が消えた」...中国・「完成直後」の橋が崩落する瞬間を捉えた「衝撃映像」に広がる疑念
  • 3
    【写真・動画】世界最大のクモの巣
  • 4
    「不気味すぎる...」カップルの写真に映り込んだ「謎…
  • 5
    高速で回転しながら「地上に落下」...トルコの軍用輸…
  • 6
    「999段の階段」を落下...中国・自動車メーカーがPR…
  • 7
    まるで老人...ロシア初の「AIヒト型ロボット」がお披…
  • 8
    「髪形がおかしい...」実写版『モアナ』予告編に批判…
  • 9
    膝が痛くても足腰が弱くても、一生ぐんぐん歩けるよ…
  • 10
    インド国産戦闘機に一体何が? ドバイ航空ショーで…
トランプ2.0記事まとめ
Real
CHALLENGING INNOVATOR
Wonderful Story
MOOK
ニューズウィーク日本版別冊
ニューズウィーク日本版別冊

好評発売中