最新記事
韓国

韓国国会、ユン大統領の弾劾案を賛成204票で可決 憲法裁判所が6月中旬までに結論

2024年12月14日(土)18時15分
ニューズウィーク日本版ウェブ編集部

今後の展開は?

国会での弾劾可決後は、大統領、首相、憲法裁判所で手続きが進む。第一に、憲法第65条第3項によって、ユン大統領の権限行使は弾劾審判があるまで停止される。職務停止の効力は、国会の弾劾訴追議決書を大統領室が受け取った瞬間からになる。そのため「弾劾訴追案可決直ちに」職務が中断されるわけではないわけだ。2016年12月9日、国会が朴槿恵(当時)大統領弾劾案を可決した時、弾劾訴追議決書が大統領府に渡されたのは約3時間後だった。

第二に、ユン大統領の職務停止を受けて韓悳洙(ハン·ドクス)首相が大統領権限代行を引き受けることになる。憲法第71条は「大統領が空席になったり事故によって職務を遂行できない時には国務総理、法律が定めた国務委員の順序でその権限を代行する」と明示している。弾劾訴追による権限停止は「事故」に該当する。大統領室が弾劾訴追議決書を受け取れば、尹大統領の職務が停止し、ハン首相が権限代行の役割を開始する。

ハン首相は前例に従って臨時閣議を招集し、国政を安定的に管理するという対国民談話文を発表するものと予想される。 ハン首相が臨時に引き受ける大統領の権限は、国軍統帥権、国務会議主宰と公務員任免権、国家情報院を含む省庁の業務報告を聞いて指示を下す権限などだ。また国会を通過した法律案に対して再議要求権(拒否権)を行使することもできる。

そして第三に、憲法裁判所も国会から弾劾訴追議決書を受け取り、弾劾審判の手続きを開始する。憲法裁はまず、国会(訴追人)と大統領(被訴追人)という双方の当事者に答弁書を要求する。この事件を担当する裁判官(数名裁判官)を指名し、準備期日を確定することになる。

この時、国会法制司法委員長の活動が注目される見通しだ。国会法司委員長は弾劾訴追人(国会)の代表格で、弾劾審判の過程で検事の役割を担うためだ。大半が検事や弁護士の経歴を持つ過去の法司委員長とは違って、鄭清来(チョン·チョンレ)法司委員長は法律家出身ではない。このため、国会議員と弁護士でチームを構成する見通しだ。朴槿恵(パク・クネ)元大統領の弾劾審理の際には、与党セヌリ党の権盛東(クォン·ソンドン)法司委員長、民主党の李春錫(イ·チュンソク)、国民の党の金寛永(キム·グァンヨン)議員らが訴追人団を主導した。

一方の被訴追のユン大統領も弁護団を構成し、憲法裁の弾劾審理に対応することになる。

憲法裁は弾劾審理を経て弾劾案を承認したり棄却、または却下することができる。承認の際、ユン大統領は罷免され、それから60日以内に大統領選挙を行う。 棄却または却下の際、ユン大統領の権限が回復し職務に復帰する。 棄却は、承認基準(憲法裁判官6人賛成)に及ばない場合だ。 却下は訴訟要求に不備があったり不適切な場合、審理自体を受け付けないことを意味する。

憲法裁判所は憲法に基づいて弾劾訴追議決書を受け付けた日から180日以内に大統領を弾劾するかどうかを決めなければならない。遅くても6月中旬までには結論が出されるということだ。弾劾が承認された場合、大統領選挙は60日以内に行わなければならないため、遅くとも2025年8月中旬までには大統領選挙が行われる見通しだ。

資産運用
「高市トレード」に「トランプ関税」......相場が荒れる今こそ投資家が目を向ける「世界通貨」とは
あわせて読みたい
ニュース速報

ビジネス

アップル、マックミニ生産の一部をアジアからヒュース

ビジネス

流動性供給「区分見直し」へ近く協議、超長期国債の需

ビジネス

ノボの次世代肥満症薬、減量効果がイーライリリー薬下

ビジネス

伊エネル、米再生可能エネルギー事業買収に関心
あわせて読みたい
MAGAZINE
特集:ウクライナ戦争4年 苦境のロシア
特集:ウクライナ戦争4年 苦境のロシア
2026年2月24日号(2/17発売)

帰還兵の暴力、ドローンの攻撃、止まらないインフレ。国民は疲弊しプーチンの足元も揺らぐ

メールマガジンのご登録はこちらから。
人気ランキング
  • 1
    アルコールは血糖値を下げる...「脳と血管を守る」医師がすすめる意外な健康習慣
  • 2
    「水道水」が筋トレの成果を左右する...私たちの体には濾過・吸収する力が備わっている
  • 3
    米国の中国依存が低下、台湾からの輸入が上回る
  • 4
    カビが植物に感染するメカニズムに新発見、硬い表面…
  • 5
    ペットとの「別れの時」をどう見極めるべきか...獣医…
  • 6
    揺れるシベリア...戦費の穴埋めは国民に? ロシア中…
  • 7
    少女買春に加え、国家機密の横流しまで...アンドルー…
  • 8
    命は長し、働け女たち――88歳「働くばあさん」が説く…
  • 9
    IMF、日本政府に消費減税を避けるよう要請...「財政…
  • 10
    100万人が死傷、街には戦場帰りの元囚人兵...出口な…
  • 1
    「ヘル・コリア」から日本へ7万人 ── 大企業の高給より日本の「100%就職率」を選ぶ若者たち
  • 2
    命は長し、働け女たち――88歳「働くばあさん」が説く高齢期の「4つの覚悟」
  • 3
    「水道水」が筋トレの成果を左右する...私たちの体には濾過・吸収する力が備わっている
  • 4
    アルコールは血糖値を下げる...「脳と血管を守る」医…
  • 5
    「#ジェームズ・ボンドを忘れろ」――MI6初の女性長官…
  • 6
    海外(特に日本)移住したい中国人が増えている理由.…
  • 7
    カビが植物に感染するメカニズムに新発見、硬い表面…
  • 8
    100万人が死傷、街には戦場帰りの元囚人兵...出口な…
  • 9
    ロシアに蔓延する「戦争疲れ」がプーチンの立場を揺…
  • 10
    オートミール中心の食事がメタボ解消の特効薬に
  • 1
    【クイズ】致死率50~75%...インドで感染拡大「ニパウイルス」の感染源となる動物は?
  • 2
    ウクライナ戦闘機「F-16」がロシア軍「シャヘド」を空中爆破...地上から撮影の「レア映像」を公開
  • 3
    高市積極財政にアメリカが慌てる理由
  • 4
    セーターが消えた冬 ── 暖かさの主戦場が「インナー」…
  • 5
    台湾侵攻「失敗」の大きすぎる代償
  • 6
    「最恐」恐竜T・レックスの定説を覆す新研究が
  • 7
    イースター島の先住民から資源を略奪、島を「生きた…
  • 8
    「ヘル・コリア」から日本へ7万人 ── 大企業の高給より…
  • 9
    中国、パナマ運河の港湾喪失でパナマに報復──トラン…
  • 10
    「罠に嵌められた」と主張するが...欧州で次々と摘発…
トランプ2.0記事まとめ
Real
CHALLENGING INNOVATOR
Wonderful Story
MOOK
ニューズウィーク日本版別冊
ニューズウィーク日本版別冊

好評発売中