プーチン自慢の極超音速ミサイル「キンジャール」は的に当たらない──英国防省
Putin's 'Undefeatable' Killjoy Super Weapon Missing Intended Targets: UK
キンジャールの「墓場」──ウクライナ軍が撃ち落としたキンジャールの破片が展示されている(5月12日、キーウ) REUTERS/Valentyn Ogirenko
<8月以来姿を見せなかったキンジャールが発射されたと英国防省が発表した。再デビューで「弱点」は克服できたのか>
ロシアのウラジーミル・プーチン大統領が「無敵」だと豪語していた名高いミサイルが、ウクライナでは狙った標的に命中していない、とイギリス国防省は発表した。
プーチンはかねてから、極超音速空対地ミサイル「キンジャール」(NATOのコードネームは「キルジョイ」)の能力について自慢していた。このミサイルは核弾頭搭載可能で、アメリカがウクライナに供与しているM142高機動ロケット砲システム「HIMARS(ハイマース)」よりも高速で飛行できるとされている。
イギリス国防省は最新の状況報告書で、ロシア空軍は12月14日、少なくとも1基のキンジャールを発射した可能性が「非常に高い」と述べた。同省はこのミサイルが、軍用飛行場からウクライナ中部に向けて発射されたと述べたが、場所についてはそれ以上明かさなかった。
ロシアがキンジャールを発射するのは、8月以降ではこれが初めてになるとみられる。キンジャールは、プーチンが2018年に大々的に発表した6つの「スーパー新兵器」の1つだ。
イギリス国防省は12月19日、プーチンがその標的を価値が高く、守りが堅固なものに限るとする貴重なキンジャール今回の発射の結果は、「成功と失敗が混じり合ったものになった」と述べた。
「発射されたキンジャールの多くは、狙った標的を外したとみられる。加えてウクライナ側も、この『無敵』のミサイルの迎撃に成功している」と、イギリス国防省は伝えた。
「キンジャールには弱点がある」
イギリス国防省の幹部は、5月の段階で、ウクライナがキンジャールの撃墜に初めて成功したと明かし、さらに、ロシアがウクライナの増強された防空能力を無効化しようとする試みの中で、このミサイルを「さらに数基失った可能性が高い」としていた。
「キンジャールには弱点があるとみられる。これは、ロシアにとって驚きであり、屈辱となっている可能性が高い」。イギリス国防省の状況報告書は、5月の時点でそう指摘していた。
イギリス国防省は1年以上前に、ロシアがキンジャールを、ベラルーシのミンスク州にあるマチュリシチ空軍基地に配備したと発表していた。これは、ウクライナでの戦争にベラルーシ政府が「ますます加担している」という印象を持たせるための策略だと、当時の同省は分析していた。
ウクライナ政府は、ロシアが冬に向けてエネルギーおよび民間の施設を標的とする意図で、ウクライナのインフラに対する攻撃をさらに激化させていると述べる。