最新記事

土星

「土星の環は、小さな太陽系のようだ」とよくわかるアニメーション発表 

2021年4月6日(火)18時00分
松岡由希子

土星の環は、小さな太陽系のようだった...... REUTERS/NASA/JPL

<惑星科学者のジェームズ・オドノヒュー博士は、土星の環が土星を周回する様子が表現されたアニメーションを発表した...... >

土星は、太陽から6番目に位置し、木星に次いで大きな惑星である。内側からD環、C環、B環、A環、F環といった環(リング)を持ち、土星を囲むドーナツ状の薄い輪のように見えるのが特徴だ。これらの環は、塵からバスくらいの塊まで、無数の多様な氷の破片や岩でできており、音速の約70倍の速度で土星を周回している。

「土星の環は、小さな太陽系のようだ」

アメリカ航空宇宙局(NASA)ゴダード宇宙飛行センター(GSFC)の元研究員で、現在、宇宙航空研究開発機構(JAXA)に在籍する惑星科学者のジェームズ・オドノヒュー博士は、余暇を活用し、物理学や太陽系についてわかりやすく解説したアニメーションを制作している。

動画投稿サイト「ユーチューブ」で2020年6月14日に投稿されたアニメーションでは、土星の環が土星を周回する様子が表現されている。

The orbit(s) of Saturn's rings


この動画によると、土星に近い環の周回速度は速く、土星から離れた環は遅いことがわかる。土星から最も近いD環は秒速23.2キロであるのに対して、外側のF環は秒速16.4キロであった。オドノヒュー博士は「土星に近い環は速く周回しなければ落ちてしまう一方、離れた環はゆっくりと移動できる。これは惑星と同じだ」とし、「土星の環は、小さな太陽系のようだ」とたとえている

土星の環が高速で移動するにもかかわらず、環からわずか数メートルの近傍の氷は毎分2〜3センチしか移動しない。オドノヒュー博士は「近傍の氷の移動速度は30分に1歩程度なので、劇的な衝突にはならない」と解説している。

土星の環を広げると、太陽系の惑星がすべておさまるほどの長さ

土星の環は非常に長く、薄い。オドノヒュー博士が図であらわすとおり、これを広げると、太陽系の惑星がすべておさまるほどの長さになる。一方、その質量は、地球大気の3倍にすぎず、月質量のわずか5000分の1だ。

今、あなたにオススメ
ニュース速報

ビジネス

スイスアジア運営のファンド、取締役の個別面談義務化

ワールド

TikTok禁止法、クリエイターが差し止め求め提訴

ビジネス

中国、売れ残り住宅の買い入れ検討=ブルームバーグ

ワールド

豪が高度人材誘致狙い新ビザ導入へ、投資家移民プログ
今、あなたにオススメ
MAGAZINE
特集:インドのヒント
特集:インドのヒント
2024年5月21日号(5/14発売)

矛盾だらけの人口超大国インド。読み解くカギはモディ首相の言葉にあり

メールマガジンのご登録はこちらから。
人気ランキング
  • 1

    原因は「若者の困窮」ではない? 急速に進む韓国少子化の本当の理由【アニメで解説】

  • 2

    北米で素数ゼミが1803年以来の同時大発生、騒音もダブルの「大合唱」

  • 3

    プーチン5期目はデフォルト前夜?......ロシアの歴史も「韻」を踏む

  • 4

    アメリカからの武器援助を勘定に入れていない?プー…

  • 5

    やっと撃墜できたドローンが、仲間の兵士に直撃する…

  • 6

    新宿タワマン刺殺、和久井学容疑者に「同情」などで…

  • 7

    英供与車両から巨大な黒煙...ロシアのドローンが「貴…

  • 8

    ロシア国営企業の「赤字が止まらない」...20%も買い…

  • 9

    ユーロビジョン決勝、イスラエル歌手の登場に生中継…

  • 10

    「ゼレンスキー暗殺計画」はプーチンへの「贈り物」…

  • 1

    新宿タワマン刺殺、和久井学容疑者に「同情」などできない理由

  • 2

    やっと撃墜できたドローンが、仲間の兵士に直撃する悲劇の動画...ロシア軍内で高まる「ショットガン寄越せ」の声

  • 3

    大阪万博でも「同じ過ち」が繰り返された...「太平洋戦争の敗北」を招いた日本社会の大きな弱点とは?

  • 4

    原因は「若者の困窮」ではない? 急速に進む韓国少…

  • 5

    ヨルダン・ラジワ皇太子妃のマタニティ姿「デニム生地…

  • 6

    「恋人に会いたい」歌姫テイラー・スウィフト...不必…

  • 7

    北米で素数ゼミが1803年以来の同時大発生、騒音もダ…

  • 8

    常圧で、種結晶を使わず、短時間で作りだせる...韓国…

  • 9

    ロシア兵がウクライナ「ATACMS」ミサイルの直撃を受…

  • 10

    日本の10代は「スマホだけ」しか使いこなせない

  • 1

    ロシア「BUK-M1」が1発も撃てずに吹き飛ぶ瞬間...ミサイル発射寸前の「砲撃成功」動画をウクライナが公開

  • 2

    「おやつの代わりにナッツ」でむしろ太る...医学博士が教えるスナック菓子を控えるよりも美容と健康に大事なこと

  • 3

    最強生物クマムシが、大量の放射線を浴びても死なない理由が明らかに

  • 4

    新宿タワマン刺殺、和久井学容疑者に「同情」などで…

  • 5

    やっと撃墜できたドローンが、仲間の兵士に直撃する…

  • 6

    世界3位の経済大国にはなれない?インドが「過大評価…

  • 7

    一瞬の閃光と爆音...ウクライナ戦闘機、ロシア軍ドロ…

  • 8

    タトゥーだけではなかった...バイキングが行っていた…

  • 9

    ヨルダン・ラジワ皇太子妃のマタニティ姿「デニム生地…

  • 10

    どの顔が好き? 「パートナーに求める性格」が分かる…

日本再発見 シーズン2
CHALLENGING INNOVATOR
Wonderful Story
MOOK
ニューズウィーク日本版別冊
ニューズウィーク日本版別冊

好評発売中