最新記事

トラベル

アメリカン航空1万5000便で操縦士不足──システムがクリスマス休暇を与え過ぎ

2017年11月30日(木)13時37分
サマー・メザ

クリスマスの欠員を何とか埋めようと必死のアメリカン航空 Laser1987/iStock.

<書き入れ時のクリスマスシーズン、人員は余剰と勘違いしたコンピューターが休暇を大盤振る舞い。株価も下落する騒動に>

クリスマスの旅行シーズンを控え、アメリカン航空は1万5000便を超えるフライトでパイロットを確保できず、顧客の予約をキャンセルせざるを得なくなっている。原因は社内システムの異常。パイロットと乗務員にクリスマス休暇をたくさん与えて過ぎてしまったのだ。

アメリカン航空はパイロットに通常の1.5倍の時給を支給する条件で、12月17日~31日の繁忙期の欠員補充を呼び掛けている。

ニューヨーク、シカゴ、ダラス、マイアミなど主要なハブ空港からの出発便をはじめ、多くのフライトで人員はもともと不足ぎみだが、システムは余剰があると誤認。通常なら書き入れ時の休暇申請はベテランのみに認められるが、勤続年数が浅いパイロットにも大盤振る舞いをした。

「航空会社は年中無休・24時間体制で営業している」と、アメリカン航空のデニス・タジャー機長はCNBCに語った。「人員のスケジュール調整が必須だが、それをするはずのシステムがサンタクロースになって、『みんな、休暇が欲しいかい? オーケー、全員にあげるよ』と言ってしまった」

労働組合が反発

アメリカン航空は早急にトラブルに対処し、フライト中止を避けようと必死だ。

「当社は問題解決に真摯に取り組んでおり、休暇シーズンの予約取り消しは回避できる見込みだ」と、同社の広報担当は声明を発表した。「予備のパイロットを12月のシフトに入れ、休暇を返上して勤務するパイロットには契約で定められた上限である1.5倍の時給を支給する。パイロットの労働組合と協議し、この措置に理解を得て、クリスマスシーズン中の顧客の旅行計画に支障が出ないようにする」

だがアメリカン航空のパイロット労組APAが会社側の言い分をすんなり認めるとは思えない。会社側が11月24日の従業員宛のメールで補充要員を募ると、APAは1.5倍の時給では不十分であり、労働側に事前の申し入れがなかったとして不服を申し立てた。

アメリカン航空は1日に約6700便を運航している。クリスマスシーズンに欠航が相次げば、収益が大幅に減るばかりか、顧客の信頼を失うことになる。パイロット不足が報道されると、同社の株価は2ドル近く下落。デルタ、ユナイテッドなどライバル会社の株価は軒並み3%以上上がった。

今、あなたにオススメ
ニュース速報

ビジネス

米雇用4月17.7万人増、失業率横ばい4.2% 労

ワールド

カナダ首相、トランプ氏と6日に初対面 「困難だが建

ビジネス

デギンドスECB副総裁、利下げ継続に楽観的

ワールド

OPECプラス8カ国が3日会合、前倒しで開催 6月
今、あなたにオススメ
MAGAZINE
特集:英語で学ぶ 国際ニュース超入門
特集:英語で学ぶ 国際ニュース超入門
2025年5月 6日/2025年5月13日号(4/30発売)

「ゼロから分かる」各国・地域情勢の超解説と時事英語

メールマガジンのご登録はこちらから。
人気ランキング
  • 1
    「2025年7月5日に隕石落下で大災害」は本当にあり得る? JAXA宇宙研・藤本正樹所長にとことん聞いてみた
  • 2
    日本の未婚男性の「不幸感」は他国と比べて特異的に高く、女性では反対に既婚の方が高い
  • 3
    インドとパキスタンの戦力比と核使用の危険度
  • 4
    日々、「幸せを実感する」生活は、実はこんなに簡単…
  • 5
    目を「飛ばす特技」でギネス世界記録に...ウルグアイ…
  • 6
    宇宙からしか見えない日食、NASAの観測衛星が撮影に…
  • 7
    インド北部の「虐殺」が全面「核戦争」に発展するか…
  • 8
    タイタニック生存者が残した「不気味な手紙」...何が…
  • 9
    日本史上初めての中国人の大量移住が始まる
  • 10
    金を爆買いする中国のアメリカ離れ
  • 1
    日本史上初めての中国人の大量移住が始まる
  • 2
    日本旅行が世界を魅了する本当の理由は「円安」ではない
  • 3
    MRI検査で体内に「有害金属」が残留する可能性【最新研究】
  • 4
    ロシア国内エラブガの軍事工場にウクライナが「ドロ…
  • 5
    中国で「ネズミ人間」が増殖中...その驚きの正体とは…
  • 6
    日本の未婚男性の「不幸感」は他国と比べて特異的に…
  • 7
    マリフアナを合法化した末路とは? 「バラ色の未来…
  • 8
    タイタニック生存者が残した「不気味な手紙」...何が…
  • 9
    インド北部の「虐殺」が全面「核戦争」に発展するか…
  • 10
    私の「舌」を見た医師は、すぐ「癌」を疑った...「口…
  • 1
    【話題の写真】高速列車で前席のカップルが「最悪の行為」に及ぶ...インド人男性の撮影した「衝撃写真」にネット震撼【画像】
  • 2
    日本史上初めての中国人の大量移住が始まる
  • 3
    日本旅行が世界を魅了する本当の理由は「円安」ではない
  • 4
    健康寿命を伸ばすカギは「人体最大の器官」にあった.…
  • 5
    【心が疲れたとき】メンタルが一瞬で “最…
  • 6
    間食はなぜ「ナッツ一択」なのか?...がん・心疾患・抜…
  • 7
    北朝鮮兵の親たち、息子の「ロシア送り」を阻止する…
  • 8
    【クイズ】世界で最も「半導体の工場」が多い国どこ…
  • 9
    クレオパトラの墓をついに発見? 発掘調査を率いた…
  • 10
    MRI検査で体内に「有害金属」が残留する可能性【最新…
トランプ2.0記事まとめ
日本再発見 シーズン2
CHALLENGING INNOVATOR
Wonderful Story
MOOK
ニューズウィーク日本版別冊
ニューズウィーク日本版別冊

好評発売中