最新記事

ハリウッド

セクハラプロデューサーは治療でヨーロッパに? 業界越えた大スキャンダル

2017年10月12日(木)19時10分
ニューズウィーク日本版ウェブ編集部

キャリアの中で何度もワインスタインとタッグを組んできたマット・デイモン。脚本と主演した1997年公開の映画『グッド・ウィル・ハンティング/旅立ち』で製作を手掛けたのはワインスタインのミラマックス社だった。

デイモンは、「有名になる前から私はこの種の行動を看過してきたが、今は4人の娘の父親。これは性搾取のようなものだ」と10日、ハリウッド情報サイト「デッドライン」に語った。しかし、ワインスタインの行為に関しては「こういった行為が世界中で起こっていることは分かっている。ただ、ワインスタインと一緒に映画を5〜6本作ったが、こういう状況は見たことがない」とシラを切っている。

ウォルト・ディズニー・カンパニーはかつてミラマックス社と提携を組んでいた。芸能情報サイト「ザ・ハリウッド・レポーター」によると、ディズニーのボブ・アイガ―会長兼CEOは10月10日「報告されたワインスタインの行動は忌わしく、受け入れ難い」と声明を発表した。

ワインスタインと長年仕事を共にしている、マーティン・スコセッシ監督、クエンティン・タランティーノ監督、俳優のラッセル・クロウやブラッドリー・クーパーなどは、2004年にニューヨークタイムズの記者シャロン・ワックスマンがワインスタインのセクハラを報道しようとした際に圧力をかけて抑え込んだとされている。

【参考記事】主演女優が足りない!オスカー候補の男女格差

選挙資金集めに加担したという報道も

今回明らかになったハリウッドのセクハラ問題。ワインスタインの悪行だけでも30年もベールに覆われていたが、ここに来て仲間ぐるみの隠ぺいとも取れるエピソードまで暴かれた。これまで問題が公にならなかった背景には、ワインスタインが民主党の強力な後援者だったということも指摘されている。

バラク・オバマ前米大統領の娘はワインスタインのもとで、今年の冬にインターンをしていた。ヒラリー・ クリントンも交流があることで知られている。2人は最初の報道から5日経った10月10日にようやく、ワインスタインを非難するコメントを発表したものの、遅すぎる対応が批判されている。

芸能サイトTMZによれば、近々ワインスタインは治療のためにヨーロッパへ向かうという。疑惑の張本人が逃げたからと言って収まる問題ではないだろう。長年指摘されながらもタブー視されてきたハリウッドのセクハラそして性差別は、まだまだ氷山の一角に過ぎないのかもしれない。

【お知らせ】ニューズウィーク日本版メルマガリニューアル!
ご登録(無料)はこちらから=>>

今、あなたにオススメ
ニュース速報

ワールド

韓国特別検察官、尹前大統領の拘束令状請求 職権乱用

ワールド

ダライ・ラマ、「一介の仏教僧」として使命に注力 9

ワールド

台湾鴻海、第2四半期売上高は過去最高 地政学的・為

ワールド

BRICS財務相、IMF改革訴え 途上国の発言力強
今、あなたにオススメ
MAGAZINE
特集:トランプvsイラン
特集:トランプvsイラン
2025年7月 8日号(7/ 1発売)

「平和主義者」のはずの大統領がなぜ? 核施設への電撃攻撃で中東と世界はこう変わる

メールマガジンのご登録はこちらから。
人気ランキング
  • 1
    「飲み込めると思った...」自分の10倍サイズのウサギに挑んだヘビの末路
  • 2
    ディズニー・クルーズラインで「子供が海に転落」...父親も飛び込み大惨事に、一体何が起きたのか?
  • 3
    「本物の強さは、股関節と脚に宿る」...伝説の「元囚人コーチ」が説く、正しい筋肉の鍛え方とは?【スクワット編】
  • 4
    孫正義「最後の賭け」──5000億ドルAI投資に託す復活…
  • 5
    「飛行機内が臭い...」 原因はまさかの「座席の下」…
  • 6
    「やらかした顔」がすべてを物語る...反省中のワンコ…
  • 7
    後ろの川に...婚約成立シーンを記録したカップルの幸…
  • 8
    職場でのいじめ・パワハラで自死に追いやられた21歳…
  • 9
    「詐欺だ」「環境への配慮に欠ける」メーガン妃ブラ…
  • 10
    アリ駆除用の「毒餌」に、アリが意外な方法で「反抗…
  • 1
    「飲み込めると思った...」自分の10倍サイズのウサギに挑んだヘビの末路
  • 2
    ディズニー・クルーズラインで「子供が海に転落」...父親も飛び込み大惨事に、一体何が起きたのか?
  • 3
    「やらかした顔」がすべてを物語る...反省中のワンコに1400万人が注目
  • 4
    燃え盛るロシアの「黒海艦隊」...ウクライナの攻撃で…
  • 5
    仕事ができる人の話の聞き方。3位は「メモをとる」。…
  • 6
    後ろの川に...婚約成立シーンを記録したカップルの幸…
  • 7
    【クイズ】「宗教を捨てる人」が最も多い宗教はどれ?
  • 8
    職場でのいじめ・パワハラで自死に追いやられた21歳…
  • 9
    砂浜で見かけても、絶対に触らないで! 覚えておくべ…
  • 10
    普通に頼んだのに...マクドナルドから渡された「とん…
  • 1
    「飲み込めると思った...」自分の10倍サイズのウサギに挑んだヘビの末路
  • 2
    「コーヒーを吹き出すかと...」ディズニーランドの朝食が「高額すぎる」とSNSで大炎上、その「衝撃の値段」とは?
  • 3
    「あまりに愚か...」国立公園で注意を無視して「予測不能な大型動物」に近づく幼児連れ 「ショッキング」と映像が話題に
  • 4
    庭にクマ出没、固唾を呑んで見守る家主、そして次の…
  • 5
    10歳少女がサメに襲われ、手をほぼ食いちぎられる事…
  • 6
    JA・卸売業者が黒幕説は「完全な誤解」...進次郎の「…
  • 7
    「ママ...!」2カ月ぶりの再会に駆け寄る13歳ラブラ…
  • 8
    気温40℃、空港の「暑さ」も原因に?...元パイロット…
  • 9
    燃え盛るロシアの「黒海艦隊」...ウクライナの攻撃で…
  • 10
    ディズニー・クルーズラインで「子供が海に転落」...…
トランプ2.0記事まとめ
日本再発見 シーズン2
CHALLENGING INNOVATOR
Wonderful Story
MOOK
ニューズウィーク日本版別冊
ニューズウィーク日本版別冊

好評発売中