最新記事

韓国

iPhone新作発表に韓国メディアが呼ばれなかった理由

2017年9月14日(木)21時53分
前川祐補(本誌記者)

例えば今年4月。ソウル大学付属病院の教員らが、定年退職する教授にカンパで集めた祝い金で購入したゴルフクラブをプレゼントした行為が違法とされ書類送検された。有罪になれば懲役3年以下、または罰金3000万ウォン(約300万円)以下の刑に処されるが、大手紙・朝鮮日報は「定年退職の贈り物も違法なのだろうか」と疑問を呈している。

どこか行き過ぎた汚職対策のようにも見える。実際、政権関係者の中では見直しを示唆する声も出ており、改正される可能性はある。

ただ、腐敗政治を嫌と言うほど見せ付けた朴槿恵(パク・クネ)政権の後に就任した文在寅(ムン・ジェイン)大統領がどこまで譲歩するかは未知数だ。この法律には当局に不正行為を報告した者には褒賞金を与える「密告制度」まで整っており、汚職撲滅への徹底ぶりが感じられる。

だが、こうしている間にも韓国メディアは世界で割りを食うだろう。実は、アップルが韓国メディアを招待しなかったのは今回が初めてではない。6月にアメリカで開催された「世界開発者会議(WWDC)2017」でも韓国メディアの担当者には招待状が届けられていなかった。

世界的な企業が韓国の法律に「ソンタク」し始めているとなれば、他の有力企業も韓国メディアの招待を敬遠する風潮が生まれる可能性はある。

韓国メディアにとっては酷な話かもしれない。ただ、セウォル号沈没事件に代表されるように、政権の意向をソンタクし続けた報道で韓国国民を裏切った過去があるのも事実。招待状が届かないのも自業自得と割り切れるかは、分からないが。

【参考記事】韓国はいつ誕生した? 建国年をめぐる左右バトルの行方
【参考記事】韓国メディア界が背負う負の遺産

【お知らせ】ニューズウィーク日本版メルマガリニューアル!
 ご登録(無料)はこちらから=>>

今、あなたにオススメ
ニュース速報

ビジネス

米国株式市場=続伸、マグニフィセント7などの決算に

ワールド

イスラエル、ガザ全域で攻撃激化 米は飢餓リスクを警

ワールド

英、2030年までに国防費GDP比2.5%達成=首

ワールド

米、ウクライナに10億ドルの追加支援 緊急予算案成
今、あなたにオススメ
MAGAZINE
特集:世界が愛した日本アニメ30
特集:世界が愛した日本アニメ30
2024年4月30日/2024年5月 7日号(4/23発売)

『AKIRA』からジブリ、『鬼滅の刃』まで、日本アニメは今や世界でより消費されている

メールマガジンのご登録はこちらから。
人気ランキング
  • 1

    世界3位の経済大国にはなれない?インドが「過大評価」されていると言える理由

  • 2

    「世界中の全機が要注意」...ボーイング内部告発者の「爆弾発言」が怖すぎる

  • 3

    NewJeans日本デビュー目前に赤信号 所属事務所に親会社HYBEが監査、ミン・ヒジン代表の辞任を要求

  • 4

    「たった1日で1年分」の異常豪雨...「砂漠の地」ドバ…

  • 5

    「なんという爆発...」ウクライナの大規模ドローン攻…

  • 6

    医学博士で管理栄養士『100年栄養』の著者が警鐘を鳴…

  • 7

    タトゥーだけではなかった...バイキングが行っていた…

  • 8

    ロシア、NATOとの大規模紛争に備えてフィンランド国…

  • 9

    イランのイスラエル攻撃でアラブ諸国がまさかのイス…

  • 10

    最強生物クマムシが、大量の放射線を浴びても死なな…

  • 1

    最強生物クマムシが、大量の放射線を浴びても死なない理由が明らかに

  • 2

    世界3位の経済大国にはなれない?インドが「過大評価」されていると言える理由

  • 3

    タトゥーだけではなかった...バイキングが行っていた「身体改造」の実態...出土した「遺骨」で初の発見

  • 4

    「世界中の全機が要注意」...ボーイング内部告発者の…

  • 5

    ハーバード大学で150年以上教えられる作文術「オレオ…

  • 6

    「毛むくじゃら乳首ブラ」「縫った女性器パンツ」の…

  • 7

    「たった1日で1年分」の異常豪雨...「砂漠の地」ドバ…

  • 8

    ダイヤモンドバックスの試合中、自席の前を横切る子…

  • 9

    価値は疑わしくコストは膨大...偉大なるリニア計画っ…

  • 10

    NewJeans日本デビュー目前に赤信号 所属事務所に親…

  • 1

    人から褒められた時、どう返事してますか? ブッダが説いた「どんどん伸びる人の返し文句」

  • 2

    韓国で「イエス・ジャパン」ブームが起きている

  • 3

    88歳の現役医師が健康のために「絶対にしない3つのこと」目からうろこの健康法

  • 4

    ロシアの迫撃砲RBU6000「スメルチ2」、爆発・炎上の…

  • 5

    バルチック艦隊、自国の船をミサイル「誤爆」で撃沈…

  • 6

    最強生物クマムシが、大量の放射線を浴びても死なな…

  • 7

    ロシアが前線に投入した地上戦闘ロボットをウクライ…

  • 8

    「燃料気化爆弾」搭載ドローンがロシア軍拠点に突入…

  • 9

    1500年前の中国の皇帝・武帝の「顔」、DNAから復元に…

  • 10

    世界3位の経済大国にはなれない?インドが「過大評価…

日本再発見 シーズン2
CHALLENGING INNOVATOR
Wonderful Story
MOOK
ニューズウィーク日本版別冊
ニューズウィーク日本版別冊

好評発売中