最新記事

災害

トランプはハリケーン被災者に1人も会わず。メンタルな問題か

2017年8月31日(木)14時30分
ジョン・ハルティワンガー

テキサス州コーパスクリスティの消防署で演説をするトランプ Carlos Barria-REUTERS

<ハリケーン・ハービーの被災地テキサスに飛んだトランプ米大統領、演説をしただけで被災者には会わずに帰ってきた!?>

ドナルド・トランプ米大統領は、ハリケーン・ハービーに襲われたテキサス州の被災地を訪れたが、被災者には1人も会わなかったと、政治情報サイトのポリティコは報じた。

トランプは集まった聴衆について「なんという聴衆、なんという数だ」と言っただけだった。



(トランプから被災者へ:「みんなありがとう。なんという聴衆、なんという数だ」)


トランプがテキサスに来たのは自分のためで、被災者のためではなかったのではないか、という批判の声も上がった。トランプはツイッターで反論した。

(「ハリケーン・ハービーがもたらした恐怖と破壊をこの目で見て、心はテキサスの偉大な人々のことで一杯だ」)


【参考記事】あのジカ熱も?「ハービー」の被災者を感染症が襲う
【参考記事】ヒューストン豪雨災害に見る、「線状降水帯」の恐ろしさ

テキサスまで何しに行ったのか

自然災害で被害が出た州を大統領が慰問するのは珍しくないが、わざわざ現地まで行って被災者に会わないというのは変だ。ジョージ・W・ブッシュ元大統領は、2005年にハリケーン・カトリーナが襲来した後、メキシコ湾岸の被災地を訪ねるのが遅かったと批判された。だがやっと訪れたときは、被災者たちを抱擁した。

【参考記事】ハリケーン被災地にピンヒールで向かったメラニア

2012年にスーパーストーム・サンディが東海岸を襲ったときは、バラク・オバマ前大統領がただちに被災地を訪れ被災者を慰めた。オバマ政権の性格を決定づけた瞬間だった。

比べるなら、こうだ。



(何て対照的。サンディの後のオバマと、ハービーの後に「政治集会」を開くトランプ。「なんという聴衆、なんという数だ」)




(被災者の誰とも会わないなんて)




(トランプはテキサスまで来て、1人の被災者とも会わなかった。誰にもだ。政治集会だけはやったんだ)

他人に共感できない?

トランプの支持率は危機的に低い。ギャラップの世論調査によれば、大統領の仕事ぶりを支持する人はたったの35%だ。オバマの場合、就任1年目の今頃は50%の支持率があった。

トランプは8月半ばにバージニア州シャーロッツビルで白人至上主義団体と反対派が衝突して反対派の女性1人が亡くなった事件を巡り、責任は双方にあると言ったことで今も批判されている。悲劇に対する正しい反応の仕方がわからない、とも言われている。他人に対する共感を表現するのが苦手なのであれば、歴史的に低い支持率も説明がつくかもしれない。

今、あなたにオススメ
ニュース速報

ワールド

米英欧など18カ国、ハマスに人質解放要求 ハマスは

ビジネス

米GDP、第1四半期は+1.6%に鈍化 2年ぶり低

ビジネス

米新規失業保険申請5000件減の20.7万件 予想

ビジネス

ECB、インフレ抑制以外の目標設定を 仏大統領 責
今、あなたにオススメ
MAGAZINE
特集:世界が愛した日本アニメ30
特集:世界が愛した日本アニメ30
2024年4月30日/2024年5月 7日号(4/23発売)

『AKIRA』からジブリ、『鬼滅の刃』まで、日本アニメは今や世界でより消費されている

メールマガジンのご登録はこちらから。
人気ランキング
  • 1

    「おやつの代わりにナッツ」でむしろ太る...医学博士が教えるスナック菓子を控えるよりも美容と健康に大事なこと

  • 2

    今だからこそ観るべき? インバウンドで増えるK-POP非アイドル系の来日公演

  • 3

    「誹謗中傷のビジネス化」に歯止めをかけた、北村紗衣氏への名誉棄損に対する賠償命令

  • 4

    心を穏やかに保つ禅の教え 「世界が尊敬する日本人100…

  • 5

    「たった1日で1年分」の異常豪雨...「砂漠の地」ドバ…

  • 6

    未婚中高年男性の死亡率は、既婚男性の2.8倍も高い

  • 7

    やっと本気を出した米英から追加支援でウクライナに…

  • 8

    医学博士で管理栄養士『100年栄養』の著者が警鐘を鳴…

  • 9

    自民が下野する政権交代は再現されるか

  • 10

    ワニが16歳少年を襲い殺害...遺体発見の「おぞましい…

  • 1

    「おやつの代わりにナッツ」でむしろ太る...医学博士が教えるスナック菓子を控えるよりも美容と健康に大事なこと

  • 2

    世界3位の経済大国にはなれない?インドが「過大評価」されていると言える理由

  • 3

    タトゥーだけではなかった...バイキングが行っていた「身体改造」の実態...出土した「遺骨」で初の発見

  • 4

    「世界中の全機が要注意」...ボーイング内部告発者の…

  • 5

    最強生物クマムシが、大量の放射線を浴びても死なな…

  • 6

    医学博士で管理栄養士『100年栄養』の著者が警鐘を鳴…

  • 7

    ハーバード大学で150年以上教えられる作文術「オレオ…

  • 8

    NewJeans日本デビュー目前に赤信号 所属事務所に親…

  • 9

    「たった1日で1年分」の異常豪雨...「砂漠の地」ドバ…

  • 10

    「誹謗中傷のビジネス化」に歯止めをかけた、北村紗…

  • 1

    人から褒められた時、どう返事してますか? ブッダが説いた「どんどん伸びる人の返し文句」

  • 2

    韓国で「イエス・ジャパン」ブームが起きている

  • 3

    ロシアの迫撃砲RBU6000「スメルチ2」、爆発・炎上の瞬間映像をウクライナ軍が公開...ドネツク州で激戦続く

  • 4

    バルチック艦隊、自国の船をミサイル「誤爆」で撃沈…

  • 5

    最強生物クマムシが、大量の放射線を浴びても死なな…

  • 6

    88歳の現役医師が健康のために「絶対にしない3つのこ…

  • 7

    ロシアが前線に投入した地上戦闘ロボットをウクライ…

  • 8

    「おやつの代わりにナッツ」でむしろ太る...医学博士…

  • 9

    「燃料気化爆弾」搭載ドローンがロシア軍拠点に突入…

  • 10

    世界3位の経済大国にはなれない?インドが「過大評価…

日本再発見 シーズン2
CHALLENGING INNOVATOR
Wonderful Story
MOOK
ニューズウィーク日本版別冊
ニューズウィーク日本版別冊

好評発売中