最新記事

電気自動車

インド、2030年までにガソリン車の販売を禁止し、電気自動車を推進

2017年6月7日(水)16時45分
松岡由希子

ニューデリーの渋滞 JulieanneBirch-iStock

<インド政府は、「2030年までに、ガソリン車およびディーゼル車の国内販売を禁じ、インドで販売される自動車を電気自動車のみに制限する」との方針を明らかにした>

インドでは、2013年12月に発表した『国家電気自動車計画(NMEM)』のもと、電気自動車の普及を推進してきた。2015年4月から2016年3月までの電気自動車の販売台数は前年比37.5%増の2万2000台で、2020年までには、電気自動車とハイブリッド車を合わせた年間販売台数が600万台から700万台規模に拡大する見通しとなっている。

そしてこのほど、インド政府は、この動きをさらに加速させるべく、「2030年までに、ガソリン車およびディーゼル車の国内販売を禁じ、インドで販売される自動車を電気自動車のみに制限する」との方針を明らかにした。

【参考記事】自動運転車がイライラ交通渋滞を緩和する:フィールド実験結果

大気汚染が原因とみられる死亡者数は年間109万人超

インドが電気自動車の普及に積極的に取り組む背景には、温室効果ガス排出量の増加や、都市部を中心とする深刻な大気汚染があげられる。GDP(国内総生産)ベースで世界第七位の経済規模にまで成長したインドは、中国、米国に次ぎ、世界で三番目に二酸化炭素排出量が多い国でもある。

また、米健康影響研究所(HEI)のデータによると、インドでは、2015年時点で、PM2.5濃度が世界保健機関(WHO)の基準値の7.4倍にあたる1立方メートルあたり74マイクログラムにまで悪化し、大気汚染が原因とみられる死亡者数は年間109万人を超えている。

世界第3位の原油輸入国であるインド

世界第3位の原油輸入国であるインドにとって、電気自動車の普及は、エネルギー安全保障の観点からも望ましい。

『国家電気自動車計画(NMEM)』では、電気自動車の年間販売台数が600万台から700万台にまで成長すれば、220万トンから250万トンの液体燃料を節約でき、二酸化炭素排出量も1.3%から1.5%程度削減できると見込んでいる。

【参考記事】太陽光発電の発電コストが石炭火力発電以下に。ソーラーが「お得」な時代へ

今、あなたにオススメ
ニュース速報

ワールド

バチカンでトランプ氏と防空や制裁を協議、30日停戦

ワールド

豪総選挙は与党が勝利、反トランプ追い風 首相続投は

ビジネス

バークシャー第1四半期、現金保有は過去最高 山火事

ビジネス

バフェット氏、トランプ関税批判 日本の5大商社株「
今、あなたにオススメ
MAGAZINE
特集:英語で学ぶ 国際ニュース超入門
特集:英語で学ぶ 国際ニュース超入門
2025年5月 6日/2025年5月13日号(4/30発売)

「ゼロから分かる」各国・地域情勢の超解説と時事英語

メールマガジンのご登録はこちらから。
人気ランキング
  • 1
    「2025年7月5日に隕石落下で大災害」は本当にあり得る? JAXA宇宙研・藤本正樹所長にとことん聞いてみた
  • 2
    【クイズ】世界で2番目に「軍事費」が高い国は?...1位はアメリカ、2位は意外にも
  • 3
    古代の遺跡で「動物と一緒に埋葬」された人骨を発見...「ペットとの温かい絆」とは言えない事情が
  • 4
    脂肪は自宅で燃やせる...理学療法士が勧める「3つの…
  • 5
    野球ボールより大きい...中国の病院を訪れた女性、「…
  • 6
    日々、「幸せを実感する」生活は、実はこんなに簡単…
  • 7
    「2025年7月5日天体衝突説」拡散で意識に変化? JAX…
  • 8
    インドとパキスタンの戦力比と核使用の危険度
  • 9
    シャーロット王女とスペイン・レオノール王女は「どち…
  • 10
    「すごく変な臭い」「顔がある」道端で発見した「謎…
  • 1
    日本史上初めての中国人の大量移住が始まる
  • 2
    日本旅行が世界を魅了する本当の理由は「円安」ではない
  • 3
    「2025年7月5日に隕石落下で大災害」は本当にあり得る? JAXA宇宙研・藤本正樹所長にとことん聞いてみた
  • 4
    MRI検査で体内に「有害金属」が残留する可能性【最新…
  • 5
    ロシア国内エラブガの軍事工場にウクライナが「ドロ…
  • 6
    日本の未婚男性の「不幸感」は他国と比べて特異的に…
  • 7
    中国で「ネズミ人間」が増殖中...その驚きの正体とは…
  • 8
    【クイズ】世界で2番目に「軍事費」が高い国は?...1…
  • 9
    古代の遺跡で「動物と一緒に埋葬」された人骨を発見.…
  • 10
    タイタニック生存者が残した「不気味な手紙」...何が…
  • 1
    【話題の写真】高速列車で前席のカップルが「最悪の行為」に及ぶ...インド人男性の撮影した「衝撃写真」にネット震撼【画像】
  • 2
    日本史上初めての中国人の大量移住が始まる
  • 3
    日本旅行が世界を魅了する本当の理由は「円安」ではない
  • 4
    健康寿命を伸ばすカギは「人体最大の器官」にあった.…
  • 5
    【心が疲れたとき】メンタルが一瞬で “最…
  • 6
    間食はなぜ「ナッツ一択」なのか?...がん・心疾患・抜…
  • 7
    北朝鮮兵の親たち、息子の「ロシア送り」を阻止する…
  • 8
    【クイズ】世界で最も「半導体の工場」が多い国どこ…
  • 9
    クレオパトラの墓をついに発見? 発掘調査を率いた…
  • 10
    「2025年7月5日に隕石落下で大災害」は本当にあり得…
トランプ2.0記事まとめ
日本再発見 シーズン2
CHALLENGING INNOVATOR
Wonderful Story
MOOK
ニューズウィーク日本版別冊
ニューズウィーク日本版別冊

好評発売中