最新記事

フランス政治

仏大統領選でルペンが決選投票へ新戦略 極左と右翼取り込み狙う

2017年4月26日(水)14時39分

4月24日、フランス大統領選の決選投票に向け、極右政党・国民戦線のルペン党首(写真)はグローバリゼーションやテロリズムの危険性を争点として訴える一方、ライバルのマクロン氏をエスタブリッシュメント候補と位置づけて批判する戦略を取りそうだ。エナンボーモンで23日撮影(2017年 ロイター/Charles Platiau)

5月7日のフランス大統領選の決選投票に向け、極右政党・国民戦線(FN)のルペン党首はグローバリゼーションやテロリズムの危険性を争点として訴える一方、ライバルのマクロン氏をエスタブリッシュメント候補と位置づけて批判する戦略を取りそうだ。

世論調査ではルペン氏が決選投票で勝つ可能性はなきに等しいが、FNは承知の上で、こうした争点の訴えに力点を置き、不満を強める極左勢力や右翼主義者の取り込みを目指す。

元銀行員のマクロン氏は、FNに反対する幅広い政治勢力の支持を集めている。このため、マクロン氏との一騎打ちとなる決選投票は、ルペン氏にとって反エスタブリッシュメントの主張を鮮明にするチャンスでもある。

ルペン氏は24日、フランス北部の小さな町ルブロワで、決選投票ではグローバリゼーションの是非が問われるとし、ルペン氏に対抗した主流派の政治家の「腐った」連携に痛烈な批判を浴びせた。23日の第1回投票で、ルペン氏はこのルブロワで40%の支持を集めトップ。ルペン氏同様、グローバリゼーションを批判する極左のメランション氏が2位だった。

ルペン氏の側近は24日朝のテレビ番組で、こうした点を強調し、メランション氏の支持勢力への働き掛けに意欲を示した。「左翼と右翼という対立は昔のことになりつつある。グローバリズムを支持するのか愛国主義者かが新たな対立軸だ。第1回の投票で明らかになったことで、それが決選投票に向けた争点の中心になる」とルペン氏の側近の1人はロイターの取材に話した。

23日の第1回投票でのルペン氏の得票率は21.3%と、マクロン氏の24.01%の後塵を拝した。ルペン陣営は直ちに「マクロン氏 の真の姿はエスタブリッシュメント候補だ」とメッセージを発し、ソーシャルメディアで拡散するよう支持者に促した。

メランション氏の得票率は19.64%。同氏は何年にもわたりルペン氏と対立してきたが、決選投票で誰を支持するかについては口をつぐんでいる。メランション氏の支持者の一部が、ルペン氏の反グローバリズム、反エスタブリッシュメントの主張に呼応する可能性はある。

今、あなたにオススメ
ニュース速報

ビジネス

GMメキシコ工場で生産を数週間停止、人気のピックア

ビジネス

米財政収支、6月は270億ドルの黒字 関税収入は過

ワールド

ロシア外相が北朝鮮訪問、13日に外相会談

ビジネス

アングル:スイスの高級腕時計店も苦境、トランプ関税
今、あなたにオススメ
MAGAZINE
特集:大森元貴「言葉の力」
特集:大森元貴「言葉の力」
2025年7月15日号(7/ 8発売)

時代を映すアーティスト・大森元貴の「言葉の力」の源泉にロングインタビューで迫る

メールマガジンのご登録はこちらから。
人気ランキング
  • 1
    完璧な「節約ディズニーランド」...3歳の娘の夢を「裏庭」で叶えた両親、「圧巻の出来栄え」にSNSでは称賛の声
  • 2
    シャーロット王女の「ロイヤル・ボス」ぶりが話題に...「曾祖母エリザベス女王の生き写し」
  • 3
    「ベンチプレス信者は損している」...プッシュアップを極めれば、筋トレは「ほぼ完成」する
  • 4
    アメリカを「好きな国・嫌いな国」ランキング...日本…
  • 5
    セーターから自動車まで「すべての業界」に影響? 日…
  • 6
    トランプはプーチンを見限った?――ウクライナに一転パ…
  • 7
    「弟ができた!」ゴールデンレトリバーの初対面に、…
  • 8
    『イカゲーム』の次はコレ...「デスゲーム」好き必見…
  • 9
    【クイズ】日本から密輸?...鎮痛剤「フェンタニル」…
  • 10
    日本人は本当に「無宗教」なのか?...「灯台下暗し」…
  • 1
    「弟ができた!」ゴールデンレトリバーの初対面に、ネットが感動の渦
  • 2
    日本企業の「夢の電池」技術を中国スパイが流出...APB「乗っ取り」騒動、日本に欠けていたものは?
  • 3
    シャーロット王女の「ロイヤル・ボス」ぶりが話題に...「曾祖母エリザベス女王の生き写し」
  • 4
    ディズニー・クルーズラインで「子供が海に転落」...…
  • 5
    「本物の強さは、股関節と脚に宿る」...伝説の「元囚…
  • 6
    「飛行機内が臭い...」 原因はまさかの「座席の下」…
  • 7
    アリ駆除用の「毒餌」に、アリが意外な方法で「反抗…
  • 8
    為末大×TAKUMI──2人のプロが語る「スポーツとお金」 …
  • 9
    「ベンチプレス信者は損している」...プッシュアップ…
  • 10
    孫正義「最後の賭け」──5000億ドルAI投資に託す復活…
  • 1
    「コーヒーを吹き出すかと...」ディズニーランドの朝食が「高額すぎる」とSNSで大炎上、その「衝撃の値段」とは?
  • 2
    「あまりに愚か...」国立公園で注意を無視して「予測不能な大型動物」に近づく幼児連れ 「ショッキング」と映像が話題に
  • 3
    10歳少女がサメに襲われ、手をほぼ食いちぎられる事故...「緊迫の救護シーン」を警官が記録
  • 4
    JA・卸売業者が黒幕説は「完全な誤解」...進次郎の「…
  • 5
    ディズニー・クルーズラインで「子供が海に転落」...…
  • 6
    気温40℃、空港の「暑さ」も原因に?...元パイロット…
  • 7
    燃え盛るロシアの「黒海艦隊」...ウクライナの攻撃で…
  • 8
    「小麦はもう利益を生まない」アメリカで農家が次々…
  • 9
    イランを奇襲した米B2ステルス機の謎...搭乗した専門…
  • 10
    「うちの赤ちゃんは一人じゃない」母親がカメラ越し…
トランプ2.0記事まとめ
日本再発見 シーズン2
CHALLENGING INNOVATOR
Wonderful Story
MOOK
ニューズウィーク日本版別冊
ニューズウィーク日本版別冊

好評発売中