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ロシア

ロシアの地下鉄爆破テロに自作自演説が生じる理由

2017年4月13日(木)10時50分
モリー・マッキュー

ロシアは自国民を移住させて兵器に仕立てる。情報を武器にし、欧米諸国のソーシャルメディアで情報戦争を仕掛ける。目を付けた特定の世代を孤立させ、取り込み、ロシアの目的にかなう大義に向かわせる。

悲惨なテロ事件が起きても、「対テロの協力態勢をより強固に」というロシアの声がむなしく響くのはこのためだ。アメリカはテロ組織を戦争の道具と考える国と共にテロと戦えるのか。

ロシアは核兵器に対する方針を変え、「通常兵器の1つ」と位置付けた。これに加え、テロリストを巧妙に利用するやり方を見れば、欧米との戦争で必要とあれば、どんな手段でも取ろうとしていることが分かる。

【参考記事】ロシアテロ、寿司バーで働いていた容疑者の被差別人生

一連の手法が生まれたのは、交渉力を高めるためだ。ロシアは経済力や世界への影響力を失ったが、悪役を演じることで有利な取引をしようとしている。

先週の地下鉄テロは悲劇だった。だが国外のテロ組織との結び付きについて、プーチンは説明すべきだ。

国営テレビが伝えるロシア政府のテロとの戦いの決意は完璧だったが、その裏にある真実に目を向けなくてはならない。

From Foreign Policy Magazine

[2017年4月18日号掲載]

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