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世界経済

【ダボス会議】中国が自由経済圏の救世主という不条理

2017年1月18日(水)19時07分
エミリー・タムキン

「アメリカ・ファースト(アメリカ第一主義)」を掲げる経済政策は、結果的に世界経済に貢献する可能性があると、トランプ政権で上級顧問になる予定のアンソニー・スカラムッチはダボスで説明した。米国内の賃金が上昇すれば、いずれその購買力は国境を越えてグローバル経済の成長に寄与することになるという(トランプの公約どおり、既存の貿易協定を破棄して貿易戦争をすると脅すことが、アメリカの購買力に大打撃を与えかねない点については説明はなかった。習は演説で「貿易戦争で勝者は生まれない」と言ったが、スカラムッチは米中貿易戦争が起きればアメリカが勝つと、自信さえのぞかせていた)

米中の自己矛盾

 彼はトランプが「グローバル主義への希望を体現する」とも言った。だがそれは、共産党一党独裁を率いる習近平が多文化の国際主義にとっての希望の象徴になる、と言うのと同じ自己矛盾だ。

 習近平がグローバル化の救世主となり、これから中国は開放型の世界経済の発展に向けて積極的に取り組むと意欲を見せる一方で、トランプはNATOやEUをこき下ろす──世界はひっくり返った。こんな時代でも変わらないのは、ロシアはこれまで通りのトラブルメーカーであり続けるだろうということぐらいだ。

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