最新記事

G20

中国、杭州G20会議の脱線を警戒 経済大国としての立場確立狙う

2016年8月31日(水)10時25分

8月29日、中国は9月4、5日に杭州で開く20カ国・地域(G20)首脳会議で世界の経済成長を中心議題に据え、経済大国としての地位を確立したい意向だが、西側諸国が領土問題などを持ち出して会議を脱線させることを警戒感している。写真は米国のライス大統領補佐官(国家安全保障担当)の到着を待つ習近平国家主席。北京の人民大会堂で7月撮影(2016年 ロイター/How Hwee Young)

 中国は9月4、5日に杭州で開く20カ国・地域(G20)首脳会議で世界の経済成長を中心議題に据え、経済大国としての地位を確立したい意向だが、西側諸国が領土問題などを持ち出して会議を脱線させることを警戒している。

 習近平・国家主席にとって、そうした事態の回避が至上命題の1つであり、首脳会議の成功度合いを測る重要な尺度となりそうだ。

 G20を前に中国高官らと会話した西側の外交筋によると、南シナ海問題や韓国に配備される最新鋭の米ミサイル迎撃システムなどで話題はもちきりだった。「中国の視点からは、米国が彼らを包囲しているように見えている」と述べた。

 習国家主席は国内に向け、南シナ海問題などに対する西側諸国からの批判に毅然とした態度で立ち向かう姿勢を示す必要がある。

 国営メディアは首脳会議について、世界的なガバナンス(統治)ルールの確立や持続的な世界経済成長に向け、中国が指導力を発揮する舞台だとはやしている。人民日報は今回の首脳会議がG20史上、最も実り多い会合の1つになる可能性があると報じた。

 共産党の幹部教育機関、中央党学校の機関紙「学習時報」は8月半ば、台頭する中国を西側諸国が意図的に排除し、米国主導の環太平洋連携協定(TPP)などによって国際舞台での中国の発言力を否定しようとしている、との見方を伝えた。

「彼らは新たな『神聖なる同盟』を結成し、新たなルールを確立しようと躍起になっている。新たなルールから中国は排除される」と学習時報は論じている。

英豪に憤慨

 中国は最近、英国とオーストラリアに対する投資を両国から拒否され、憤慨している。

 オーストラリアは電力公社オースグリッドの中国企業への売却を阻止する予備決定を下した。英国は中国が投資したヒンクリー・ポイント原発計画を延期した。

今、あなたにオススメ
ニュース速報

ビジネス

LSEG、第1四半期契約の伸び鈍化も安定予想 MS

ビジネス

独消費者信頼感指数、5月は3カ月連続改善 所得見通

ワールド

バイデン大統領、マイクロンへの補助金発表へ 最大6

ワールド

米国務長官、上海市トップと会談 「公平な競争の場を
今、あなたにオススメ
MAGAZINE
特集:世界が愛した日本アニメ30
特集:世界が愛した日本アニメ30
2024年4月30日/2024年5月 7日号(4/23発売)

『AKIRA』からジブリ、『鬼滅の刃』まで、日本アニメは今や世界でより消費されている

メールマガジンのご登録はこちらから。
人気ランキング
  • 1

    「おやつの代わりにナッツ」でむしろ太る...医学博士が教えるスナック菓子を控えるよりも美容と健康に大事なこと

  • 2

    医学博士で管理栄養士『100年栄養』の著者が警鐘を鳴らす「おばけタンパク質」の正体とは?

  • 3

    「誹謗中傷のビジネス化」に歯止めをかけた、北村紗衣氏への名誉棄損に対する賠償命令

  • 4

    心を穏やかに保つ禅の教え 「世界が尊敬する日本人100…

  • 5

    マイナス金利の解除でも、円安が止まらない「当然」…

  • 6

    ワニが16歳少年を襲い殺害...遺体発見の「おぞましい…

  • 7

    NewJeans日本デビュー目前に赤信号 所属事務所に親…

  • 8

    タトゥーだけではなかった...バイキングが行っていた…

  • 9

    中国のロシア専門家が「それでも最後はロシアが負け…

  • 10

    ケイティ・ペリーの「尻がまる見え」ドレスに批判殺…

  • 1

    最強生物クマムシが、大量の放射線を浴びても死なない理由が明らかに

  • 2

    世界3位の経済大国にはなれない?インドが「過大評価」されていると言える理由

  • 3

    「おやつの代わりにナッツ」でむしろ太る...医学博士が教えるスナック菓子を控えるよりも美容と健康に大事なこと

  • 4

    タトゥーだけではなかった...バイキングが行っていた…

  • 5

    「世界中の全機が要注意」...ボーイング内部告発者の…

  • 6

    医学博士で管理栄養士『100年栄養』の著者が警鐘を鳴…

  • 7

    ハーバード大学で150年以上教えられる作文術「オレオ…

  • 8

    NewJeans日本デビュー目前に赤信号 所属事務所に親…

  • 9

    「たった1日で1年分」の異常豪雨...「砂漠の地」ドバ…

  • 10

    「誹謗中傷のビジネス化」に歯止めをかけた、北村紗…

  • 1

    人から褒められた時、どう返事してますか? ブッダが説いた「どんどん伸びる人の返し文句」

  • 2

    韓国で「イエス・ジャパン」ブームが起きている

  • 3

    88歳の現役医師が健康のために「絶対にしない3つのこと」目からうろこの健康法

  • 4

    ロシアの迫撃砲RBU6000「スメルチ2」、爆発・炎上の…

  • 5

    バルチック艦隊、自国の船をミサイル「誤爆」で撃沈…

  • 6

    最強生物クマムシが、大量の放射線を浴びても死なな…

  • 7

    ロシアが前線に投入した地上戦闘ロボットをウクライ…

  • 8

    「燃料気化爆弾」搭載ドローンがロシア軍拠点に突入…

  • 9

    世界3位の経済大国にはなれない?インドが「過大評価…

  • 10

    1500年前の中国の皇帝・武帝の「顔」、DNAから復元に…

日本再発見 シーズン2
CHALLENGING INNOVATOR
Wonderful Story
MOOK
ニューズウィーク日本版別冊
ニューズウィーク日本版別冊

好評発売中