最新記事

自動車

タカタ製エアバッグのリコール、「ハンバーガー」不足で進まず

2016年3月12日(土)12時54分

 昨年、約1180万台をリコールしたトヨタ<7203.T>も、交換部品の約4分の1をダイセルから調達した。供給する同業他社は、自社製品の中からタカタ製に似たサイズを探し、タカタのエアバッグ内に収容できるよう設計変更する必要がある。既製品をそのまま適用することができない。ある同業他社のエンジニアは「タカタが自動車各社と一緒に設計した既存のスペースに収まるようにしなければならないので、非常に複雑だ」という。

 さらにタカタ製品のリコールがいろんな車種に及んでいるため、インフレーターの設計もそれに合わせなければならない。ガス発生剤の出力もそれぞれ調整する必要がある。車が2000年モデルの場合、すでに廃止されたタイプも複製しなければならない。

想定以上にかかる時間

 ダイセルは交換部品の生産について「遅れは生じていない」(広報)という。しかし、タカタと同じような製品がないオートリブは「それぞれ異なる製品の設計・実証段階がある」(広報)として「最大2000万個の(交換用)インフレーターの生産には予想以上の時間がかかっている」と話す。別のサプライヤー幹部も「通常2―3年はかかる設計や試験の工程を数カ月単位にスピードアップしなければならない」と対応の難しさを嘆く。

 タカタも、交換用の生産量は「劇的に増えている」(広報)と説明するが、最大顧客のホンダ<7267.T>が今年2月に発表したリコールでは、実際に部品交換を始めるのが6月の予定で、交換部品不足解消は待ったなしだ。

 原因と責任の所在が正式に確定していない現在、自動車各社がほぼ肩代わりしているリコール費用は、各社の収益を押し下げる。「心情的にはタカタと縁を切りたい」(大手メーカー幹部)との本音が出る半面、タカタからシートベルトの供給も受けていて、簡単に縁を切ることもできない。「交換部品がすべて製造されるまでタカタは存続し続けるだろう」(バリエント社のスコット・アップハム社長)。

 (田実直美、白木真紀 編集:宮崎大)

[東京 11日 ロイター]

120x28 Reuters.gif
Copyright (C) 2016トムソンロイター・ジャパン(株)記事の無断転用を禁じます

今、あなたにオススメ

関連ワード

ニュース速報

ビジネス

中国首相、フォーラムで一段の経済開放約束 日本企業

ワールド

G7、エネ供給支援へ必要な措置講じる用意 外相声明

ワールド

トランプ氏、米空港にICE捜査官派遣と警告 予算巡

ワールド

トランプ氏、イランに48時間以内のホルムズ開放求め
今、あなたにオススメ
MAGAZINE
特集:イラン革命防衛隊
特集:イラン革命防衛隊
2026年3月24日号(3/17発売)

イスラム神権国家を裏からコントロールする謎の軍隊の歴史と知られざる実力

メールマガジンのご登録はこちらから。
人気ランキング
  • 1
    【銘柄】「三菱商事」の株価に高まる期待...ホルムズ海峡封鎖と資源価格高騰が業績を押し上げ
  • 2
    「カメラの目の前」で起きた爆発の瞬間...取材中の記者に、イスラエル機がミサイル発射(レバノン)
  • 3
    韓国製ミサイル天弓-II、イラン戦争で96%迎撃の衝撃 ──「成功」が招く自国防衛の弱体化
  • 4
    キャサリン皇太子妃、ナイジェリア大統領夫妻出迎え…
  • 5
    人気セレブの「問題ビデオ」拡散を受け、出演する米…
  • 6
    スウェーデン次期女王ヴィクトリア皇太子、陸軍訓練…
  • 7
    「筋力の正体」は筋肉ではない...ストロングマンが語…
  • 8
    トランプ政権の「大本営」、イラン戦争を批判的に報…
  • 9
    レストラン店内で配膳ロボットが「制御不能」に...店…
  • 10
    メーガン妃、娘リリベット王女との「お手伝い姿」公…
  • 1
    温暖化で増えた? サンマやサケ減少の裏で激増する「安価で栄養価の高い魚」の正体
  • 2
    「ノーと言えるスペイン」の背景に国防意識...次期スペイン女王は空軍で訓練中、問われる「軍を知る君主」
  • 3
    キャサリン皇太子妃、ナイジェリア大統領夫妻出迎え時の装いが話題――「ファッション外交」に注目
  • 4
    数時間以内に死に至ることも...若者の間で集団感染が…
  • 5
    メーガン妃、娘リリベット王女との「お手伝い姿」公…
  • 6
    第6回大会を終えて曲がり角に来たWBC
  • 7
    【衛星画像】イラン情勢緊迫、米強襲揚陸艦「トリポ…
  • 8
    韓国製ミサイル天弓-II、イラン戦争で96%迎撃の衝撃 …
  • 9
    「マツダ・日産・スバル」が大ピンチ?...オーストラ…
  • 10
    「ネタニヤフの指が6本」はなぜ死亡説につながったの…
  • 1
    温暖化で増えた? サンマやサケ減少の裏で激増する「安価で栄養価の高い魚」の正体
  • 2
    ロシア政府、痛恨のミス...プーチンの「健康不安説」を裏付けるような動画を公式に投稿してしまう
  • 3
    メーガン妃、娘リリベット王女との新ショット公開...撮影はパパ
  • 4
    「ノーと言えるスペイン」の背景に国防意識...次期ス…
  • 5
    見事なカンフーを見せた中国ヒト型ロボットのからく…
  • 6
    キャサリン皇太子妃、ナイジェリア大統領夫妻出迎え…
  • 7
    アルコールは血糖値を下げる...「脳と血管を守る」医…
  • 8
    数時間以内に死に至ることも...若者の間で集団感染が…
  • 9
    「日本より、自分の国(フランス)を心配すれば?」…
  • 10
    日本の若者「韓国就職」憧れと現実のギャップ ── ビ…
トランプ2.0記事まとめ
Real
CHALLENGING INNOVATOR
Wonderful Story
MOOK
ニューズウィーク日本版別冊
ニューズウィーク日本版別冊

好評発売中