最新記事

銃規制

アメリカの銃乱射事件は今年これで45件目

規制も少しずつ進んでいるが、銃犯罪は待ってくれない

2015年10月2日(金)18時13分
ミシェル・リチニック

なぜ誰も止めないのか 今度はオレゴン州の大学キャンパスにいた10人が訳もなく殺された Steve Dipaola-REUTERS

 バージニア州でリポート中のテレビリポーターとカメラマンが射殺されたのが今年8月。6月にはサウスカロライナ州チャールストンの黒人教会で9人が射殺され、7月にはテネシー州チャタヌーガの米軍施設と、ルイジアナ州ラファイエットの映画館で銃乱射事件が発生......。
 
 そこへ、またも銃乱射事件が繰り返された。オレゴン州ローズバーグの2年制大学、アムクワ・コミュニティ・カレッジで昨日午前中、男がキャンパス内で銃を乱射し、少なくとも10人が死亡、約20人がけがをした。犯人は警察に射殺されたが、身元はまだわかっていない。

 銃犯罪の撲滅を目指す活動団体「エブリタウン・フォー・ガンセーフティ」によると、今年2015年にアメリカで発生した45件目の乱射事件だ。

大学での銃乱射ってどの事件?

「エブリタウン」は、ニューヨークのブルームバーグ前市長の提唱で設立された団体で、銃規制に向けて様々な法整備を促進している。一度に4人以上が死亡したケースを「マス・シューティング(銃乱射による大量殺人事件)」として統計をとっている。

「アメリカでは大学での銃乱射事件の話題になると、『どの事件?』と聞かなければならない。あまりに多いからだ。こんなことは他の先進国ではあり得ないし、受け入れ難いことだ。なんとかして現状を変えなければならない」と、07年にバージニア工科大学の乱射事件に遭遇したコリン・ゴダールは声明の中で訴えた。

「アムクワの事件の被害者やその家族全員と結束し、次の悲劇が起きる前に行動を起こすよう政治家に働きかけなければならない」

「エブリタウン」によると、今週の事件は、12年にコネティカット州ニュータウンの小学校で生徒20人と教員6人が死亡した銃乱射事件から数えて142件目だった。09年1月からこれまでに発生した「マス・シューティング」は134件を数える。

 11年に演説中に銃撃され、頭部に重傷を負ったアリゾナ州の元下院議員ガブリエル・ギフォーズは、事件後に出した声明でこう問いかけた。「これは私たちが目指してきたアメリカとは違うのではないか? また(銃乱射が)起こってしまった。アメリカはこれを克服できるし、克服しなければならない」

今、あなたにオススメ
ニュース速報

ワールド

インドのロシア産石油輸入、減少は短期間にとどまる可

ビジネス

主要国・地域の25年成長率見通し上げ、AIブームで

ワールド

ロシア船籍タンカーにドローン攻撃、トルコ沖で 乗組

ビジネス

英中銀、銀行の自己資本比率要件を1%引き下げ 経済
今、あなたにオススメ
MAGAZINE
特集:日本時代劇の挑戦
特集:日本時代劇の挑戦
2025年12月 9日号(12/ 2発売)

『七人の侍』『座頭市』『SHOGUN』......世界が愛した名作とメイド・イン・ジャパンの新時代劇『イクサガミ』の大志

メールマガジンのご登録はこちらから。
人気ランキング
  • 1
    大気質指数200超え!テヘランのスモッグは「殺人レベル」、最悪の環境危機の原因とは?
  • 2
    「世界一幸せな国」フィンランドの今...ノキアの携帯終了、戦争で観光業打撃、福祉費用が削減へ
  • 3
    トランプ支持率がさらに低迷、保守地盤でも民主党が猛追
  • 4
    【クイズ】1位は北海道で圧倒的...日本で2番目に「カ…
  • 5
    7歳の息子に何が? 学校で描いた「自画像」が奇妙す…
  • 6
    【クイズ】次のうち、マウスウォッシュと同じ効果の…
  • 7
    海底ケーブルを守れ──NATOが導入する新型水中ドロー…
  • 8
    【最先端戦闘機】ミラージュ、F16、グリペン、ラファ…
  • 9
    【銘柄】関電工、きんでんが上昇トレンド一直線...業…
  • 10
    中国の「かんしゃく外交」に日本は屈するな──冷静に…
  • 1
    インド国産戦闘機に一体何が? ドバイ航空ショーで墜落事故、浮き彫りになるインド空軍の課題
  • 2
    【最先端戦闘機】ミラージュ、F16、グリペン、ラファール勢ぞろい ウクライナ空軍は戦闘機の「見本市」状態
  • 3
    7歳の息子に何が? 学校で描いた「自画像」が奇妙すぎた...「心配すべき?」と母親がネットで相談
  • 4
    100年以上宇宙最大の謎だった「ダークマター」の正体…
  • 5
    膝が痛くても足腰が弱くても、一生ぐんぐん歩けるよ…
  • 6
    【クイズ】次のうち、マウスウォッシュと同じ効果の…
  • 7
    128人死亡、200人以上行方不明...香港最悪の火災現場…
  • 8
    【寝耳に水】ヘンリー王子&メーガン妃が「大焦り」…
  • 9
    【銘柄】関電工、きんでんが上昇トレンド一直線...業…
  • 10
    子どもより高齢者を優遇する政府...世代間格差は5倍…
  • 1
    東京がニューヨークを上回り「世界最大の経済都市」に...日本からは、もう1都市圏がトップ10入り
  • 2
    【クイズ】本州で唯一「クマが生息していない県」はどこ?
  • 3
    一瞬にして「巨大な橋が消えた」...中国・「完成直後」の橋が崩落する瞬間を捉えた「衝撃映像」に広がる疑念
  • 4
    「不気味すぎる...」カップルの写真に映り込んだ「謎…
  • 5
    【写真・動画】世界最大のクモの巣
  • 6
    高速で回転しながら「地上に落下」...トルコの軍用輸…
  • 7
    「999段の階段」を落下...中国・自動車メーカーがPR…
  • 8
    まるで老人...ロシア初の「AIヒト型ロボット」がお披…
  • 9
    「髪形がおかしい...」実写版『モアナ』予告編に批判…
  • 10
    膝が痛くても足腰が弱くても、一生ぐんぐん歩けるよ…
トランプ2.0記事まとめ
日本再発見 シーズン2
CHALLENGING INNOVATOR
Wonderful Story
MOOK
ニューズウィーク日本版別冊
ニューズウィーク日本版別冊

好評発売中