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人権問題

無国籍住民に大量の外国籍を買うクウェートの真意

2014年11月20日(木)16時25分
ジョシュア・キーティング

 国際法の下ではこの措置は合法と言えるだろう。しかし人権擁護団体は評価していないと、アルジャジーラは伝えている。この措置では、ビドゥンが求めてきたクウェート国籍は与えられず、むしろ二級市民としての地位が固定化されることになりかねないからだ。実際、コモロ国籍になることで、ビドゥンは今まで以上に不安定な立場に追い込まれる可能性がある。

 世界各国には推定1000万人の無国籍者がいる。国連の「無国籍者の地位に関する条約」はこうした人々の人権を保障し、各国政府に対し無国籍者の国外追放を禁じている。ビドゥンがコモロ国籍を取得すれば、この規定に当てはまらなくなり、クウェート政府は彼らを追放できることになる。

 施策の詳細は発表されていないが、自分たちをよその国の市民にしようとする政府のやり方に、ビドゥンは納得していない。ビドゥンの活動家はツイッターでこう訴えている。「寝るときには西アジア人だったのに、目が覚めたら東アフリカ人になっている――アラブ世界ではこんな『奇跡』が起きるのだ」

© 2014, Slate

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