最新記事
考古学

一体なぜ、子供の遺骨に「肉を削がれた痕」が?...中国・河南省で見つかった「異常な」埋葬文化

'Unique' Neolithic Child Burial With Puzzling Bone Modifications Revealed

2025年3月26日(水)15時37分
アリストス・ジョージャウ
賈湖遺跡から出土した人骨

子供の遺骨を加工した のは生前の病気と関係が?(賈湖遺跡) RONG ET AL.

<骨を削られ肉を削がれた子供たちの遺骨には、大人たちの願いと優しさが隠れている?>

中国の河南省で発見された古代の子供の遺骨は、かなり「異常な」埋葬をされていた。

河南省の北舞渡で1960年代に見つかった新石器時代初期に当たる紀元前9000~7500年頃の「賈湖遺跡」埋葬地で、2001年に発掘された人骨の分析結果が、専門誌「国際考古学ジャーナル(International Journal of Osteoarchaeology)」に昨年掲載された

8~10歳頃に死亡したとみられる子供の3体の遺骨の下肢に見つかったのは、人為的と思われる細かな切り痕、削り痕や切り込み痕。肉を取り除いたとみられる痕跡もあり、死の直前におそらく壊血病や栄養失調だったことを示す兆候も骨に見られた。

なぜ亡くなった子供の体をわざわざ傷つけたのか? 骨の痕跡や埋葬状況は、当時の儀式や埋葬習慣、子供の病状などを表している可能性があると、研究者らは考えている。

例えば骨を加工した痕があるのは、病気に苦しんで亡くなった子供が、あの世では下肢の痛みから解放されるようにと願っての行為だった可能性がある。あるいは、骨を使って儀式に使う道具を作ろうとしていたとも考えられる。

研究者によると、新石器時代の比較的初期の中国において、子供の遺骨に人為的な加工が施されているのは、これが初の例だという。

<参考文献>
Rong, F., Xingtao, W., Juzhong, Z., & Minghui, W. (2024). An "Invisible" Child--A Case of a Child With Anthropogenic Modification Marks and Pathological Conditions in Early Neolithic China. International Journal of Osteoarchaeology. https://doi.org/10.1002/oa.3368

ニューズウィーク日本版 世界最高の投手
※画像をクリックすると
アマゾンに飛びます

2025年11月18日号(11月11日発売)は「世界最高の投手」特集。[保存版]日本最高の投手がMLB最高の投手に―― 全米が驚愕した山本由伸の投球と大谷・佐々木の2025年

※バックナンバーが読み放題となる定期購読はこちら


東京アメリカンクラブ
一夜だけ、会員制クラブの扉が開いた──東京アメリカンクラブ「バンケットショーケース」で出会う、理想のパーティー
あわせて読みたい
ニュース速報

ビジネス

三井物産と20年間のLNG供給契約、ベンチャー・グ

ワールド

トランプ氏、50年住宅ローン推進 保守派の懸念に「

ワールド

英、ロシア産LNG輸出標的に海上サービスを禁止へ

ビジネス

マネーストックM3、10月は前年比1.0%増 伸び
あわせて読みたい
MAGAZINE
特集:世界最高の投手
特集:世界最高の投手
2025年11月18日号(11/11発売)

日本最高の投手がMLB最高の投手に──。全米が驚愕した山本由伸の投球と大谷・佐々木の活躍

メールマガジンのご登録はこちらから。
人気ランキング
  • 1
    ギザのピラミッドにあると言われていた「失われた入口」がついに発見!? 中には一体何が?
  • 2
    『プレデター: バッドランド』は良作?駄作?...批評家たちのレビューは「一方に傾いている」
  • 3
    【写真・動画】世界最大のクモの巣
  • 4
    「不気味すぎる...」カップルの写真に映り込んだ「謎…
  • 5
    コロンビアに出現した「謎の球体」はUFOか? 地球外…
  • 6
    ドジャースの「救世主」となったロハスの「渾身の一…
  • 7
    「流石にそっくり」...マイケル・ジャクソンを「実の…
  • 8
    冬ごもりを忘れたクマが来る――「穴持たず」が引き起…
  • 9
    【銘柄】エヌビディアとの提携発表で株価が急騰...か…
  • 10
    【クイズ】韓国でGoogleマップが機能しない「意外な…
  • 1
    【写真・動画】世界最大のクモの巣
  • 2
    「不気味すぎる...」カップルの写真に映り込んだ「謎の存在」がSNSで話題に、その正体とは?
  • 3
    【クイズ】本州で唯一「クマが生息していない県」はどこ?
  • 4
    『プレデター: バッドランド』は良作?駄作?...批評…
  • 5
    「座席に体が収まらない...」飛行機で嘆く「身長216c…
  • 6
    ドジャースの「救世主」となったロハスの「渾身の一…
  • 7
    「遺体は原型をとどめていなかった」 韓国に憧れた2…
  • 8
    筋肉を鍛えるのは「食事法」ではなく「規則」だった.…
  • 9
    「路上でセクハラ」...メキシコ・シェインバウム大統…
  • 10
    クマと遭遇したら何をすべきか――北海道80年の記録が…
  • 1
    【クイズ】本州で唯一「クマが生息していない県」はどこ?
  • 2
    英国で「パブ離れ」が深刻化、閉店ペースが加速...苦肉の策は「日本では当たり前」の方式だった
  • 3
    【クイズ】ヒグマの生息数が「世界で最も多い国」はどこ?
  • 4
    「不気味すぎる...」カップルの写真に映り込んだ「謎…
  • 5
    【写真・動画】世界最大のクモの巣
  • 6
    1000人以上の女性と関係...英アンドルー王子、「称号…
  • 7
    【クイズ】クマ被害が相次ぐが...「熊害」の正しい読…
  • 8
    【クイズ】日本でツキノワグマの出没件数が「最も多…
  • 9
    今年、記録的な数の「中国の飲食店」が進出した国
  • 10
    【クイズ】1位は「蚊」...世界で「2番目に」人間を殺…
トランプ2.0記事まとめ
日本再発見 シーズン2
CHALLENGING INNOVATOR
Wonderful Story
MOOK
ニューズウィーク日本版別冊
ニューズウィーク日本版別冊

好評発売中