インフラ維持管理の新基準へ...老朽化をスマホ一つで点検できる調査アプリ「LD-Map」とは?
紙ベースの地図や報告書が不要に
LD-Mapは「誰でも簡単に点検・調査できるアプリ」を目指して開発された。ナビゲーションに従って操作すれば、対象物1点あたりわずか2分程度で作業が完了する。これまで膨大な時間を要していた写真の取り込みや人の目による診断、紙ベースの地図や報告書作成も不要になるなど、作業効率を飛躍的に向上させることができる。
街路灯の場合、①灯具(照明器具)、②支柱の全体、③識別番号、④接地面(左右から)を撮影する。
同社「LD-Map」プロジェクトチーム推進リーダーの立花徹氏は「調査を時系列で追跡できる点が一番大きい」と語る。
「たとえば、以前はまだ交換するほどではないけど注意が必要だと思っていたものが、その後やはり劣化して危険判定に変わった。この『注意』から『危険』に変わるというところ、これを把握できることが予防保全につながります。そういった対象物がどれくらいあるのかがマップ上で俯瞰して見られるため、(修繕)計画に落とし込んでいくことができます。これが、インフラ管理を『予防保全』に転換していくうえで重要なポイントです」

段階的に進められてきた実証実験の中で、自治体職員からのフィードバックを受けてアップデートした部分も多いという。「撮影時に画面が見にくい」という意見を受けて明るさの自動最大化機能を実装し、「撮影後のメモが取れない」という声にも対応済みだ。
2026年度に本格リリースが予定されているLD-Mapだが、今後はガードレールや標識などにも管理対象物を拡張していく予定だという。勉強会・報告会を通じて愛媛県内の他市町村への横展開を図りつつ、全国展開も見据えている。この先の展望について、同社ソリューションエンジニアリング本部の役野善道氏は「2030年には全国50くらいの自治体での導入を目指す」と意気込む。
財政難や人材不足に直面する地方自治体にとって、点検や補修を効率化し安全性を高めるこのサービスは、持続可能な地域づくりをサポートする強力なツールとなりそうだ。老朽化する社会インフラへの対応が全国各地で急務とされるなか、LD-Mapは地域の暮らしを守る新しい標準となるかもしれないとして評価できる。
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