かつて日本は「移民送出国」だった...祖先を探す「海外ウチナーンチュ」を繋ぐ「図書館の可能性」
ACROSS BORDERS, OKINAWAN ROOTS SPEAK
52年ぶりにいとこと再会したハワイ県系2世ヘレン・ヤナムラ(中央) COURTESY OF OKINAWA PREFECTURAL LIBRARY
<沖縄からハワイやアメリカ大陸へ旅立った移民たち。その子孫の「自分は何者か」という問いかけに応じる沖縄県立図書館の取り組みが注目されている>
日本が「移民送出国」であった事実を、私たちはどれだけ意識しているだろうか。
明治維新から1970年代初頭にかけて、日本列島から海を渡った移民の総数は百数十万人に上る。特に沖縄からは、ハワイや北米、南米へと、多くの人々が旅立っていった。
数世代を経た今、移民の子孫が「自分は何者か」という問いを胸に自らのルーツを求めている。その声に応えたのが、沖縄県立図書館の調査サービス「ファインディング・オキナワン・ルーツ」だ。
海外に住む沖縄県系人(ウチナーンチュ)たちに祖父母・曽祖父母の渡航記録を伝えるこの取り組みは、先進的な図書館活動を顕彰するNPO法人「知的資源イニシアティブ(IRI)」の「ライブラリー・オブ・ザ・イヤー2024」において、大賞とオーディエンス賞のダブル受賞を果たした。
授賞理由は「移民ルーツ調査から始まる国境と世代を超えたコミュニティの形成」という、大きなビジョンだ。






