最新記事
SDGsパートナー

廃棄される「鱧(ハモ)の皮」からコラーゲンを抽出...再春館製薬所「ドモホルンリンクル」は驚くほどサステナブル

2024年11月29日(金)16時00分
ニューズウィーク日本版編集部SDGs室 ブランドストーリー
鱧

「ドモホルンリンクル」では、鱧の皮から抽出した海洋性コラーゲンを使用している

<コラーゲンを含む基礎化粧品「ドモホルンリンクル」で知られる再春館製薬所。より良いコラーゲンを追究し続ける同社は、環境に配慮した意外な原料で最新のコラーゲンを開発した>

世界を変えるには、ニュースになるような大規模なプロジェクトや商品だけでは不十分。日本企業のたとえ小さなSDGsであっても、それが広く伝われば、共感を生み、新たなアイデアにつながり、社会課題の解決に近づいていく──。この考えに基づいてニューズウィーク日本版は昨年に「SDGsアワード」を立ち上げ、今年で2年目を迎えました。その一環として、日本企業によるSDGsの取り組みを積極的に情報発信していきます。

◇ ◇ ◇

海外で廃棄されていた鱧の皮をコラーゲンとして再利用

株式会社再春館製薬所の主力製品である「ドモホルンリンクル」は、1974年に日本初(*1)のコラーゲン(*2)を配合した基礎化粧品として発売された。以来、同社は最良のコラーゲンを生み出すべく、原料からこだわって改良を続けている。

「自然とつながり、人とつながる明日を」という理念を掲げ、原料の選定においても環境への配慮を徹底している。それを踏まえて開発されたのが、廃棄される大量の鱧(ハモ)の皮を活用した「鱧コラーゲン」だ。

ドモホルンリンクルに配合されるコラーゲンは、以前はドイツの医療品原料メーカーの牛由来コラーゲンを使用していた。しかし、2001年に狂牛病(BSE)問題が起こり、使用していた原料は安全面に問題はなかったものの、顧客の不安を考慮して牛由来の原料は即座に使用を中止した。

動物性由来原料を廃止し、魚から抽出する海洋性コラーゲンに変更することを決めた同社は、まずは鯛(タイ)のうろこに注目。

元来は捨てられていたうろこから良質なコラーゲンが取れることが判明したが、うろこの硬さがネックになった。硬いうろこからコラーゲンを抽出するためには薬剤を使う必要があったほか作業負担が大きく、それがコラーゲンの質の低下につながりかねなかった。

より安心できる、持続可能なコラーゲンとは何か? 世界中から原料を取り寄せ、研究を重ねる中で、最も高い保湿効果を得ることを確認できたのが、天然鱧の皮から抽出した海洋性コラーゲンだった。

鱧のコラーゲンは人の肌へのなじみもよく保湿力が高いうえ、作業負担も高くなく、質を保つことができ、原料としては申し分ない。だが、新たな課題が立ちはだかった。

鱧は国内では高級魚として皮まで余すことなく食べられ、しかも漁獲高が減る一方であったため、これを使い続けることは現実的とは言い難かったのだ。

そうした中で出会ったのがタイのアンダマン海に棲息する、体長1メートルにも及ぶ大きな種類の鱧。アンダマン海は肥沃な海で、ここで獲れる鱧は皮にも良質なコラーゲンを大量に蓄えている。さらに、現地ではすり身加工が主流のため、大量の皮が廃棄されていた。

「ドモホルンリンクル」商品ラインナップ

『自然・社会との共存』を根底に、原料の選定においても環境に配慮をした「ドモホルンリンクル」商品ラインナップ

「当社のあらゆる活動の根底には『自然・社会との共存』が念頭にあります。廃棄されるものがあればそれを積極的に活用するということも、ずっと心がけてきたことでした。従来よりも肌に良い品質、豊かな環境で育つ持続可能な素材、廃棄されるものの活用と、私たちにとってすべての条件が揃った理想の原料だったのです」と研究開発・新規事業開発部の副部門長 鴛海央氏は話す。

あわせて読みたい
ニュース速報

ワールド

米中が閣僚級電話会談、貿易戦争緩和への取り組み協議

ワールド

米、台湾・南シナ海での衝突回避に同盟国に負担増要請

ビジネス

モルガンSも米利下げ予想、12月に0.25% 据え

ワールド

トランプ氏に「FIFA平和賞」、W杯抽選会で発表
あわせて読みたい
MAGAZINE
特集:日本時代劇の挑戦
特集:日本時代劇の挑戦
2025年12月 9日号(12/ 2発売)

『七人の侍』『座頭市』『SHOGUN』......世界が愛した名作とメイド・イン・ジャパンの新時代劇『イクサガミ』の大志

メールマガジンのご登録はこちらから。
人気ランキング
  • 1
    健康長寿の鍵は「慢性炎症」にある...「免疫の掃除」が追いつかなくなっている状態とは?
  • 2
    【クイズ】アルコール依存症の人の割合が「最も高い国」はどこ?
  • 3
    「ボタン閉めろ...」元モデルの「密着レギンス×前開きコーデ」にネット騒然
  • 4
    左手にゴルフクラブを握ったまま、茂みに向かって...…
  • 5
    兵士の「戦死」で大儲けする女たち...ロシア社会を揺…
  • 6
    主食は「放射能」...チェルノブイリ原発事故現場の立…
  • 7
    戦争中に青年期を過ごした世代の男性は、終戦時56%…
  • 8
    イスラエル軍幹部が人生を賭けた内部告発...沈黙させ…
  • 9
    『羅生門』『七人の侍』『用心棒』――黒澤明はどれだ…
  • 10
    高市首相「台湾有事」発言の重大さを分かってほしい
  • 1
    100年以上宇宙最大の謎だった「ダークマター」の正体を東大教授が解明? 「人類が見るのは初めて」
  • 2
    戦争中に青年期を過ごした世代の男性は、終戦時56%しか生き残れなかった
  • 3
    7歳の息子に何が? 学校で描いた「自画像」が奇妙すぎた...「心配すべき?」と母親がネットで相談
  • 4
    イスラエル軍幹部が人生を賭けた内部告発...沈黙させ…
  • 5
    【銘柄】関電工、きんでんが上昇トレンド一直線...業…
  • 6
    健康長寿の鍵は「慢性炎症」にある...「免疫の掃除」…
  • 7
    人生の忙しさの9割はムダ...ひろゆきが語る「休む勇…
  • 8
    【クイズ】17年連続でトップ...世界で1番「平和な国…
  • 9
    日本酒の蔵元として初の快挙...スコッチの改革に寄与…
  • 10
    【クイズ】アルコール依存症の人の割合が「最も高い…
  • 1
    東京がニューヨークを上回り「世界最大の経済都市」に...日本からは、もう1都市圏がトップ10入り
  • 2
    一瞬にして「巨大な橋が消えた」...中国・「完成直後」の橋が崩落する瞬間を捉えた「衝撃映像」に広がる疑念
  • 3
    【写真・動画】世界最大のクモの巣
  • 4
    高速で回転しながら「地上に落下」...トルコの軍用輸…
  • 5
    「999段の階段」を落下...中国・自動車メーカーがPR…
  • 6
    まるで老人...ロシア初の「AIヒト型ロボット」がお披…
  • 7
    「髪形がおかしい...」実写版『モアナ』予告編に批判…
  • 8
    膝が痛くても足腰が弱くても、一生ぐんぐん歩けるよ…
  • 9
    インド国産戦闘機に一体何が? ドバイ航空ショーで…
  • 10
    ポルノ依存症になるメカニズムが判明! 絶対やって…
トランプ2.0記事まとめ
Real
CHALLENGING INNOVATOR
Wonderful Story
MOOK
ニューズウィーク日本版別冊
ニューズウィーク日本版別冊

好評発売中