最新記事
環境

建築が温室効果ガスを出す? 「CO2e」削減で暮らしを変えるユニークな北欧建築の最前線

2025年11月23日(日)11時10分
岩澤里美(スイス在住ジャーナリスト)
オアスタッドにある集合住宅「ザ・マウンテン」

人口2万人強のオアスタッドにある集合住宅「エイトテル」(写真はすべて筆者撮影)

<IT人材と若者が集う都市の再開発が生んだのは、環境と共生する斬新な住宅群だった>

先日、デンマークの首都コペンハーゲンを初めて訪れた。コペンハーゲンは、「北欧のパリ」と称され、世界の都市の生活の質を82の観点で評価したランキング「ハッピー・シティー・インデックス2025」で1位に輝き、住民にとってもビジネスや観光で訪れる人にとっても、とても居心地がいい。市内の様々な場所を訪れたが、変わったデザインの建築が多いことが特に印象的だった。

多数のIT人材が集まる、斬新な建築の町

現地の観光ガイドによると、1990年代後半にコペンハーゲン港湾周辺に集中していた主要産業の造船所が閉鎖したことを機に、港一帯の活性化を目指し、大規模な改修と新築の計画が進められたという。そして、同市の住みやすさが大きな魅力となり、多数のスタートアップや国際的なIT企業が拠点を構えるようになった。結果、IT業界で働くために国外から移住する人が増加し、2000年以降、人口は毎年4~6千人増え、現在は約66万人に達している。

人口増加に伴い、住宅数も増えた。建築界では2000年代以降、他国で学んだ新世代の建築家たちが従来の常識にとらわれない自由な発想をもち込み、町のいたる所で、大胆なデザインの集合住宅を目にするようになった。

賃貸マンション「カクタスタワーズ」

2024年完成の賃貸マンション「カクタスタワーズ」。IT業界で働く若者をターゲットにしており、各戸の広さは33~53平方メートルとコンパクト。環境に配慮した建材が使われている。

日差しに照らされた集合住宅

コペンハーゲン市街地を左手に、国際空港を右手に見ると、その間に人口2万人強のオアスタッド(Ørestad)という"ニュータウン"がある。かつては使われていない公有地だったが、地下鉄の建設に伴い、約20年前から人が住み始めた。周辺は、広大な自然保護区になっている。

コペンハーゲン中央駅からオアスタッド南端のべストアマー駅までは、わずか20分。スポーツイベントやコンサートが開かれる多目的屋内アリーナの「ロイヤル・アリーナ」、年間約9万人が訪れる国内最大のショッピングセンター「フィールズ」など、ここには思わず撮影したくなる建物がたくさんある。しかも、それらは環境に優しく、人々が長く快適に働き、生活できるように設計されている。代表的なものを見てみよう。

資産運用
「高市トレード」に「トランプ関税」......相場が荒れる今こそ投資家が目を向ける「世界通貨」とは
あわせて読みたい
ニュース速報

ワールド

トランプ米大統領、代替関税率を10%から15%に引

ビジネス

エヌビディアやソフト大手の決算、AI相場の次の試金

ワールド

焦点:「氷雪経済」の成功例追え、中国がサービス投資

ワールド

焦点:米中間選挙へ、民主党がキリスト教保守層にもア
あわせて読みたい
MAGAZINE
特集:ウクライナ戦争4年 苦境のロシア
特集:ウクライナ戦争4年 苦境のロシア
2026年2月24日号(2/17発売)

帰還兵の暴力、ドローンの攻撃、止まらないインフレ。国民は疲弊しプーチンの足元も揺らぐ

メールマガジンのご登録はこちらから。
人気ランキング
  • 1
    「水道水」が筋トレの成果を左右する...私たちの体には濾過・吸収する力が備わっている
  • 2
    「#ジェームズ・ボンドを忘れろ」――MI6初の女性長官が掲げる「新しいスパイの戦い方」
  • 3
    命は長し、働け女たち――88歳「働くばあさん」が説く高齢期の「4つの覚悟」
  • 4
    カビが植物に感染するメカニズムに新発見、硬い表面…
  • 5
    少女買春に加え、国家機密の横流しまで...アンドルー…
  • 6
    100万人が死傷、街には戦場帰りの元囚人兵...出口な…
  • 7
    ロシアに蔓延する「戦争疲れ」がプーチンの立場を揺…
  • 8
    「窓の外を見てください」パイロットも思わず呼びか…
  • 9
    「ヘル・コリア」から日本へ7万人 ── 大企業の高給より…
  • 10
    揺れるシベリア...戦費の穴埋めは国民に? ロシア中…
  • 1
    「ヘル・コリア」から日本へ7万人 ── 大企業の高給より日本の「100%就職率」を選ぶ若者たち
  • 2
    命は長し、働け女たち――88歳「働くばあさん」が説く高齢期の「4つの覚悟」
  • 3
    「水道水」が筋トレの成果を左右する...私たちの体には濾過・吸収する力が備わっている
  • 4
    なぜ「あと1レップ」が筋肉を壊すのか...「高速パワ…
  • 5
    【銘柄】マイクロソフトの株価が暴落...「AI懸念」で…
  • 6
    「ヒンメルならそうした」...コスプレイヤーが消火活…
  • 7
    「#ジェームズ・ボンドを忘れろ」――MI6初の女性長官…
  • 8
    海外(特に日本)移住したい中国人が増えている理由.…
  • 9
    「目のやり場に困る...」アカデミー会場を席巻したス…
  • 10
    オートミール中心の食事がメタボ解消の特効薬に
  • 1
    【クイズ】致死率50~75%...インドで感染拡大「ニパウイルス」の感染源となる動物は?
  • 2
    ウクライナ戦闘機「F-16」がロシア軍「シャヘド」を空中爆破...地上から撮影の「レア映像」を公開
  • 3
    高市積極財政にアメリカが慌てる理由
  • 4
    セーターが消えた冬 ── 暖かさの主戦場が「インナー」…
  • 5
    台湾侵攻「失敗」の大きすぎる代償
  • 6
    「最恐」恐竜T・レックスの定説を覆す新研究が
  • 7
    イースター島の先住民から資源を略奪、島を「生きた…
  • 8
    海上自衛隊が水中無人機(UUV)を導入 中国の海軍拡…
  • 9
    中国、パナマ運河の港湾喪失でパナマに報復──トラン…
  • 10
    「ヘル・コリア」から日本へ7万人 ── 大企業の高給より…
トランプ2.0記事まとめ
Real
CHALLENGING INNOVATOR
Wonderful Story
MOOK
ニューズウィーク日本版別冊
ニューズウィーク日本版別冊

好評発売中