最新記事
MLB

常勝軍団の家族秘話...大谷翔平のチームメイトたちが明かした、ドジャース流「家族ぐるみ」のお付き合い

2024年10月4日(金)14時40分
青池奈津子(MLBライター)
大谷翔平

8月28日の始球式に登場したデコピンは大役を果たして大谷とハイタッチ HARRY HOW/GETTY IMAGES

<大谷の愛犬デコピンが始球式に登場したのはなぜ? ドジャースの強さの背景には、球団あげての家族サービスがあった>

8月下旬、大谷翔平選手の愛犬デコピンの完璧な始球式が話題になったことは記憶に新しい。一方で、「なぜ愛犬が始球式に......?」と不思議に思った人もいるかもしれない。

実はあれは、ドジャース流の家族サービスの1つ。勝つためにチーム一丸となって貪欲に努力し続けるこの球団には、裏で支える選手らへの家族にも手厚いケアをすることで知られている。


「ドジャースは、僕がこれまでいた球団の中でも特に家族に対する意識が高い」と話したのは、7球団に所属経験があるドジャースのベテラン投手、ダニエル・ハドソンだ。子供たちを球場に連れて行きやすくしてくれたり、家族行事を作ってくれたり、忙しい選手が野球に少しでも集中できるよう家族サービスを手助けしてくれることがとても有難いと言う。

ドジャースの公式SNSを見ると、ファミリーデイ、始球式、チャリティーイベント、ベビーシャワーなど、選手の活躍だけでなく、パートナーや子供たちも頻繁に登場する。大リーグのシーズンは長く、どの球団も選手が家族と過ごせる時間を少しでも作れるようとさまざまな企画を考えるが、特にドジャースは家族やコミュニティー向けの活動がとても盛んなのだ。

そのうちの1つが、来場者限定で選手のボブルヘッド人形が配られる日。ドジャースは、ボブルヘッドとなった選手のパートナーや子供たちに始球式で投手役を務めてもらうことで家族にも光を当てる。ドジャースほど年間でボブルヘッドが配られる球団もないが(今季は19体)、日ごろからそんな風に家族が始球式に出てくるのを見ていた大谷にとって、デコピンに始球式をやらせようと思ったのは実に自然な流れだったようだ。

ドジャースタジアムの造りが古いこともあり、選手も選手の家族も報道陣も一般と同じエレベーターを使うので、日頃から家族の姿をよく目にする。夏休みになれば、選手の子供たちが何人もクラブハウスを我が物顔で歩いている。

「僕らの生活は家族と離れている時間が本当に長い。だからつい、野球にフォーカスし過ぎてしまう時がある。でも子供たちが近くにいると、野球漬けの生活が少しノーマルに感じる。だから、ドジャースがいつも家族が来やすい環境を作ってくれていることはすごくありがたい」

ハドソンはそう語る。彼には3人の幼い娘がいるが、ドジャースは男の子だけでなく女の子も球場に入りやすい雰囲気を作ってくれると言う。

「7月にドジャースが試合後に『Daddy Daughter Night(パパと娘の夜)』を企画してくれて、娘たちと初めてクラブハウスで楽しい時間を過ごした。男の子たちはよくここに来ているけど、僕に男の子はいないからね。うちの子たちが、ロッカールームの雰囲気やパパが毎日どんなことをしているかを理解するきっかけになってくれて嬉しかった」と笑顔を見せた。

あわせて読みたい
ニュース速報

ビジネス

スイス中銀、0.5%利下げ 基調インフレ緩和と指摘

ワールド

ロシアとインド、過去最大の原油供給契約 年130億

ワールド

24年度補正予算案、衆院を通過

ワールド

インド太平洋の米軍飛行場、中国の攻撃に脆弱=報告書
あわせて読みたい
MAGAZINE
特集:韓国 戒厳令の夜
特集:韓国 戒厳令の夜
2024年12月17日号(12/10発売)

世界を驚かせた「暮令朝改」クーデター。尹錫悦大統領は何を間違えたのか?

メールマガジンのご登録はこちらから。
人気ランキング
  • 1
    ロシア兵「そそくさとシリア脱出」...ロシアのプレゼンス維持はもはや困難か?
  • 2
    半年で約486万人の旅人「遊女の数は1000人」にも達した江戸の吉原・京の島原と並ぶ歓楽街はどこにあった?
  • 3
    ミサイル落下、大爆発の衝撃シーン...ロシアの自走式多連装ロケットシステム「BM-21グラート」をHIMARSで撃破の瞬間
  • 4
    男性ホルモンにいいのはやはり脂の乗った肉?...和田…
  • 5
    「炭水化物の制限」は健康に問題ないですか?...和田…
  • 6
    ノーベル文学賞受賞ハン・ガン「死者が生きている人を…
  • 7
    韓国大統領の暴走を止めたのは、「エリート」たちの…
  • 8
    「男性ホルモンが高いと性欲が強い」説は誤り? 最新…
  • 9
    「糖尿病の人はアルツハイマー病になりやすい」は嘘…
  • 10
    プロ投資家の目で見ると...物流の2024年問題の裏で成…
  • 1
    ロシア兵「そそくさとシリア脱出」...ロシアのプレゼンス維持はもはや困難か?
  • 2
    「炭水化物の制限」は健康に問題ないですか?...和田秀樹医師に聞く「老けない」最強の食事法
  • 3
    半年で約486万人の旅人「遊女の数は1000人」にも達した江戸の吉原・京の島原と並ぶ歓楽街はどこにあった?
  • 4
    2年半の捕虜生活を終えたウクライナ兵を待っていた、…
  • 5
    男性ホルモンにいいのはやはり脂の乗った肉?...和田…
  • 6
    国防に尽くした先に...「54歳で定年、退職後も正規社…
  • 7
    ミサイル落下、大爆発の衝撃シーン...ロシアの自走式…
  • 8
    「男性ホルモンが高いと性欲が強い」説は誤り? 最新…
  • 9
    朝晩にロシア国歌を斉唱、残りの時間は「拷問」だっ…
  • 10
    人が滞在するのは3時間が限界...危険すぎる「放射能…
  • 1
    朝食で老化が早まる可能性...研究者が「超加工食品」に警鐘【最新研究】
  • 2
    北朝鮮兵が「下品なビデオ」を見ている...ロシア軍参加で「ネットの自由」を得た兵士が見ていた動画とは?
  • 3
    寿命が延びる、3つのシンプルな習慣
  • 4
    「1年後の体力がまったく変わる」日常生活を自然に筋…
  • 5
    朝鮮戦争に従軍のアメリカ人が写した「75年前の韓国…
  • 6
    自分は「純粋な韓国人」と信じていた女性が、DNA検査…
  • 7
    「会見拒否」で自滅する松本人志を吉本興業が「切り…
  • 8
    ロシア兵「そそくさとシリア脱出」...ロシアのプレゼ…
  • 9
    「炭水化物の制限」は健康に問題ないですか?...和田…
  • 10
    ロシア陣地で大胆攻撃、集中砲火にも屈せず...M2ブラ…
日本再発見 シーズン2
CHALLENGING INNOVATOR
Wonderful Story
MOOK
ニューズウィーク日本版別冊
ニューズウィーク日本版別冊

好評発売中