最新記事
投資

【銘柄】元・東芝のキオクシアHD...生成AIで急上昇した株価はどこまで伸びる?

2025年11月6日(木)12時55分
佐々木達也(証券アナリスト・金融ライター)

そんなNANDメモリーをめぐっては、大手メーカーによる市場の寡占化が進んでいます。キオクシアの世界シェアは、韓国のサムスン電子、SKハイニックスに次いで第3位。米サンディスクと長年、国内工場で共同生産を続けています。

■メモリー業界を取り巻く現状

メモリーは開発や量産のために多額の設備投資が必要とされ、「シリコンサイクル」と呼ばれる好不況の波が激しい業界です。コロナ禍の巣ごもり需要で大きく伸びた需要が一巡し、2022~2023年はメーカーの在庫調整や構造改革により不況の時代を迎えました。

しかし、生成AIの拡大によるデータセンター向けという新たな需要の到来で、メモリー価格は上昇に転じています。2025年はAI機能を搭載したスマートフォンが各社から続々と発表されたほか、企業での生成AIの活用もさらに本格化しました。

AIを利用するユーザーが増えると、大量のデータを処理するシステムやサーバーの拡張が必要になります。これまではGPU(画像処理半導体)やDRAMメモリーが活用されていましたが、コスト面や消費電力でSSDに優位性があることから、ここにきてフラッシュメモリーの需要が大きく伸び始めているのです。

キオクシアによると、データセンター向けフラッシュメモリーの需要は、年率平均で27%という高成長が2029年まで続くと見込まれています。

キオクシアの株価はどこまで伸びる?

業界の活況を受けて、キオクシアホールディングスの業績も急回復しています。前期(2025年3月期)の営業利益は4517億円で、2期連続の赤字から黒字へ転換しました。売上収益も前期比59%増の1兆7064億円と大幅に拡大し、ともに過去最高となっています。

9月末には、岩手県の北上工場で新棟が稼働したと発表。AIデータセンター向けの次世代NANDメモリーの出荷を2026年に開始する見込みです。また、生産能力の拡大にあわせて100人規模を新規採用し、今後さらに押し寄せるであろう需要の大波に備えています。

あわせて読みたい
ニュース速報

ビジネス

グーグル、ドイツで過去最大の投資発表へ

ワールド

マクロスコープ:高市「会議」にリフレ派続々、財務省

ビジネス

ドイツ鉱工業生産、9月は前月比+1.3% 予想を大

ビジネス

日産、通期純損益予想を再び見送り 4━9月期は22
あわせて読みたい
MAGAZINE
特集:高市早苗研究
特集:高市早苗研究
2025年11月 4日/2025年11月11日号(10/28発売)

課題だらけの日本の政治・経済・外交を初の女性首相はこう変える

メールマガジンのご登録はこちらから。
人気ランキング
  • 1
    「不気味すぎる...」カップルの写真に映り込んだ「謎の存在」がSNSで話題に、その正体とは?
  • 2
    【クイズ】本州で唯一「クマが生息していない県」はどこ?
  • 3
    虹に「極限まで近づく」とどう見える?...小型機パイロットが撮影した「幻想的な光景」がSNSで話題に
  • 4
    NY市長に「社会主義」候補当選、マムダニ・ショック…
  • 5
    「なんだコイツ!」網戸の工事中に「まさかの巨大生…
  • 6
    カナダ、インドからの留学申請74%を却下...大幅上昇…
  • 7
    もはや大卒に何の意味が? 借金して大学を出ても「商…
  • 8
    約500年続く和菓子屋の虎屋がハーバード大でも注目..…
  • 9
    【ウクライナ】要衝ポクロウシクの攻防戦が最終局面…
  • 10
    【クイズ】ヒグマの生息数が「世界で最も多い国」は…
  • 1
    【クイズ】本州で唯一「クマが生息していない県」はどこ?
  • 2
    「不気味すぎる...」カップルの写真に映り込んだ「謎の存在」がSNSで話題に、その正体とは?
  • 3
    【クイズ】クマ被害が相次ぐが...「熊害」の正しい読み方は?
  • 4
    【クイズ】ヒグマの生息数が「世界で最も多い国」は…
  • 5
    【ウクライナ】要衝ポクロウシクの攻防戦が最終局面…
  • 6
    9歳女児が行方不明...失踪直前、防犯カメラに映った…
  • 7
    【クイズ】1位は「蚊」...世界で「2番目に」人間を殺…
  • 8
    「日本のあの観光地」が世界2位...エクスペディア「…
  • 9
    女性の後を毎晩つけてくるストーカー...1週間後、雨…
  • 10
    だまされやすい詐欺メールTOP3を専門家が解説
  • 1
    【クイズ】本州で唯一「クマが生息していない県」はどこ?
  • 2
    英国で「パブ離れ」が深刻化、閉店ペースが加速...苦肉の策は「日本では当たり前」の方式だった
  • 3
    【クイズ】ヒグマの生息数が「世界で最も多い国」はどこ?
  • 4
    かばんの中身を見れば一発でわかる!「認知症になり…
  • 5
    「不気味すぎる...」カップルの写真に映り込んだ「謎…
  • 6
    1000人以上の女性と関係...英アンドルー王子、「称号…
  • 7
    悲しみで8年間「羽をむしり続けた」オウム...新たな…
  • 8
    【クイズ】クマ被害が相次ぐが...「熊害」の正しい読…
  • 9
    【クイズ】日本でツキノワグマの出没件数が「最も多…
  • 10
    お腹の脂肪を減らす「8つのヒント」とは?...食事以…
トランプ2.0記事まとめ
日本再発見 シーズン2
CHALLENGING INNOVATOR
Wonderful Story
MOOK
ニューズウィーク日本版別冊
ニューズウィーク日本版別冊

好評発売中