日本人の「韓国出稼ぎ」という選択 日韓、賃金逆転で変化する労働市場
ワーキングホリデーからの就職に立ちふさがる壁
日本人が韓国で就職する際、一番の課題はビザである。韓国政府は国内の雇用を守るため、外国人採用に厳しいハードルを課しているのだ。最も一般的な特定活動ビザは大学の専攻と職種が合致することが求められ、中途採用者は職務経験も重要視される。専攻と日本等での職務経験、採用企業の職種がすべて合致しなければならないのだ。
筆者は毎年数件、ワーキングホリデーや語学留学の期限が迫った日本人から韓国で就職したいという相談を受けるが、専攻や経験に加えて期限不足から断念する人が大半だ。特定活動ビザの標準審査期間は2カ月で採用企業が申請する。ビザ期限の少なくとも2カ月前までに内定を得ないと難しい。またビザの期限が満了して帰国すると審査期間が延長されるなど、採用にあたって即時就業を求めることの多い韓国企業にとってはハードルが高く、多くの企業が申請を取り下げてしまう。
仮にビザの申請が認められて就職したからといって安心はできない。就労ビザは企業申請に基づいて発給されるため、雇用契約が解除されると失効する。転職しようにも内定から発給まで標準2カ月かかるうえ、退職からビザ発給を受けるまでの間はアルバイトを含めて就労が一切認められない。
また、給与や退職金の未払いのリスクもある。韓国は法令で最低退職金が定められており、給与や法定退職金が支払われない場合、雇用労働当局の支援制度を利用できるが、ビザが失効すると韓国に滞まることは困難で、帰国などで離韓後に支払い命令が下されても国外には送金しない命令無視が横行している。
そもそも留学やワーキングホリデーにも制限がある。日本のワーキングホリデーは週40時間までアルバイト就労が認められるが、韓国は年1300時間、週25時間が上限で、語学留学もアルバイト就労は6カ月経過後から週20時間に制限される。韓国の物価高と円安で手持ち資金が目減りするなか、アルバイトをするのもままならないのが実状だ。
出稼ぎ日本人は今後も増える?
一方で在韓日系企業に就職した"成功者"もいる。ワーキングホリデーや語学留学に伴って韓国に進出した日系企業でアルバイトで働いていた人の中には、現地子会社にそのまま就職して駐在員ビザの発給を受ける者もいる。駐在員ビザは通常、申請後、数週間以内に発給されるので特定活動ビザに比べるとハードルはやや低いのだ。また就職先の韓国撤退に伴って日本本社に転属した人や帰国に伴い日本本社に転職した人もいる。
日本で就職した韓国人は定住を望む傾向が強い一方、就職目的で渡韓した日本人は韓国で数年間、働いた後、帰国する人が少なくない。韓国人の日本就職は往々にして移住だが、日本人の韓国就職は出稼ぎが多くを占めていると言えるだろう。日韓の賃金格差がなくなり、今後は逆転することも予想されるなか、韓国へ出稼ぎする日本人はさらに増えることが予想される。

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