最新記事

アメリカ

郵政公社は公的支援依存症

2010年3月31日(水)18時17分
マシュー・フィリップス

 ダイレクトメール業者も、週5日制の打撃を被ることになる。現在、通常郵便は配達に3〜5日かかっているが、土曜の配達がなくなれば平均5〜7日になりかねない。「不確実性が増すのは間違いない」と、ダイレクトメール業者の業界団体である郵便取引協会のジーン・デル・ポリト会長は言う。「郵送が最善の手段なのかを自問する業者が増えるだけだ」

 ネットフリックスのようなにオンラインDVDレンタル業者にも影響はある。経済ニュースサイトのザ・ビッグ・マネー・ドット・コムは先日、週5日配達制の流れは、迅速なDVD配送を売りにしてきたネットフリックスのビジネスモデルをぶち壊すと論じる記事を掲載した。

 だが実際には、週5日配達の導入によって、映画のストリーミングサービスへの顧客の移行が加速する可能性がある。人々は郵送でDVDをやり取りする代わりに、サイトから直接映画をダウンロードするようになるというのだ(すでにネットフリックスの顧客の半数がこのストリーミングサービスを利用している)。
 
 同社が負担する回線使用料は跳ね上がるだろうが、配送コストの削減効果は甚大だ(同社の今年の配送費は6億ドルに上る)。週5日配送制への移行には少なくともあと1年はかかるため、同社がビジネスモデルを調整する時間はたっぷりある。

最大のネックは割高な人件費

 週5日配達制の最大の欠陥はおそらく、郵政公社の経費の8割を占める人件費を無視している点にある。ポッター総裁は労働時間の短縮や福利厚生と年金コストの削減を行ってきたが、郵政公社の平均的な従業員の給与と手当は年間8万3000ドルで、公務員の中でも最高水準にある。

 アメリカ国内にある郵便局は3万4000以上。これはウォルマートとスターバックス、マクドナルドを合わせたよりも多い。郵便局でハンバーガやカフェラテの販売を始める気がないのなら、まずは増えすぎた拠点を減らすべき時期が来ている。

今、あなたにオススメ
ニュース速報

ビジネス

フィッチ、米地銀NYCBを格下げ

ビジネス

アマゾン、南アフリカでネット通販サービスを開始

ビジネス

過度な変動への対応、介入原資が制約とは認識してない

ビジネス

米新興EVリビアン第1四半期は赤字拡大、設備改修コ
今、あなたにオススメ
MAGAZINE
特集:岸田のホンネ
特集:岸田のホンネ
2024年5月14日号(5/ 8発売)

金正恩会談、台湾有事、円安・インフレの出口......岸田首相がニューズウィーク単独取材で語った「次の日本」

メールマガジンのご登録はこちらから。
人気ランキング
  • 1

    ヨルダン・ラジワ皇太子妃のマタニティ姿「デニム生地ジャンプスーツ」が話題に

  • 2

    「自然は残酷だ...」動物園でクマがカモの親子を捕食...止めようと叫ぶ子どもたち

  • 3

    常圧で、種結晶を使わず、短時間で作りだせる...韓国の研究チームが開発した「第3のダイヤモンド合成法」の意義とは?

  • 4

    「真の脅威」は中国の大きすぎる「その野心」

  • 5

    デモを強制排除した米名門コロンビア大学の無分別...…

  • 6

    いま買うべきは日本株か、アメリカ株か? 4つの「グ…

  • 7

    ロシア兵がウクライナ「ATACMS」ミサイルの直撃を受…

  • 8

    外国人労働者がいないと経済が回らないのだが......…

  • 9

    中国軍機がオーストラリア軍ヘリを妨害 豪国防相「…

  • 10

    翼が生えた「天使」のような形に、トゲだらけの体表.…

  • 1

    ロシア兵がウクライナ「ATACMS」ミサイルの直撃を受ける瞬間の映像...クラスター弾炸裂で「逃げ場なし」の恐怖

  • 2

    常圧で、種結晶を使わず、短時間で作りだせる...韓国の研究チームが開発した「第3のダイヤモンド合成法」の意義とは?

  • 3

    「2枚の衛星画像」が伝える、ドローン攻撃を受けたロシア空軍基地の被害規模

  • 4

    ロシア「BUK-M1」が1発も撃てずに吹き飛ぶ瞬間...ミ…

  • 5

    屋外に集合したロシア兵たちを「狙い撃ち」...HIMARS…

  • 6

    ヨルダン・ラジワ皇太子妃のマタニティ姿「デニム生地…

  • 7

    どの顔が好き? 「パートナーに求める性格」が分かる…

  • 8

    ロシアの大規模ウクライナ空爆にNATO軍戦闘機が一斉…

  • 9

    ロシア軍の拠点に、ウクライナ軍FPVドローンが突入..…

  • 10

    外国人労働者がいないと経済が回らないのだが......…

  • 1

    ロシア「BUK-M1」が1発も撃てずに吹き飛ぶ瞬間...ミサイル発射寸前の「砲撃成功」動画をウクライナが公開

  • 2

    韓国で「イエス・ジャパン」ブームが起きている

  • 3

    「おやつの代わりにナッツ」でむしろ太る...医学博士が教えるスナック菓子を控えるよりも美容と健康に大事なこと

  • 4

    最強生物クマムシが、大量の放射線を浴びても死なな…

  • 5

    世界3位の経済大国にはなれない?インドが「過大評価…

  • 6

    「燃料気化爆弾」搭載ドローンがロシア軍拠点に突入…

  • 7

    一瞬の閃光と爆音...ウクライナ戦闘機、ロシア軍ドロ…

  • 8

    タトゥーだけではなかった...バイキングが行っていた…

  • 9

    NASAが月面を横切るUFOのような写真を公開、その正体…

  • 10

    「世界中の全機が要注意」...ボーイング内部告発者の…

日本再発見 シーズン2
CHALLENGING INNOVATOR
Wonderful Story
MOOK
ニューズウィーク日本版別冊
ニューズウィーク日本版別冊

好評発売中