コラム

3700の疑惑を抱えるトランプは「最高不正官」【風刺画で読み解くアメリカ】

2025年06月05日(木)19時15分
ロブ・ロジャース(風刺漫画家)/パックン(コラムニスト、タレント)

©2025 ROGERS-ANDREWS McMEEL SYNDICATION

<大統領就任式に寄付した17社の捜査は取り下げ、チャリティーは自分の財布へ。トランプの汚い献金回収の事例をアメリカ出身芸人のパックンが解説します>

Grift(グリフト)は詐欺など、不正な手段で稼ぐこと。政治家の場合、立場を使って自己利益を得る行為を指す。トランプ米大統領の1期目は非営利監視団体がグリフト疑惑案件を3700以上、記録している。1日に2.5件以上のペースだ。ゴルフばかりやっているイメージだったが、結構忙しかったね! まあ、公金を使って自前のコースを回っているから、はい、ゴルフもグリフトだね。

グリフトの中で「見返り」があると賄賂に当たる。例えば、自分に寄付した人を政府内のポストに指名したり、寄付した企業への捜査や取り締まりを見送ったりすると賄賂と思われかねない。はい、トランプは両方やっている。


もちろん、トランプ側の弁解もある。寄付は関係ない! (プロレス団体の経営者を教育長官にするなど)指名は全て適材適所だとか。同様に、大統領就任式に寄付した17社の捜査や調査を取り下げたのは......素敵な就任式のためだとか。

Trump’s Grift(トランプのグリフト)でいま話題なのは、4億ドル相当のジャンボジェット機をカタール政府からもらったこと。これを指して風刺画は大統領専用機(エアフォースワン)を現金輸送車に置き換えている。

これに関しての弁解は「ゴルフでオッケーをもらったら、ボールを拾うべきだろう? それと一緒だ!」。マジな話、これはトランプ本人の説明だ。

プロフィール

パックンの風刺画コラム

<パックン(パトリック・ハーラン)>
1970年11月14日生まれ。コロラド州出身。ハーバード大学を卒業したあと来日。1997年、吉田眞とパックンマックンを結成。日米コンビならではのネタで人気を博し、その後、情報番組「ジャスト」、「英語でしゃべらナイト」(NHK)で一躍有名に。「世界番付」(日本テレビ)、「未来世紀ジパング」(テレビ東京)などにレギュラー出演。教育、情報番組などに出演中。2012年から東京工業大学非常勤講師に就任し「コミュニケーションと国際関係」を教えている。その講義をまとめた『ツカむ!話術』(角川新書)のほか、著書多数。近著に『大統領の演説』(角川新書)。

パックン所属事務所公式サイト

<このコラムの過去の記事一覧はこちら>

あわせて読みたい
ニュース速報

ワールド

ロス大規模山火事、放火疑いで逮捕の男を起訴 12人

ビジネス

台湾TSMC、第3四半期39.1%増益で過去最高 

ビジネス

ECB、政策据え置くべき 新たなショックない限り=

ビジネス

ノルウェー、EV課税拡大を計画 米テスラ大衆向けモ
あわせて読みたい
MAGAZINE
特集:日本人と参政党
特集:日本人と参政党
2025年10月21日号(10/15発売)

怒れる日本が生んだ「日本人ファースト」と参政党現象。その源泉にルポと神谷代表インタビューで迫る

メールマガジンのご登録はこちらから。
人気ランキング
  • 1
    まるで『トップガン』...わずか10mの至近戦、東シナ海で「中国J-16」 vs 「ステルス機」
  • 2
    フィリピンで相次ぐ大地震...日本ではあまり報道されない、被害の状況と実態
  • 3
    「欧州最大の企業」がデンマークで生まれたワケ...奇跡の成長をもたらしたフレキシキュリティーとは
  • 4
    「心の知能指数(EQ)」とは何か...「EQが高い人」に…
  • 5
    イーロン・マスク、新構想「Macrohard」でマイクロソ…
  • 6
    お腹の脂肪を減らす「8つのヒント」とは?...食事以…
  • 7
    【クイズ】アメリカで最も「死亡者」が多く、「給与…
  • 8
    日本で外国人から生まれた子どもが過去最多に──人口…
  • 9
    【クイズ】サッカー男子日本代表...FIFAランキングの…
  • 10
    「中国に待ち伏せされた!」レアアース規制にトラン…
  • 1
    かばんの中身を見れば一発でわかる!「認知症になりやすい人」が持ち歩く5つのアイテム
  • 2
    悲しみで8年間「羽をむしり続けた」オウム...新たな飼い主との「イケイケなダンス」姿に涙と感動の声
  • 3
    お腹の脂肪を減らす「8つのヒント」とは?...食事以外の「2つの隠れた要因」が代謝を狂わせていた
  • 4
    【クイズ】日本人が唯一「受賞していない」ノーベル…
  • 5
    中国人が便利な「調理済み食品」を嫌うトホホな理由…
  • 6
    まるで『トップガン』...わずか10mの至近戦、東シナ…
  • 7
    ベゾス妻 vs C・ロナウド婚約者、バチバチ「指輪対決…
  • 8
    フィリピンで相次ぐ大地震...日本ではあまり報道され…
  • 9
    時代に逆行するトランプのエネルギー政策が、アメリ…
  • 10
    「中国のビットコイン女王」が英国で有罪...押収され…
  • 1
    かばんの中身を見れば一発でわかる!「認知症になりやすい人」が持ち歩く5つのアイテム
  • 2
    「大谷翔平の唯一の欠点は...」ドジャース・ロバーツ監督が明かすプレーオフ戦略、監督の意外な「日本的な一面」とは?
  • 3
    カミラ王妃のキャサリン妃への「いら立ち」が話題に...「少々、お控えくださって?」
  • 4
    増加する「子どもを外注」する親たち...ネオ・ネグレ…
  • 5
    悲しみで8年間「羽をむしり続けた」オウム...新たな…
  • 6
    バフェット指数が異常値──アメリカ株に「数世代で最…
  • 7
    「日本の高齢化率は世界2位」→ダントツの1位は超意外…
  • 8
    お腹の脂肪を減らす「8つのヒント」とは?...食事以…
  • 9
    数千円で買った中古PCが「宝箱」だった...起動して分…
  • 10
    【クイズ】日本人が唯一「受賞していない」ノーベル…
トランプ2.0記事まとめ
日本再発見 シーズン2
CHALLENGING INNOVATOR
Wonderful Story