コラム

英EU離脱投票の「教訓」をプレゼンする社会学者/Elicit(引き起こす)

2016年07月19日(火)16時07分

【今週のTED Talk動画】Why Brexit happened -- and what to do next by Alexander Betts
https://www.ted.com/talks/alexander_betts_why_brexit_happened_and...

登壇者:アレクサンダー・べッツ

 今年6月末に撮影されたこのタイムリーなTED Talkで、イギリス人の社会学者アレクサンダー・べッツは、イギリス人が国民投票でEU離脱を決定したことは自分を含む多くの人にとって衝撃的な出来事だったと述べている。しかし、彼はここで、なぜそれほどまでショックを与えるものだったのか、という問いを投げかける。ベッツ氏はこのトークで、EU離脱の裏に隠れた構造的要素について追究している。

 彼はまた、EU離脱にどのように対応すべきかについて、4つの処方箋を提示している――市民に教育すること、多様なコミュニティー間のコミュニケーションを増やすこと、グローバル化の利点を皆が有効活用できるようにすること、そして、もっと責任のある政治。人々の恐怖を誘引するのではなく、皆がもっと互いに寛容な態度を持つようになればいいのではないかと提案するベッツ氏には、きっと共感を持てるだろう。EU離脱から教訓を得たい人にとって、このTED Talkは大いに見る価値があるものである。

【参考記事】ニューストピックス:歴史を変えるブレグジット国民投票

キーフレーズ解説

Elicit
引き起こす
(動画0:21より)

 何らかの反応や意見を引き起こす時、elicitという動詞が使われます。同じ意味の言葉としてはevokeがあります。べッツ氏がトークの冒頭で「私はイギリス人です」と言った際、聴衆が拍手する中で、その1人から「Sorry(お気の毒に)」という声が上がりました。それに対して、ベッツ氏はこう反応します。「Never before has the phrase "I am British" elicited so much pity(これまでに「私はイギリス人です」という言葉がこれほどまで同情を引き起こしたことはない)」

 いくつか使用例を紹介します: 

●News of the celebrity's divorce elicited a negative reaction from her fans.
(セレブの離婚に関するニュースはファンから否定的な反応を引き起こした)

●The comedian thought his jokes were funny, but they only elicited yawns from the audience.
(コメディアンは自分のジョークを面白いと思ったが、観衆からはあくびを引き起こしただけだった)

●The new soft drink flavor has elicited mixed reactions from consumers.
(新しいソフトドリンクの味は消費者から様々な反応を呼んだ)

プロフィール

ロッシェル・カップ

Rochelle Kopp 異文化コミュニケ−ション、グローバル人材育成、そして人事管理を専門とする経営コンサルタント。日本の多国籍企業の海外進出や海外企業の日本拠点をサポートするジャパン・インターカルチュラル・コンサルティング社の創立者兼社長。イェ−ル大学歴史学部卒業、シガゴ大学経営大学院修了(MBA)。『シリコンバレーの英語――スタートアップ天国のしくみ』(IBC出版)、『日本企業の社員は、なぜこんなにもモチベーションが低いのか?』(クロスメディア・パブリッシング)、『反省しないアメリカ人をあつかう方法34』(アルク)など著書多数。最新刊は『日本企業がシリコンバレーのスピードを身につける方法』(共著、クロスメディア・パブリッシング)。

今、あなたにオススメ
ニュース速報

ビジネス

訂正-メルセデス、中国パートナーとの提携に投資継続

ビジネス

ホンダ、カナダにEV生産拠点 電池や部材工場含め総

ビジネス

スイス中銀、第1四半期の利益が過去最高 フラン安や

ビジネス

仏エルメス、第1四半期は17%増収 中国好調
今、あなたにオススメ
MAGAZINE
特集:世界が愛した日本アニメ30
特集:世界が愛した日本アニメ30
2024年4月30日/2024年5月 7日号(4/23発売)

『AKIRA』からジブリ、『鬼滅の刃』まで、日本アニメは今や世界でより消費されている

メールマガジンのご登録はこちらから。
人気ランキング
  • 1

    「おやつの代わりにナッツ」でむしろ太る...医学博士が教えるスナック菓子を控えるよりも美容と健康に大事なこと

  • 2

    医学博士で管理栄養士『100年栄養』の著者が警鐘を鳴らす「おばけタンパク質」の正体とは?

  • 3

    「誹謗中傷のビジネス化」に歯止めをかけた、北村紗衣氏への名誉棄損に対する賠償命令

  • 4

    心を穏やかに保つ禅の教え 「世界が尊敬する日本人100…

  • 5

    マイナス金利の解除でも、円安が止まらない「当然」…

  • 6

    今だからこそ観るべき? インバウンドで増えるK-POP…

  • 7

    ワニが16歳少年を襲い殺害...遺体発見の「おぞましい…

  • 8

    NewJeans日本デビュー目前に赤信号 所属事務所に親…

  • 9

    タトゥーだけではなかった...バイキングが行っていた…

  • 10

    中国のロシア専門家が「それでも最後はロシアが負け…

  • 1

    最強生物クマムシが、大量の放射線を浴びても死なない理由が明らかに

  • 2

    「おやつの代わりにナッツ」でむしろ太る...医学博士が教えるスナック菓子を控えるよりも美容と健康に大事なこと

  • 3

    世界3位の経済大国にはなれない?インドが「過大評価」されていると言える理由

  • 4

    タトゥーだけではなかった...バイキングが行っていた…

  • 5

    「世界中の全機が要注意」...ボーイング内部告発者の…

  • 6

    医学博士で管理栄養士『100年栄養』の著者が警鐘を鳴…

  • 7

    ハーバード大学で150年以上教えられる作文術「オレオ…

  • 8

    NewJeans日本デビュー目前に赤信号 所属事務所に親…

  • 9

    「たった1日で1年分」の異常豪雨...「砂漠の地」ドバ…

  • 10

    「誹謗中傷のビジネス化」に歯止めをかけた、北村紗…

  • 1

    人から褒められた時、どう返事してますか? ブッダが説いた「どんどん伸びる人の返し文句」

  • 2

    韓国で「イエス・ジャパン」ブームが起きている

  • 3

    88歳の現役医師が健康のために「絶対にしない3つのこと」目からうろこの健康法

  • 4

    ロシアの迫撃砲RBU6000「スメルチ2」、爆発・炎上の…

  • 5

    バルチック艦隊、自国の船をミサイル「誤爆」で撃沈…

  • 6

    最強生物クマムシが、大量の放射線を浴びても死なな…

  • 7

    ロシアが前線に投入した地上戦闘ロボットをウクライ…

  • 8

    「おやつの代わりにナッツ」でむしろ太る...医学博士…

  • 9

    「燃料気化爆弾」搭載ドローンがロシア軍拠点に突入…

  • 10

    世界3位の経済大国にはなれない?インドが「過大評価…

日本再発見 シーズン2
CHALLENGING INNOVATOR
Wonderful Story