コラム

小池新党の攻勢に、自民反攻の一手はあるか?

2017年10月06日(金)17時50分

自民党にとってはまったく想定外の展開になった総選挙だが Kim Kyung Hoon-REUTERS

<仮に勢いに乗る「希望の党」が大連立を持ちかけてきた場合、自公が中道にシフトして連立を拒否すれば、国民にはようやくまともな二大政党の選択肢が示される>

発足したばかりの「希望の党」ですが、比例での投票先としては支持率が伸び悩んでいるものの、実際の投票となれば旋風を巻き起こす可能性は十分にありそうです。また、先日このコラムで議論したように、自民党内に「手を突っ込む」だけでなく「大連立」を持ちかけて参院も含めてのみ込むという戦略も当然考えているでしょう。

では、自民党というのは防戦に回る一方なのでしょうか? 仮に「希望の党」の勢いが止まらない場合には、逆転の方策はないのでしょうか? この点に関して言えば、「希望」には一点だけ弱点があるように見えます。

それは、自民党が総選挙で敗北した場合、岸田前外相などを中心に「中道自公路線+軽武装+国際協調主義(特に日韓関係重視)」を掲げて、「中道寄り」から小池路線を拒否するというケースです。その場合ですが、仮に選挙管理内閣が構成されてあらためて総選挙となれば、国民には初めてまともな選択肢が提示されることになります。

■「希望の党」グループは、都市型の小さな政府論、地方は道州制でさらにリストラ、ベーシックインカムを提示しつつ福祉もカット、軍事外交はタカ派。

■中道自公は、経済衰退を防止する積極投資路線、金融緩和継続、地方創生、軍事外交は現状の延長で国際協調路線。

というような形で、「右派」か「中道」かという選択肢を明確にするのです。そうすれば、二大政党制に基づく「政権担当可能な2つの選択肢」が有権者の前に提示されることになります。

具体的には、自民では宏池会が軸となり、岸田、河野(太郎)、林、甘利といった面々を軸に、21世紀版の保守本流再興をやって行くというシナリオです。岸田氏に関しては、従来から軽武装的な立場、そして改憲慎重派という中で、「ポスト安倍」を意識して自重しつつ、安倍路線には従順に来たのですが、その本領が発揮できるというわけです。

但し、この路線には問題が一つあります。50~70年代と違って、「保守本流」が「財界」とタッグを組んで日本経済のベースとなる成長路線を描くことが難しくなっている点です。

つまり、財界の主要な企業は衰退するか、あるいは多国籍化してしまい、日本のGDP貢献よりも、グループの連結決算を重視する行動パターンになっているからです。この点に関しては、例えばですが甘利氏とか、河野氏、林氏あたりは、「健全なる経済ナショナリズム」的な感覚を持っているのではという期待はできます。その辺から、アベノミクスがやや行き詰まってしまった部分を軌道修正する処方箋を期待したいと思うのです。

プロフィール

冷泉彰彦

(れいぜい あきひこ)ニュージャージー州在住。作家・ジャーナリスト。プリンストン日本語学校高等部主任。1959年東京生まれ。東京大学文学部卒業。コロンビア大学大学院修士(日本語教授法)。福武書店(現ベネッセコーポレーション)勤務を経て93年に渡米。

最新刊『自動運転「戦場」ルポ ウーバー、グーグル、日本勢――クルマの近未来』(朝日新書)が7月13日に発売。近著に『アイビーリーグの入り方 アメリカ大学入試の知られざる実態と名門大学の合格基準』(CCCメディアハウス)など。メールマガジンJMM(村上龍編集長)で「FROM911、USAレポート」(www.jmm.co.jp/)を連載中。週刊メルマガ(有料)「冷泉彰彦のプリンストン通信」配信中。

あわせて読みたい
ニュース速報

ワールド

ロシア・ウクライナ復活祭停戦、発効数時間で双方が違

ワールド

米イラン協議決裂、核・ホルムズ海峡で溝埋まらず 停

ワールド

中国、台湾向け観光規制緩和など新措置 野党党首訪中

ビジネス

円高につながる金融政策、「一つの選択肢」=赤沢経産
あわせて読みたい
MAGAZINE
特集:トランプの大誤算
特集:トランプの大誤算
2026年4月14日号(4/ 7発売)

国民向け演説は「フェイク」の繰り返し。泥沼化するイラン攻撃の出口は見えない

メールマガジンのご登録はこちらから。
人気ランキング
  • 1
    健康を守るはずのサプリが癌細胞を助ける? 思いがけない副作用に研究者が警鐘
  • 2
    中国がイラン戦争一時停戦の裏で大笑い...一時停戦によって中国が「最大の勝者」となる理由
  • 3
    新しいアメリカンドリームは「国外移住」...5人に1人が海外を希望する時代
  • 4
    中国が恐れる「経済ドミノ」
  • 5
    古代のパピルスから新たに見つかった「2500年前の文…
  • 6
    【銘柄】イラン情勢で「任天堂」が急落 不確実な相…
  • 7
    【銘柄】イラン情勢で一躍脚光の「NEC」 防衛・宇宙…
  • 8
    バリ島沖の要衝で「中国製水中ドローン」が回収され…
  • 9
    停戦合意後もレバノン猛攻を続けるイスラエル、「国…
  • 10
    革命国家イラン、世襲への転落が招く「静かな崩壊」
  • 1
    米特殊部隊、米空軍兵士救出「大成功」に残る多くの疑問
  • 2
    古代のパピルスから新たに見つかった「2500年前の文章」...歴史を塗り替えかねない、その内容とは?
  • 3
    バリ島沖の要衝で「中国製水中ドローン」が回収される...潜水艦の重要ルートで一体何をしていた?
  • 4
    韓国、生理用品無償支給を7月から開始 靴の中敷きで…
  • 5
    「南東部と東部の前線で480平方キロ奪還」とウクライ…
  • 6
    「地獄を見る」のは米国か──イラン地上侵攻なら革命…
  • 7
    撃墜された米国機から財布やID回収か、イラン側が拡…
  • 8
    ポケモンで遊ぶと脳に「専用の領域」ができる? ポ…
  • 9
    停戦合意後もレバノン猛攻を続けるイスラエル、「国…
  • 10
    【銘柄】イラン情勢で一躍脚光の「NEC」 防衛・宇宙…
  • 1
    温暖化で増えた? サンマやサケ減少の裏で激増する「安価で栄養価の高い魚」の正体
  • 2
    米特殊部隊、米空軍兵士救出「大成功」に残る多くの疑問
  • 3
    「根底にあるのは怒り」...日本の「3Dプリンター住宅」企業が救う、ウクライナの未来
  • 4
    古代のパピルスから新たに見つかった「2500年前の文…
  • 5
    「ノーと言えるスペイン」の背景に国防意識...次期ス…
  • 6
    バリ島沖の要衝で「中国製水中ドローン」が回収され…
  • 7
    キャサリン皇太子妃、ナイジェリア大統領夫妻出迎え…
  • 8
    数時間以内に死に至ることも...若者の間で集団感染が…
  • 9
    米軍も防ぎきれないイランのドローン攻撃──イラン製…
  • 10
    メーガン妃、娘リリベット王女との「お手伝い姿」公…
トランプ2.0記事まとめ
Real
CHALLENGING INNOVATOR
Wonderful Story